第三種電気主任技術者の過去問
平成29年度(2017年)
機械 問45
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問題
第三種 電気主任技術者試験 平成29年度(2017年) 機械 問45 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文章は、誘導機に関する記述である。
誘導機の二次入力は(ア)とも呼ばれ、トルクに比例する。二次入力における機械出力と二次銅損の比は、誘導機の滑りをsとして(イ)の関係にある。この関係を用いると、二次銅損は常に正であることから、sが-1から0の間の値をとるとき機械出力は(ウ)となり、誘導機は(エ)として運転される。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
誘導機の二次入力は(ア)とも呼ばれ、トルクに比例する。二次入力における機械出力と二次銅損の比は、誘導機の滑りをsとして(イ)の関係にある。この関係を用いると、二次銅損は常に正であることから、sが-1から0の間の値をとるとき機械出力は(ウ)となり、誘導機は(エ)として運転される。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
- (ア)同期ワット (イ)(1-s):s (ウ)負 (エ)発電機
- (ア)同期ワット (イ)(1+s):s (ウ)負 (エ)発電機
- (ア)トルクワット (イ)(1+s):s (ウ)正 (エ)電動機
- (ア)同期ワット (イ)(1-s):s (ウ)負 (エ)電動機
- (ア)トルクワット (イ)(1-s):s (ウ)正 (エ)電動機
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この過去問の解説 (2件)
01
1次側の巻線で生じる磁界によって、
2次側の巻線が起電力を得て回転します。
誘導機の負荷が接続されるのは二次側です。
回転子という部分に接続されます。
一次側は固定子になっていて、この一次側の電圧や周波数が安定していても、
二次側の回転子に接続された負荷(動かすものの重さ)によって、
回転子の電圧や周波数が変わります。
この負荷によって変わる回転数の変化を滑りsと呼びます。
この滑りsは、回転数だけではなく電圧や電流にも影響します。
負荷が変わると滑りsの値も変わります。
例えば一次側の巻線が120°ずつずらして巻かれています。
そこに励磁電流を流すと、120°ずつずれた回転磁界が発生します。
その回転磁界を誘導機二次側の巻線が受けて起電力および電流が発生して、
トルクが発生します。
二次側巻線に発生する起電力は、二次入力や回転子入力や「同期ワット」と呼ばれます。
よって、(ア)には同期ワットが入ります。
同期ワット(二次入力)から滑りsの影響を受けて、
回転子から機械出力(回転運動)するのですが、
この同期ワットから機械出力を引いた残りは、銅損となります。
同期ワットと機械出力と銅損の関係は、
同期ワット:機械出力:銅損 = 1:1-s:s
となり、
機械出力:銅損 = 「1-s:s」
となります。
よって、(イ)には、1-s:sが入ります。
誘導機は、1次側から電力を入力すると
2次側の回転子が回転して電動機として利用できます。
反対に、1次側から電力を入力しないで、
2次側の回転子を誘導機の回転とは逆方向に回転させると、
1次側に電力が発生するため、「発電機」として利用できます。
発電機として利用する際は、滑りは符号も反対となり「負」となります。
滑りは、-1~0の値となります。
よって、(ウ)には負が入り、(エ)には発電機が入ります。
(ア)~(エ)に入る単語は、(ア)同期ワット、(イ)1-s:s、(ウ)負、(エ)発電機となりますので、
回答欄の組合せとして、正しいものは「1」となります。
(補足)
二次巻線が同期速度で、回転磁界の回転方向と同じ向きに回転していると、
二次巻線には電磁誘導による起電力は無いので二次電流も流れないので、
トルクは発生しません。
誘導機はトルクが発生しますが、同期機はトルクは発生しません。
トルクが発生しない同期機は、始動トルクも無いため無回転状態からは回転開始できません。
そのため同期機では、回転巻線などを用いたり、
もしくは始動用電動機でトルクを発生させて同期機を回転させています。
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02
誘導機の二次入力P2[W]は、二次側電流I2[A]、すべりs、二次側巻線抵抗r2/s[Ω]を用いて
P2=3×(r2/s)×I2^2[W]・・・・・(1)
と表されます。
機械出力Pm[W]は等価負荷抵抗R[Ω]=(1-s)/s×r2で消費される電力なので
Pm=3×R×I2^2=3×(1-s)/s×r2×I2^2・・・・・(2)
(2)式に(1)式を代入すると
Pm=(1-s)×P2[W]・・・・・(3)
となります。角速度ω[rad/s]は回転速度N[min^-1]を用いて
ω=2π×N/60[rad/s]・・・・・(4)
となります。
ここで回転速度N[min^-1]は同期回転速度をNs[min^-1]とするとN=Ns×(1-s)[min^-1]となりますので(4)式は
ω=2π×(1-s)×Ns/60[rad/s]・・・・・(5)
また、同期角速度ωs=2π×Ns/60[rad/s]とすると(5)式は
ω=(1-s)×ωs[rad/s]・・・・・(6)
となります。トルクT[N・m]は(3)式と(5)式を用いて
T=Pm/ω=(1-s)×P2/(1-s)×ωs=P2/ωs[N・m]・・・・・(7)
となります。
(7)式よりトルクTはωs[rad/s]が一定のため二次入力P2[W]に比例することからP2は「同期ワット」と呼ばれます。
二次銅損Pc2[W]は二次入力P2[W]から機械出力Pm[W]を引いた値なので
Pc2=P2-Pm=P2-(1-s)×P2=s×P2[W]
となりますのでP2,Pc2,Pmの関係は「1:s:1-s=P2:Pc2:Pm」となります。
すべりs=-1の時、(2)式に代入すると機械出力Pm[W]は「負」の値となります。
すべりが負の状態とは、すべりsを求める式s=(Ns-N)/Nsより同期回転速度Ns[min^-1]より回転速度N[min^-1]の方が早い状態のことです。
つまり誘導機は外部から機械エネルギーを得て回転していますので「発電機」として運転されています。
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