第三種電気主任技術者の過去問
平成29年度(2017年)
電力 問25
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問題
第三種 電気主任技術者試験 平成29年度(2017年) 電力 問25 (訂正依頼・報告はこちら)
火力発電所の環境対策に関する記述として、誤っているものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
- 接触還元法は、排ガス中にアンモニアを注入し、触媒上で窒素酸化物を窒素と水に分解する。
- 湿式石灰石(石灰)-石こう法は、石灰と水との混合液で排ガス中の硫黄酸化物を吸収・除去し、副生品として石こうを回収する。
- 二段燃焼法は、燃焼用空気を二段階に分けて供給し、燃料過剰で一次燃焼させ、二次燃焼域で不足分の空気を供給し燃焼させ、窒素酸化物の生成を抑制する。
- 電気集じん器は、電極に高電圧をかけ、コロナ放電で放電電極から放出される負イオンによってガス中の粒子を帯電させ、分離・除去する。
- 排ガス混合(再循環)法は、燃焼用空気に排ガスの一部を再循環、混合して燃焼温度を上げ、窒素酸化物の生成を抑制する。
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この過去問の解説 (4件)
01
火力発電所の環境対策に関する問題です。
正しいです。
(アンモニア)接触還元法とは、窒素酸化物(NOx)にアンモニア(NH3)を注入して窒素(N2)と水(H2O)に分解する方式のことです。
正しいです。
湿式石灰石(石灰)-石こう法とは、石灰や石灰石と水との混合液で硫黄酸化物を吸収し、副正品として石こうを回収する方式のことです。
正しいです。
窒素酸化物は、高温、高濃度の酸素によって多く発生してしまいます。
二段階燃焼法とは、低温かつ酸素を低濃度にして窒素酸化物の生成を抑制する方式のことです。
正しいです。
電気集じん器は、電極に高電圧をかけることでガス中の粒子を帯電させます。この方式なら、微細な粒子でも分離・除去できます。
誤りです。
窒素酸化物は燃焼温度が上がるとより多く生成されてしまいます。
正しくは、「排ガス混合(再循環)法は、燃焼用空気に排ガスの一部を再循環、混合して燃焼温度を下げ、窒素酸化物の生成を抑制する。」となります。
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02
以下に解説します。
正しい記述です。
窒素酸化物とアンモニア混ぜると、窒素と水に分解できます。
正しい記述です。
石灰と水を用いて硫黄酸化物を除去します。
正しい記述です。
二段階にわけて空気を燃焼し、窒素酸化物を抑制します。
正しい記述です。
電気集じん器によってガス中の粒子を除去しています。
誤りの記述です。
排ガス混合法は排ガスの一部を再循環させますが、燃焼により酸素を消費したあとのガスなので、酸素濃度が低くなります。よって、酸素量が減るために燃焼温度は下がります。問題文では燃焼温度が上がるとなっているので間違いです。
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03
以下に解説します。
正しい記述です。
接触還元法は、排ガス中にアンモニアを注入し、窒素酸化物を窒素と水に分解する方法です。
正しい記述です。
湿式石灰石(石灰)-石こう法は、石灰と水との混合液で硫黄酸化物を吸収・除去する方法です。
正しい記述です。
二段燃焼法は、燃焼用空気を二段階に分けて供給することで、窒素酸化物の生成を抑制する方法です。
正しい記述です。
電気集じん器は、電極に高電圧をかけてガス中の粒子を帯電させ、分離・除去する装置です。
誤った記述です。
排ガス混合(再循環)法は、燃焼用空気に排ガスの一部を再循環、混合することにより、燃焼空気中の酸素濃度を低下させ、緩慢な燃焼を行わせる方法です。そのため、燃焼温度は低くなります。よって、燃焼温度が高くなる旨の記述が誤りとなります。
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04
火力発電所に用いられる燃料には石炭、重油、LNG(液化天然ガス)などがあり、運用するにあたって環境対策が必要となります。この問題ではその火力発電所の環境対策について誤った記述を選択する問題となります。
各それぞれの選択肢を見ていきましょう。
火力発電の燃料から発生する大気汚染物質として窒素酸化物(NOx)があります。
接触還元法は、排煙脱硝技術の一種で窒素酸化物(NOx)を含む排ガスにアンモニアを注入する事で触媒上で窒素酸化物(NOx)を窒素と水に分解します。
なのでこの記述は正しいので、問題としては不適切です。
火力発電の燃料から発生する大気汚染物質として硫黄酸化物(SOx)があります。
硫黄酸化物の発生を抑制する方法として、硫黄分の少ない燃料LNG(液化天然ガス)を使用する事や排出を抑制する対策として煙道に排煙脱硫装置を設けて、硫黄酸化物を粉状の石灰と水の混合液に吸収させる方法があります。
石こう法は、石灰と水との混合液が水中で酸化還元反応を起こすことにより硫黄酸化物(SOx)を除去し副生品として石こうを回収できるので硫黄酸化物(SOx)の対策に適しています。
なのでこの記述は正しいです。なので問題としては不適切です。
火力発電の燃料から発生する大気汚染物質として窒素酸化物(NOx)があります。その抑制方法として有効なのが燃焼中の酸素の量を少なくし、燃焼温度を低くする事です。その方法の一種が二段燃焼法となります。燃焼する際の空気を二段階に分けて供給し、二次燃焼時に不足分の空気を供給することで窒素酸化物の生成を抑制します。
なのでこの記述は正しいです。なので問題としては不適切です。
火力発電の燃料から発生する大気汚染物質として煤塵(ばいじん)があります。その煤塵を抑える方法として燃料と空気を正しく混合する事であり、その有効策として電気集じん器を使用した方法があります。電極に高電圧をかけ、コロナ放電で放電電極から放出される負イオンによってガス中の粒子を帯電させ、分離・除去する方法となります。
よってこの記述は正しいです。なので問題としては不適切です。
窒素酸化物(NOx)の抑制対策として燃焼中の酸素の量を少なくし、燃焼温度を低くする事です。
排ガス混合(再循環)法は、窒素酸化物対策の一種で燃焼用の空気に排ガスの一部を再循環する事で空気中の酸素濃度を減らし、燃焼を抑えて温度を下げる事が出来ます。
よってこの記述は誤りなので、問題としては適切となります。
火力発電の環境対策については近年注目されている分野でもあるので、発生する大気汚染物質や排出防止策などは覚えておくことをお薦め致します。
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