第三種電気主任技術者の過去問
令和2年度(2020年)
電力 問32
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問題
第三種 電気主任技術者試験 令和2年度(2020年) 電力 問32 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文章は、架空送電線路に関する記述である。
架空送電線路の線路定数には、抵抗、作用インダクタンス、作用静電容量、( ア )コンダクタンスがある。線路定数のうち、抵抗値は、表皮効果により( イ )のほうが増加する。また、作用インダクタンスと作用静電容量は、線間距離Dと電線半径rの比D/rに影響される。D/rの値が大きくなれば、作用静電容量の値は( ウ )なる。
作用静電容量を無視できない中距離送電線路では、作用静電容量によるアドミタンスを1か所又は2か所にまとめる( エ )定数回路が近似計算に用いられる。このとき、送電端側と受電端側の2か所にアドミタンスをまとめる回路を( オ )形回路という。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の選択肢の中から一つ選べ。
架空送電線路の線路定数には、抵抗、作用インダクタンス、作用静電容量、( ア )コンダクタンスがある。線路定数のうち、抵抗値は、表皮効果により( イ )のほうが増加する。また、作用インダクタンスと作用静電容量は、線間距離Dと電線半径rの比D/rに影響される。D/rの値が大きくなれば、作用静電容量の値は( ウ )なる。
作用静電容量を無視できない中距離送電線路では、作用静電容量によるアドミタンスを1か所又は2か所にまとめる( エ )定数回路が近似計算に用いられる。このとき、送電端側と受電端側の2か所にアドミタンスをまとめる回路を( オ )形回路という。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の選択肢の中から一つ選べ。
- ア:漏れ イ:交流 ウ:小さく エ:集中 オ:π
- ア:漏れ イ:交流 ウ:大きく エ:集中 オ:π
- ア:伝逹 イ:直流 ウ:小さく エ:集中 オ:T
- ア:漏れ イ:直流 ウ:大きく エ:分布 オ:T
- ア:伝逹 イ:直流 ウ:小さく エ:分布 オ:π
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この過去問の解説 (2件)
01
架空送電線路の線路定数としては、
下記の4つが挙げられます。
・抵抗
・作用インダクタンス
・作用静電容量
・漏れコンダクタンス
よって、[ア]は「漏れ」です。
表皮効果とは、導体を流れる電流の周波数が高いほど、
導体表面に流れ、内部を流れない現象のことです。
流れる導体断面を考えると、
表皮効果が強く働くと、電流の流れる面積が小さくなります。
つまり、抵抗値が大きくなります。
そして、この効果は交流で現れるものです。
よって、[イ]は「交流」です。
作用インダクタンスの公式は、
L = 0.05 + 0.4605 log10(D/r)
として表せます。
作用静電容量の公式は、
C = 0.02413/log10(D/r)
で表すことができます。
式中のD/rは、電線間の距離/電線の半径の比を表しており、
D/rが大きければ、作用静電容量の値は小さくなります。
よって、[ウ]は「小さく」です。
つまり作用静電容量は電線間の距離が非常に大きければ、
無視することができます。
しかしながら無視できない中距離送電線路では、
作用静電容量によるアドミタンスを1か所、
または2か所にまとめる、集中定数回路が近似計算に用いられます。
問題文に「まとめる」とありますので、
[エ]は「集中」であると推測することも容易かと思います。
送電線端側と、受電端側の2か所にアドミタンスをまとめる回路を、
π形回路といいます。
よって、[オ]は「π」です。
中央1か所にまとめる場合は、T形回路となります。
これは回路の見た目からの名称です。
よって、[1]が正解です。
作用静電容量の式と、作用インダクタンスの式は迷いがちですが、
距離が離れると静電容量を無視できる事はイメージしやすいです。
そこから、D/rが大きくなれば静電容量が小さくなることを覚えると良いです。
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02
正解は1です。
架空送電線路の線路定数とは、下記の4つとなります。
・送電線の抵抗
・インダクタンス
・静電容量(キャパシタンス)
・漏れコンダクタンス(リーカンス)
線路定数は、電線の種類、太さ、構造などによって定まる値であって、送電電圧、電流、力率、気象条件などによって線路定数の値が変化することなく、常に一定となります。
線路定数のうち抵抗値は、材料、長さ、断面積で決まりますが、電線の中心部より、外側の方が抵抗が大きくなる表皮効果により、交流を流すと抵抗値は高くなります。
表皮効果は、電線が太いほど、また周波数が高いほど、大きくなります。
作用インダクタンスLと作用静電容量Cは、線間距離Dと電線半径rを用いると、下記の式で表されます。
L ≒ 0.05 + 0.4605 log10(D/r) [mH/km]
C ≒ 0.02412 / log10(D/r) [μF/km]
上記の式より、D/r の値が大きくなれば、作用インダクタンスLは大きくなり、作用静電容量は小さくなります。
また送電線路の電力、電圧、電流などは、線路定数を用いて表した等価回路にて計算をおこないますが、次のような場合、線路こう長によって線路定数の用いる方法が変わります。
・こう長が数十 km 程度の短距離送電線路
線路定数のうち、静電容量と漏れコンダクタンスを無視し、抵抗とインダクタンスが1か所に集中しているインピーダンス回路として考えます。
・こう長が100 km 程度の中距離送電線路
線路定数のうち、静電容量、抵抗、インダクタンスが1か所に集中している集中定数回路として考えます。
集中定数回路は、静電容量が電線路の中央に集中しているT回路と、静電容量が両側に集中しているπ回路の2通りがあります。
よって、1 の「ア:漏れ イ:交流 ウ:小さく エ:集中 オ:π」が正解となります。
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