第三種電気主任技術者の過去問
平成29年度(2017年)
機械 問50

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成29年度(2017年) 機械 問50 (訂正依頼・報告はこちら)

定格容量50kV・Aの単相変圧器において、力率1の負荷で全負荷運転したときに、銅損が1000w、鉄損が250Wとなった。力率1を維持したまま負荷を調整し、最大効率となる条件で運転した。銅損と鉄損以外の損失は無視できるものとし、この最大効率となる条件での効率の値[%]として、最も近いものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
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この過去問の解説 (2件)

01

変圧器が最大効率となる条件で運転した時の効率の値を求める問題です。

効率を求める前に、問題文にある銅損と鉄損を説明します。

変圧器には、銅損Pc(負荷損)と鉄損Pi(無負荷損)の損失があります。

まず、銅損Pcです。

銅損Pcは、コイル抵抗Rを流れる電流値による損失です。

Pc=V×I=I^2×R ---①

この問題では求める必要はありませんが、

銅損は変圧器1次側と2次側の等価回路にして求めます。

1次側等価回路でも2次側等価回路でもどちらでも構いません。

式①のIとRは、1次側等価回路なら1次側に変換した電流I1と抵抗R1、

2次側等価回路なら2次側に変換した電流I2と抵抗R2を式①に代入して計算します。

次に、鉄損Piです。

鉄損は、うず電流損Pkとヒステリシス損Phです。

鉄損を計算する必要はありませんが、

この2つの損失は、

周波数fと1次電圧V1と磁束密度Bが関係します。

Pk∝V/f 、 Ph∝V^2

このように、変圧器には銅損と鉄損の損失があるため、

変圧器の効率(%)は、

効率(%)=(出力/入力)×100

    = {出力/(出力+損失)} ×100 ---②

となります。

出力は、VとIと負荷率、力率で求めます。

計算式は、出力=V×(I×負荷率)×力率 となります。

問題文で”力率は1”と与えられていますが、

負荷率は与えられていませんので負荷率αとすると、

出力=V×I×α×1=αP ---③

となります。

式②の損失は、銅損と鉄損のことでした。

銅損は、変圧器の電流Iの2乗に比例します。

(Pc=I^2×Rより)

負荷率αの時の銅損Pc’は

Pc’=(α×I)^2×R

  =α^2×I^2×R

式①より

Pc’=α^2Pc ---④

となります。

鉄損は、負荷率に影響せず Piのままですので、

損失=鉄損+銅損=Pi+α^2×Pc ---⑤

よって、式②の効率(%)は、式③の出力 と 式⑤の損失より

効率(%)=αP/{αP+(Pi+α^2×Pc)}×100 ---⑥

となります。

問題文より、効率を求める条件は”力率1で最大効率となる条件で運転”となっています。

最大効率になる条件は、

式⑤の(Pi+α^2×Pc)が最も小さい時です。

(Pi+α^2×Pc)が最も小さい時は、

最小の定理より、Pi=α^2×Pcの時となります。

それでは、次に負荷率を求めます。

問題文より、全負荷運転したときの銅損は1000wで鉄損は250wだと与えられています。

銅損=鉄損 の時に最大効率です。

鉄損は負荷率によっては変わりません。、

銅損は負荷率によって変わります。

そのため、銅損が250wになる負荷率の時が最大効率ということになります。

銅損を250wにするなら、式④より

250=1000×α^2となり、α=1/2(α^2=1/4より)となります。

P=50,000V・A(問題文の定格容量50kV・A)、鉄損Pi=250w、銅損Pc’=250w、負荷率α=0.5より、

効率を求めると、式⑥より

効率(%)=0.5×50,000/{0.5×50,000+(250+250)}×100

    ={25,000/(25,000+500)}×100

    =(25,000/25,500)×100=98.039≒98.0(%)

となり、「98」が答えになります。

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02

解答

定格容量をSn=50[kVA]、負荷力率をcosθ=1、全負荷銅損をWc=1000[W]、鉄損をWi=250[W]、負荷率α(=負荷の容量/定格容量)とすると効率η[%]は

η=分子/分母×100[%]

分子=α・Sn・cosθ

分母=α・Sn・cosθ+Wi+α^2・Wc

となります。

鉄損は負荷によって変わらず、無負荷損とも呼ばれます。

銅損は負荷電流によって増減しますので負荷損とも呼ばれます。

変圧器が最大効率となるのは鉄損=銅損の時です。

つまり、Wi=α^2・Wc

となります。

この時の負荷率αを求めると

α=√(Wi/Wc)= √(250/1000)=0.5

つまり定格容量の半分の負荷の時に最大効率となります。

最大効率η[%]は

分子=0.5×50×10^3×1=25000

分母=0.5×50×10^3×1+250+250=25500

η=分子/分母=25000/25500×100=98.04[%]

となります。

よって答えは4番の98[%]となります。

解説

銅損は変圧器の主に巻線抵抗で発生し、抵抗に電流が流れることで発生する「ジュール熱」なのでW=R×I^2となり、電流の2乗に比例することから負荷率も2乗となります。

参考になった数0