第三種電気主任技術者の過去問
平成29年度(2017年)
機械 問46

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成29年度(2017年) 機械 問46 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章は、三相同期発電機の並行運転に関する記述である。

既に同期発電機Aが母線に接続されて運転しているとき、同じ母線に同期発電機Bを並列に接続するために必要な条件又は操作として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
  • 母線電圧と同期発電機Bの端子電圧の相回転方向が一致していること。同期発電機Bの設置後又は改修後の最初の運転時に相回転方向の一致を確認すれば、その後は母線への並列のたびに相回転方向を確認する必要はない。
  • 母線電圧と同期発電機Bの端子電圧の位相を合わせるために、同期発電機Bの駆動機の回転速度を調整する。
  • 母線電圧と同期発電機Bの端子電圧の大きさを等しくするために、同期発電機Bの励磁電流の大きさを調整する。
  • 母線電圧と同期発電機Bの端子電圧の波形をほぼ等しくするために、同期発電機Bの励磁電流の大きさを変えずに励磁電圧の大きさを調整する。
  • 母線電圧と同期発電機Bの端子電圧の位相の一致を検出するために、同期検定器を使用するのが一般的であり、位相が一致したところで母線に並列する遮断器を閉路する。

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この過去問の解説 (2件)

01

複数の同期発電機を並列運転するには、条件があります。

(条件)
・電圧が同じ
・位相が同じ(相回転方向、進み/遅れがない)
・周波数が同じ
・波形が同じ(駆動機が一定速度で回転、波形が歪んでない)

並列する同期発電機が全てこの条件を満たしていなければなりません。

それでは、問題文をみてみます。

(1)は正しいです。
前半は、相回転方向について述べられています。
相回転方向が一致していることは正しいです。

後半は、最初の運転時に相回転方向の一致を確認すれば、その後は母線への並列のたびに相回転方向を確認する必要はないと述べられています。
設置した後(改修した後)に同期発電機の相回転方向が変わることはありません。
母線への並列のたびに相回転方向を確認する必要はありませんので、後半も正しいです。

(2)は正しいです。
駆動機の回転速度を変えて位相を調整します。

(3)は正しいです。
励磁電流を変えて電圧を調整します。

(4)は誤りです。
同期発電機の波形を等しくするには、駆動機が一定速度で歪まないように円滑に回転させるために、機械的な対応をします。
励磁電圧では調整しませんので誤りです。

選択肢(3)のおさらいになりますが、
励磁電流であれば、電圧を調整するために電流の大きさを変えることがあります。

(5)は正しいです。
同期検定器を使って位相の一致を調べます。
位相が一致したら遮断器で同期発電機Bの配線を母線につなぎます。

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02

まず、同期発電機の並列運転には
1. 起電力の大きさが等しいこと
2. 起電力が同位相であること
3. 起電力の周波数が等しいこと
4. 起電力の波形が等しいこと
以上の条件が必要となります。


(4)が誤りです。
波形を調整するためには機械的な処置が必要となります。
① 磁極面の形と空隙の長さと変える。
② 電機子巻線を分布巻、短節巻にする。
③ 固定子鉄心のスロットに磁気くさびを用いる。
④ 磁極表面に制動巻線を設けて高調波を打ち消す。
の対策があります。

(1) 正しいです。
発電機は頻繁に更新しないので問題の通り、相回転確認の一致を確認出来れば、次からは確認の必要がありません。

(2) 正しいです。
電圧位相は駆動機の回転速度で調整します。
電圧位相(誘導起電力)が異なると位相が進んだ発電機は有効電力が増加し減速、位相が遅れている発電機は有効電力が減少し加速し、各機の起電力の位相が同一となるように作用します。
この時に各機に負担電流とは別に流れる電流を「同期化電流」と呼びます。

(3) 正しいです。
電圧の大きさは励磁電流によって調整します。
端子電圧(誘導起電力)の大きさが異なると各期の起電力差に応じた循環電流が流れます。
これは起電力の高い発電機から見ると遅れ電流となり、減磁作用として、起電力の低い発電機から見ると進み電流となり、増磁作用として各機の起電力を平衡させるように作用します。
これを「無効循環電流」と呼びます。

(5)正しいです。
同期検定器では電圧差と位相差を見て一致したら遮断器を投入して系統に並列しています。

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