第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和5年度(2023年)上期
問19 (理論 問19)
問題文
図のように、極板間の厚さd[m]、表面積S[m
2]の平行板コンデンサAとBがある。コンデンサAの内部は、比誘電率と厚さが異なる3種類の誘電体で構成され、極板と各誘電体の水平方向の断面積は同一である。コンデンサBの内部は、比誘電率と水平方向の断面積が異なる3種類の誘電体で構成されている。コンデンサAの各誘電体内部の電界の強さをそれぞれE
A1、E
A2、E
A3、コンデンサBの各誘電体内部の電界の強さをそれぞれE
B1、E
B2、E
B3とし、端効果、初期電荷及び漏れ電流は無視できるものとする。また、真空の誘電率をε
0[F/m]とする。両コンデンサの上側の極板に電圧V[V]の直流電源を接続し、下側の極板を接地した。次の問に答えよ。
コンデンサAにおける各誘電体内部の電界の強さの大小関係とその中の最大値の組合せとして、正しいものを次のうちから一つ選べ。
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問題
第三種 電気主任技術者試験 令和5年度(2023年)上期 問19(理論 問19) (訂正依頼・報告はこちら)
図のように、極板間の厚さd[m]、表面積S[m2]の平行板コンデンサAとBがある。コンデンサAの内部は、比誘電率と厚さが異なる3種類の誘電体で構成され、極板と各誘電体の水平方向の断面積は同一である。コンデンサBの内部は、比誘電率と水平方向の断面積が異なる3種類の誘電体で構成されている。コンデンサAの各誘電体内部の電界の強さをそれぞれEA1、EA2、EA3、コンデンサBの各誘電体内部の電界の強さをそれぞれEB1、EB2、EB3とし、端効果、初期電荷及び漏れ電流は無視できるものとする。また、真空の誘電率をε0[F/m]とする。両コンデンサの上側の極板に電圧V[V]の直流電源を接続し、下側の極板を接地した。次の問に答えよ。
コンデンサAにおける各誘電体内部の電界の強さの大小関係とその中の最大値の組合せとして、正しいものを次のうちから一つ選べ。
-
EA1>EA2>EA3,3V/5d
-
EA1<EA2<EA3,3V/5d
-
EA1=EA2=EA3,V/d
-
EA1>EA2>EA3,9V/5d
-
EA1<EA2<EA3,9V/5d
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この過去問の解説 (3件)
01
コンデンサの電界に関する計算問題です。
電界は電圧をV[V]、極板間距離をd[m]とすると、E = V/d[V/m]で表されます。
極板間距離はすでに分かっているので、各コンデンサにかかる電圧が求まると、電界が求まります。
誘電率がそれぞれ異なる誘電体が縦に並んでいるとき、それぞれの誘電体を持つコンデンサを直列接続することと等価になります。
誘電率が2ε0の誘電体をもつコンデンサをC1、3ε0の誘電体をもつコンデンサをC2、6ε0の誘電体をもつコンデンサをC3とすると、静電容量の公式C = εS/d[F]より、
C1 = 2ε0S / (d/6) = 12ε0S / d
C2 = 3ε0S / (d/3) = 9ε0S / d = 3C1 / 4
C3 = 6ε0S / (d/2) = 12ε0S / d = C1
ここで、各コンデンサにかかる電圧は、静電容量に逆比例します。C1、C2、C3にかかる電圧をそれぞれV1、V2、V3とすると、
V1=(1/C1)V / (1/C1+1/C2+1/C3)
= (1/C1)V / (1/C1+4/3C1+1/C1)
= 3V / (3+4+3)
= 3V/10
V2=(1/C2)V / (1/C1+1/C2+1/C3)
= (4/3C1)V / (1/C1+4/3C1+1/C1)
= 4V / (3+4+3)
= 4V/10
V3=(1/C3)V / (1/C1+1/C2+1/C3)
= (1/C1)V / (1/C1+4/3C1+1/C1)
= 3V / (3+4+3)
= 3V/10
これらより、電界は
EA1 = (3V/10) / (d/6) = 9V/5d
EA2 = (4V/10) / (d/3) = 6V/5d
EA3 = (3V/10) / (d/2) = 3V/5d
EA1>EA2>EA3となり、最大値はEA1の9V/5dとなります。
こちらが正答です。
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02
電束密度D、電界EA1 、EA2 、EA3 とすると下記のとおりです。
EA1 =D/2ε0
EA2 =D/3ε0
EA3 =D/6ε0
よって、EA1>EA2>EA3となります。
次に、電圧Vは下記のとおりです。
V=EA1*d/6+EA2*d/3+EA3*d/2・・・①
ここで、
EA2 =2//3 EA1
EA3 =1/3EA1
を①に代入して、整理します。
すると、
EA1=9V/5d
と求めることができます。
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03
平行板コンデンサに関する計算問題となります。
問題で問われているのは、コンデンサAにおける各誘電体内部の電界の強さの大小関係とその時の強さの最大値を求める形となります。
なのでまずは電界の強さの大小関係から求めていきます。公式は以下となります。
・E=V/d[V/m]‥①
※E:電界の強さ、V:電圧[V]、d:極板間距離[m]
改めてコンデンサAを整理すると誘電率と極板間の距離がそれぞれ違う3つのコンデンサが直列に接続されています。断面積は同一となっています。
この問題を解くにあたって関係する式を以下に記します。
・V=Ed[V]‥②※①式の変形となります。
・Q=CV[C]‥③
・C=εS/d[F]‥④
上記②式を③式に代入します。
・Q=CEd[C]‥③´
さらに④式を上記式に代入します。
・Q=εS/d×Ed=εSE[C]‥③´´
上記式を電界の強さEについて解くと次のようになります。
・E=Q/εS[V/m]‥⑤
これらの結果からも電界の強さは断面積と誘電率に反比例していることが分かります。
またコンデンサAは誘電体は3種類とも異なりますが断面積は同一なので今回は誘電率のみを考慮すれば良いです。
改めて各極板間の誘電体を見ていきます。
・EA1=2ε0、EA2=3ε0、EA3=6ε0
ここで⑤式の結果より、電界の強さは誘電率に反比例しているので、誘電率の一番少ないEA1が一番強いと言えます。大きい順に並べると次のようになります。
・EA1>EA2>EA3
続いて電界の強さの最大値を求めていきます。公式②を用いて3種類にかかる極板間の電圧を表します。
・VA1=Ed=EA1×(d/6)=EA1d/6
ここで一番電界が強いEA1の誘電体にEA2、EA3を換算します。
EA1を基準とすると以下の関係性が表せます。
・EA2/EA1=3ε0/2ε0=1.5(EA2の誘電体はEA1の1.5倍)
・EA3/EA1=6ε0/2ε0=3.0(EA2の誘電体はEA1の3倍)
なのでEA1に換算する際は誘電体に反比例した率をEA2、EA3にかけます。
・VA2=Ed=(d/3)×(2EA1/3)=EA12d/9
・VA3=Ed=(d/2)×(EA1/3)=EA1d/6
ここで全体の電源電圧V[V]を求めます。
・V=VA1+VA2+VA3[V]
・V=EA1×{(d/6)+(2d/9)+(d/6)}
・V=EA1×(10d/18)
上記式をEA1について解くと次のようになります。
・EA1=18V/10d=9V/5d
以上となります。
こちらが適切な解答となります。
コンデンサの問題は頻出しているので繰り返しの学習で慣れる事をお薦め致します。
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