第三種電気主任技術者の過去問
平成29年度(2017年)
機械 問58

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成29年度(2017年) 機械 問58 (訂正依頼・報告はこちら)

定格出力15kW、定格電圧400V、定格周波数60Hz、極数4の三相誘導電動機がある。この誘導電動機が定格電圧、定格周波数で運転されているとき、次の問に答えよ。

この誘導電動機が巻線形であり、全負荷時の回転速度が1746min-1であるものとする。二次回路の各相に抵抗を追加して挿入したところ、全負荷時の回転速度が1455min-1となった。ただし、負荷トルクは回転速度によらず一定とする。挿入した抵抗の値は元の二次回路の抵抗の値の何倍であるか。最も近いものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
  • 1.2
  • 2.2
  • 5.4
  • 6.4
  • 7.4

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この過去問の解説 (2件)

01

電動機の回転数が変化しています。回転数の変化には、”すべり”が関係します。
電動機のすべりが変わると、電動機の回転数が変わります。
このすべりに影響するのが、電動機の抵抗です。

この問題は、2次回路に抵抗を追加して挿入する前と後の回転数から挿入前後のすべりを求めて、
挿入した抵抗の値は元の二次回路の抵抗の値の何倍かを求めます。

まず、挿入前後のそれぞれのすべりを求めます。

電動機の同期回転数をN(min^-1)、滑りをs(%)とすると、
実際の回転数Ns(min^-1)を求める式は、

Ns=(1-s)×N ---①
となります。

2次回路に抵抗を追加する前のすべりをs1とします。
そして、2次回路に抵抗を追加して挿入した後のすべりをs2とします。

滑りがない時の回転数N(同期回転数)は、周波数fと極数pで表すと、

N=(120×f)/p ---②
となります。

周波数60Hz、極数4と問題文で与えられているので、
回転数Nは、式②に代入すると、

N=(120×60)/4=1800(min^-1)

N=1800(min^-1) ---③
となります。

2次回路に抵抗を追加するの前のすべりs1を計算すると、
抵抗追加前の回転数は1746(min^-1)なので、
式①と式③より

1746=(1-s1)×1800
s1=0.03 ---④

2次回路に抵抗を追加した後のすべりs2を計算すると、
回転数が1455(min^-1)なので、式①と式③より

1455=(1-s2)×1800
s2=0.192 ---⑤


s1とs2のそれぞれのすべりが分かったので、
挿入した抵抗の値は元の二次回路の抵抗の値の何倍かを求めます。

挿入した抵抗値をR、元の二次回路の抵抗値をrとします。
問題文より、負荷トルクは変わらないのでトルクの比例推移より、

すべりと抵抗値の関係は、

r/s1=(r+R)/s2 ---⑥
となります。

式⑥を変形すると、

r/s1=(r+R)/s2=r/s2+R/s2

R/s2=r/s1(1-s1/s2)

R/r=s2/s1(1-s1/s2) ---⑦

式⑦に、s1=0.03(式④)とs2=0.192(式⑤)を代入すると、

R/r=0.192/0.03×(1-0.03/0.192)=6.4×(1-0.156)=5.4

挿入した抵抗がR、元の二次回路の抵抗値がr なので、

挿入した抵抗がRは、元の二次回路の抵抗値がrの5.4倍となります。

よって、「3」が正解になります。

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02

解答
周波数f=60[Hz]、極数p=4とすると同期速度Ns[min^-1]は
Ns=120×f/p=120×60/4=1800[min^-1]
となります。
全負荷時の回転速度1746[min^-1]の時のすべりをs1とすると
s1=(1800-1746)/1800=0.03
となります。
また、回転数1455[min^-1]の時のすべりをs2とすると
s2=(1800-1455)/1800=0.19166….=0.192
となります。
問題文より外部抵抗を挿入しても負荷トルクは変わらないのでトルクの比例推移を用いて外部抵抗を求めます。
元の二次回路の抵抗をr2[Ω]、外部抵抗をR[Ω]とすると
r2/s1=(r2+R)/s2
となります。この式を変形して
R=(s2/s1-1)×r2
となります。問いは「r2の何倍のRを挿入したか?」と聞かれていますので
R/r2=s2/s1-1=0.192/0.03-1=5.4倍
となります。
よって答えは3番の5.4倍となります。

解説
誘導機のL形等価回路では二次側巻線抵抗をr2’[Ω]、すべりをsとすると二次電流I2[A]、二次入力P2[W]、トルクT[N・m]にはr2’/sが含まれています。
トルクの比例推移では例えばr2’をn倍してもsを同じn倍すると
r2’/s=n・r2’/n・s=r2’/s
となりますので、トルクは変わらないということを意味しています。
r2’/sがあれば二次電流でも二次入力でもこの比例推移は使用できます。

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