第三種電気主任技術者の過去問
平成28年度(2016年)
機械 問48

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成28年度(2016年) 機械 問48 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章は、電源電圧一定(交流機の場合は多相交流巻線に印加する電源電圧の周波数も一定。)の条件下における各種電動機において、空回しの無負荷から、負荷の増大とともにトルクを発生する現象に関する記述である。

無負荷条件の直流分巻電動機では、回転速度に比例する(ア)と(イ)とがほぼ等しく、電機子電流がほぼ零となる。この状態から負荷が掛かって回転速度が低下すると、電機子電流が増大してトルクが発生する。
無負荷条件の誘導電動機では、周波数及び極数で決まる(ウ)と回転速度とがほぼ等しく、(エ)がほぼ零となる。この状態から負荷が掛かって回転速度が低下すると、(エ)が増大してトルクが発生する。
無負荷条件の同期電動機では、界磁単独の磁束と電機子反作用を考慮した電機子磁束との位相差がほぼ零となる。この状態から負荷が掛かっても回転速度の低下はないが、上記両磁束の位相差、すなわち(オ)が増大してトルクが発生する。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
  • (ア)逆起電力  (イ)電源電圧 (ウ)同期速度 (エ)滑り   (オ)負荷角
  • (ア)誘導起電力 (イ)逆起電力 (ウ)回転磁界 (エ)二次抵抗 (オ)負荷角
  • (ア)逆起電力  (イ)電源電圧 (ウ)定格速度 (エ)二次抵抗 (オ)力率角
  • (ア)誘導起電力 (イ)逆起電力 (ウ)同期速度 (エ)滑り   (オ)負荷角
  • (ア)逆起電力  (イ)電源電圧 (ウ)回転磁界 (エ)滑り   (オ)力率角

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この過去問の解説 (3件)

01

電動機に生じる誘導起電力は、逆起電力になります。

直流電動機
E = KΦNより
回転速度と逆起電力が比例関係にあります。
また無負荷状態の場合、電源電圧と逆起電力はほぼ等しくなります。


誘導電動機
Ns = 120f/pより
同期速度Nsは周波数、極数で決まります。
また回転速度Nは(1-s)Nsで決まるため、滑りが0の時NとNsは等しくなります。


同期電動機
力率角とは、端子電圧と負荷電流の位相差です。
負荷角とは、端子電圧と電源電圧の位相差です。これは界磁と電機子の磁束の位相差でもあります。


以上のことから
アは逆起電力
イは電源電圧
ウは同期速度
エは滑り
オは負荷角


選択肢は1.です

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02


直流分巻電動機は、直流電力によって動力エネルギーを発生する回転機で、更に、界磁巻線(固定子巻線)と電機子巻線(回転子巻線)が並列に接続されたものを言います。外部の電源から電源電圧を与えると、電機子巻線には逆起電力が発生します。

(誘導起電力は、電磁誘導(コイルに対して磁石を近づけたり遠ざけたりして生じる)によって発生する電圧を言いますので、ここでは無関係です)

従いまして、(ア)と(イ)には「逆起電力」と「電源電圧」が入ります。

誘導電動機は、固定子である電機子巻線に交流電圧を加える事によって回転磁界を作り、この回転磁界によって回転子の導体に電流が流れ、回転力が発生します。この回転磁界の回転速度の事を同期速度と言います。回転子の回転速度が同期速度と等しくなった時、滑りがほぼ零となります。従いまして、(ウ)には「同期速度」、(エ)には「滑り」が入ります。

一般に同期電動機は、固定子である電機子巻線に交流電流を流すことで回転磁界を発生させます。そして、回転子である界磁巻線に直流電流を流すことで磁束を発生させます。回転子は、回転磁界に同期して回転します。同期電動機が無負荷のとき、界磁巻線が作る磁束と電機子巻線が作る磁束は向きが一致します。すなわち位相差がゼロです。同期電動機に負荷が生じると、電機子巻線が作る磁束に対し、界磁巻線が作る磁束が遅れます(位相差が生じる)。そして、電機子巻線が作る磁束と界磁巻線が作る磁束の合成磁束と、界磁巻線が作る磁束の位相差を負荷角と言います。従いまして、(エ)には「負荷角」が入ります。

以上より、正解は1.となります。

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03

同期電動機の特性に関する文章問題です。

 

(ア)逆起電力
(イ)電源電圧
無負荷条件の直流分巻電動機では、回転速度に比例する逆起電力と電源電圧とがほぼ等しくなります。

 

(ウ)同期速度
(エ)滑り
無負荷条件の誘導電動機では、周波数及び極数で決まる同期速度と回転速度とがほぼ等しく、滑りがほぼ零となります。

 

(オ)負荷角
無負荷条件の同期電動機では、界磁単独の磁束と電機子反作用を考慮した電機子磁束との位相差がほぼ零となります。この状態から負荷が掛かっても回転速度の低下はないが、上記両磁束の位相差、すなわち負荷角が増大してトルクが発生します。

選択肢1. (ア)逆起電力  (イ)電源電圧 (ウ)同期速度 (エ)滑り   (オ)負荷角

正解です。

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