第三種電気主任技術者の過去問
平成29年度(2017年)
機械 問47

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成29年度(2017年) 機械 問47 (訂正依頼・報告はこちら)

定格出力10MV・A、定格電圧6.6kV、百分率同期インピーダンス80%の三相同期発電機がある。三相短絡電流700Aを流すのに必要な界磁電流が50Aである場合、この発電機の定格電圧に等しい無負荷端子電圧を発生させるのに必要な界磁電流の値[A]として、最も近いものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。ただし、百分率同期インピーダンスの抵抗分は無視できるものとする。
  • 50
  • 62.5
  • 78.1
  • 86.6
  • 135.3

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この過去問の解説 (2件)

01

解答
定格出力をSn=10[MV・A]、定格電圧をVn=6.6[kV]ととすると定格電流In[A]は
In=Sn/(√3×Vn)=10×10^6/(√3×6.6×10^3)=874.77[A]・・・・・(1)
となります。
次に百分率同期インピーダンスを%Zs[%]、短絡比をKsとすると
Ks=100/%Zs=100/80=1.25・・・・・(2)
の関係があり、また短絡比Ksは
Ks=Is/In=If1/If2・・・・・(3)
Is[A]:三相短絡電流、In[A]:定格電圧、If1[A]:無負荷で定格電圧に等しい誘導起電力を発生するのに必要な界磁電流、If2[A]:無負荷で定格電流に等しい短絡電流を流すのに必要な界磁電流
の関係があります。
ここで題意より「三相短絡電流700Aを流すのに必要な界磁電流が50A」とあります。
三相短絡電流と界磁電流は比例関係にあるので(1)式の定格電流に等しい三相短絡電流を流すのに必要な界磁電流If2[A]は
If2=50×874.77/700=62.48[A]・・・・・(4)
(3)式を変形して(2)式、(4)式の結果を代入すると
If1=Ks×If2=1.25×62.48=78.10[A]
となります。
よって答えは3番の78.1[A]となります。

解説
短絡比の定義を覚えているかがポイントとなってきます。
また、百分率同期インピーダンスとの関係も覚えていなければなりません。
同期インピーダンスをZs[Ω]、定格電圧をVn[V]、定格電流をIn[A]、短絡電流をIs[A]、無負荷誘導起電力をE0[V]、短絡比をKsとすると百分率同期インピーダンス%Zs[%]は
%Zs=Zs×In×100/Vn/√3=Zs×In×100/E0=In×100/(E0/Zs)=In×100/Is=100/Ks
となります。

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02

無負荷の定格電圧を発生させるのに必要な界磁電流を求める問題です。

この問題のポイントは、2つあります。
1)百分率同期インピーダンスの逆数は、短絡比と等しいこと。
2) 短絡比は、無負荷定格電圧を発生させる界磁電流If1と、
  定格電流に等しい短絡電流を流す界磁電流If2との比であること。


まず最初に、定格出力と定格電圧から定格電流Inを求めます。

10MV・A=√3×6.6kV×In
In=10M/(√3×6.6k)=874.773(A)

定格電流Inは、875(A)となります。

次に、「三相短絡電流700Aを流すのに必要な界磁電流が50Aである」ことが、
問題文より与えられているので、
定格電流の875(A)と等しい短絡電流を流す界磁電流If2を求めます。


三相短絡電流と界磁電流は比例しますので、

50A:700A=If2:875A

If2=62.5A

となります。

問題で問われているのは、「無負荷定格電圧を発生させる界磁電流If1」です。

定格電流に等しい短絡電流を流す界磁電流If2が分かっているので、
あとは短絡比が分かれば答えが導けます。

短絡比については、
百分率同期インピーダンスと短絡比の関係を考えます。

シンプルに考えるため、三相同期発電機の1相分で考えます。
同期インピーダンスZは、定格端子電圧(Vn/√3)と短絡電流(Is)より
式①で表すことができます。

Z=(Vn/√3)/Is ---①

次に %Z(百分率同期インピーダンス)ですが、
%Zは同期インピーダンスで降下する電圧を定格電圧(Vn/√3)の百分率で
表したものなので式②となります。

%Z={In×Z/(Vn/√3)}×100(%) ---②

式①を式②代入すると

%Z=[{In×(Vn/√3)/Is}/(Vn/√3)]×100
となり、分子と分母の(Vn/√3)が消せるので、

%Z=(In/Is)×100 ---③
となります。

この問題は三相同期発電機ですが、
短絡比Kと三相同期インピーダンスの関係は、
同じです。

定格電流をIn、三相短絡電流をIsとすると

K=Is/In ---④

となります。

③と④を比べると、百分率同期インピーダンスの逆数が短絡比となっています。

問題文で、百分率同期インピーダンスは80%(0.8)と与えられていますので、

短絡比Kは1.25になります。
(K=1/0.8=1.25)

短絡比Kが分かったので、If1を導きます。

Ks=If1/If2より

1.25=If1/62.5A

If1=78.125(A)

よって、「3」の78.1(A)が答えとなります。

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