第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和2年度(2020年)
問58 (機械 問58)
問題文
この誘導電動機を、電源周波数50Hzにおいて、60Hz運転時の定格出力トルクと同じ出力トルクで連続して運転する。この50Hzでの運転において、滑りが50Hzを基準として0.05であるときの誘導電動機の出力の値[kW]として、最も近いものを次の選択肢の中から一つ選べ。
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問題
第三種電気主任技術者(電験三種)試験 令和2年度(2020年) 問58(機械 問58) (訂正依頼・報告はこちら)
この誘導電動機を、電源周波数50Hzにおいて、60Hz運転時の定格出力トルクと同じ出力トルクで連続して運転する。この50Hzでの運転において、滑りが50Hzを基準として0.05であるときの誘導電動機の出力の値[kW]として、最も近いものを次の選択肢の中から一つ選べ。
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この過去問の解説 (3件)
01
50Hzにおいて、60Hz運転時の定格出力トルクと
同じトルクで連続して運転するという条件から、
まず、60Hz運転時の定格出力トルクを求めます。
T60 = P/ω
ここで、60Hz運転時の滑りsは0.02なので、
角速度ωは同期速度ωsに(1 − 0.02)を掛けます。
T60 = 45 × 103 / (ωs × 0.98)
ここで
ωs = 120f/p
= (120 × 60 / 4) [min-1]
ここで (2π/60)を掛けて、rad/sの単位にすると、
結局、ωs = 60π
よって、
T60 = 45 × 103 / (60π × 0.98)
= 765.3 / π [Nm]
( = T50)
続いて、50Hzで上記T60と同じトルクで運転している時の、
角速度を求めます。
この時の滑りは0.05と与えられていることから、
ω50 = 120f/p × (1 − 0.05) × 2 × π / 60
= 0.95 × 50π
= 47.5π [rad/s]
以上の結果を用いて、
50Hz運転時の出力を求めると、
P = ω50 T50
= 47.5π × 765.3 / π
= 36351.75
≒ 36 kW
よって、[1]が正解です。
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02
正解:【1】
この問題は、三相誘導電動機(Induction Motor)に関する問題です。
この問題のポイントは、異なる条件において同じ出力トルクで運転することです。
三相誘導電動機に関する基本的な式を使うことになるので、以下ではここで必要な式を記載します。
出力トルク T は次の式で表せます。
式1) T = 60 / (2 * π) * Po / nr
ここで、Poは出力(単位:W)、nrは回転速度(単位:1/min)です。
回転速度 nr は、同期速度 ns と滑り s から計算できます。
式2) nr = ns * (1 − s)
同期速度 ns は、極数 p と周波数 f(単位:Hz)から計算できます。
式3) ns = 120 * f / p
式2と式3から、nr は次ように書けます。
式4) nr = 120 * f / p * (1 − s)
式1と式4を合わせますと、
T = 60 / (2 * π) * Po / { 120 * f / p * (1 − s) }
→ T = p * Po / { 4 * π * f * (1 − s) }
定格においての値を“0”とインデックスし、新しい条件を“1”とすると、同じトルクであることから、次の関係になります。
p * Po0 / { 4 * π * f 0 * (1 − s0) } = p * Po1 / { 4 * π * f1 * (1 − s1) }
左辺と右辺で同じ部分を省略しますと、次のようになります。
Po0 / { f 0 * (1 − s0) } = Po1 / { f 1 * (1 − s1) }
ここから、求めたいPo1は次のように計算できます。
Po1 = Po0 * { f 1 * (1 − s1 } / { f 0 * (1 − s0) }
実際の数値を代入しますと、次のようになります。
Po1 = 45 * { (50 * (1 − 0.05) } / { (60 * (1 − 0.02) } = 36.3 ≒ 36
以上により、選択肢の【1】が正解となります。
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03
三相誘導電動機において、周波数を変更した後の出力を求める計算問題です。
◆50[Hz]で運転する時の出力を求める式を導出します
トルクと出力にはT=P0/ωの関係があり、問題文には周波数変換前後のトルクは同じとあるので、
P050/ω50=P060/ω60
が、成立します。
さらに、ω=2πN/60と表すことができるので、
P050/(2πN50/60)=P060/(2πN60/60)
P050/N50=P060/N60 ……①
と整理することができます。
◆それぞれの周波数での回転数を求めます
滑りsの公式s=(Ns-N)/NsよりNについて整理すると、
s=(Ns-N)/Ns
N=Ns(1-s)
となり、NsはNs=120f/pで求められるので、代入して整理すると
N=Ns(1-s)
=(120f/p)(1-s) ……②
となります。
②を利用して、各周波数での回転数を求めます。
N50=(120f50/p)(1-s50)
=(120✕50/4)(1-0.05)
=1425[min-1]
N60=(120f60/p)(1-s60)
=(120✕60/4)(1-0.02)
=1764[min-1]
◆50[Hz]で運転している時の出力を①から求めます
①をP050について整理し、値を代入すると、
P050=(N50/N60)P060
=(1425/764)✕45
≒36.4 [kW]
したがって、最も近い選択肢は36[kW]となります。
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