第三種電気主任技術者の過去問
平成29年度(2017年)
機械 問51
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問題
第三種 電気主任技術者試験 平成29年度(2017年) 機械 問51 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文章は、電力用コンデンサに関する記述である。
電力用コンデンサには、進相コンデンサ、調相コンデンサ及び直列コンデンサがあり、さらにフィルタ用コンデンサやサージ吸収用コンデンサなどを含めることがある。電力用コンデンサは、一般的に複数枚の薄葉誘電体を金属はく電極とともに巻き込み、リード線を引き出した単位コンデンサの集合で構成し、容器などに収納したものである。また、電極として蒸着金属が用いられることがある。
誘電体には、広い面積にわたり厚さが均ーであること、適当な機械的強度を有すること、誘電率が(ア)その温度変化が少ないこと、誘電正接が(イ)絶縁抵抗及び絶縁耐力が(ウ)こと、耐熱性に優れ長期安定性に優れていることなどが求められる。
電力用コンデンサの(エ)点検としては、油漏れ、発錆、がいしの汚損、容器の変形、端子部の過熱及び機器の異常過熱などの有無について確認を行う。また、数年ごとあるいは異常発生時に行う(オ)点検として、(エ)点検項目のほかにコンデンサの静電容量・損失の測定、端子-外箱間の絶縁抵抗測定、耐電圧試験などを実施する。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
電力用コンデンサには、進相コンデンサ、調相コンデンサ及び直列コンデンサがあり、さらにフィルタ用コンデンサやサージ吸収用コンデンサなどを含めることがある。電力用コンデンサは、一般的に複数枚の薄葉誘電体を金属はく電極とともに巻き込み、リード線を引き出した単位コンデンサの集合で構成し、容器などに収納したものである。また、電極として蒸着金属が用いられることがある。
誘電体には、広い面積にわたり厚さが均ーであること、適当な機械的強度を有すること、誘電率が(ア)その温度変化が少ないこと、誘電正接が(イ)絶縁抵抗及び絶縁耐力が(ウ)こと、耐熱性に優れ長期安定性に優れていることなどが求められる。
電力用コンデンサの(エ)点検としては、油漏れ、発錆、がいしの汚損、容器の変形、端子部の過熱及び機器の異常過熱などの有無について確認を行う。また、数年ごとあるいは異常発生時に行う(オ)点検として、(エ)点検項目のほかにコンデンサの静電容量・損失の測定、端子-外箱間の絶縁抵抗測定、耐電圧試験などを実施する。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
- (ア)高く (イ)小さく (ウ)高い (エ)日常 (オ)特別
- (ア)高く (イ)大きく (ウ)高い (エ)日常 (オ)特別
- (ア)低く (イ)大きく (ウ)高い (エ)特別 (オ)日常
- (ア)高く (イ)小さく (ウ)低い (エ)特別 (オ)日常
- (ア)低く (イ)大きく (ウ)低い (エ)特別 (オ)日常
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この過去問の解説 (2件)
01
1番 (ア)高く (イ)小さく (ウ)高い (エ)日常 (オ)特別
解説
コンデンサの電気容量をC[F]、誘電率をε[F/m]、面積をS[m^2]、間隔をd[m]とすると
C=ε×S/d[F]
となります。
つまり、誘電率を高くとり、面積を広げ、間隔を狭くすることでコンデンサの電気容量つまり蓄えられる電荷量が多くなります。
問題文のようにコンデンサは薄い金属箔は誘電体を挟んで向かい合わせにし、それを巻くことで面積を広げつつ、小型化しています。
コンデンサは容量性リアクタンスですが、若干の抵抗分を含んでいます。
このコンデンサに電流が流れると容量性リアクタンスと抵抗分に電流が流れます。
抵抗に電流が流れるということは損失(ジュール熱)が発生します。
また、抵抗分があるということはコンデンサの電流は完全な90°進み位相ではなく、若干の傾きが生じます。
この傾きの度合いを誘電正接といい、値が小さい程、本来のコンデンサとしての性能が得られやすくなります。
日常点検では運転状態における異常の有無を確認することを目的として行います。
充電状態において主に目視や異音、異臭がないかを確認します。
特別点検(臨時点検)は異常箇所探索や機器性能評価のため問題文のような試験を実施したりします。
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02
答えは「1」です。
(ア)高く (イ)小さく (ウ)高い (エ)日常 (オ)特別
それでは、(ア)~(オ)の解説を順番にしていきます。
まず、おさらいになるかも知れませんが、コンデンサについての説明です。
コンデンサとは、面積が同じ2枚の電極(金属板)を対面させた構造になっています。
コンデンサに電圧を加えると、片方の電極には電子が集まりマイナスに帯電し、もう一方の電極は、プラスに帯電します。
この帯電によって、2枚の電極の間には、電荷が蓄えられたことになります。
コンデンサの静電容量は、コンデンサに蓄えることができる電荷の量のことです。
この静電容量は、対面する電極(金属板)の面積に比例して大きくなります。
電極と電極の間の距離を長くすると反比例して小さくなります。
電極間の誘電率によっても静電容量は変化します。
静電容量Cは、電極の面積をS、電極間の距離をd、誘電率をεで表すと
C=ε×(S/d)
となります。
誘電率が高いほど、コンデンサの静電容量は大きくなります。
蓄えられた電荷は電気エネルギーになります。
コンデンサはサイズが小さくて、静電容量が大きいことが求められます。
誘電率が高いほど、静電容量は大きくなりますので、
(ア)は、「高い」になります。
次に、誘電正接についての説明です。
コンデンサの静電容量は、容量性リアクタンスで、位相は90°進み位相です。
同じリアクタンスでも、インダクタンスは誘導性リアクタンスで、90°遅れ位相です。
理想的なコンデンサは容量性リアクタンスだけで90°進み位相になる素子ですが、実際のコンデンサには微小ながら抵抗があります。
(この抵抗は、寄生抵抗と呼ばれ、電気図面では書かれることはありません)
抵抗は、位相の進み・遅れは無いので0°です。
X軸に抵抗、Y軸に容量性リアクタンスをとると、
抵抗の端と容量性リアクタンスの端をつなげると三角形ができます。
抵抗は微小な値なので、容量性リアクタンスの辺が長い三角形になります。
この三角形の鋭角部分が角度δとなり、tanδが誘導正接となります。
参考ですが、tanδ=Ir/Icで、δは損失角と呼びます。
誘導正接は、理想的コンデンサには存在しない寄生抵抗が関係しており、
寄生抵抗と電流で生じるエネルギーは損失になります。
損失は小さいことが求められます。
よって、誘電正接は小さいことが求められます。
(イ)は、「小さい」になります。
続いて、(ウ)に関する説明です。
絶縁抵抗や絶縁耐力が低いと、電極間に加えた電圧がサージで飛びます。
雷を思い浮かべてください。
雲の電気エネルギーが、雲と地面の空気層の絶縁抵抗を流れて雷となり雲から地面に流れます。
同様に、コンデンサの絶縁抵抗が低いと電極間に加えた電圧が低くても雷(サージ)となって、電気エネルギーが放電されてしまいます。
これでは、コンデンサは電気エネルギーを蓄えられません。
絶縁耐力は、雷(サージ)が発生しない電圧のことです。
よって、絶縁抵抗や絶縁耐力は高いことが求められます。
(ウ)は、「高い」になります。
残る(エ)と(オ)は、点検に関わることです。
コンデンサの静電容量・損失の測定、端子-外箱間の絶縁抵抗測定、耐電圧試験などの電気性能を確認する点検は、特別点検で実施します。
特別点検の頻度は、保安規程で制定して国への手続きが必要となります。
多くの事業者は、1年で制定しており年次点検と呼びます。
安全性が高ければ、点検の頻度は1年以上に伸ばせます。
よって、(オ)は「特別」になります。
電気性能以外は、日常点検で実施します。
電気性能以外の点検とは、油漏れ、発錆、がいしの汚損、容器の変形、端子部の過熱及び機器の異常過熱などです。
よって、(エ)は「日常」になります。
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