第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和5年度(2023年)下期
問10 (理論 問10)
問題文
この回路において、スイッチSを1側に接続してコンデンサを十分に充電した後、時刻t=0sでスイッチSを1側から2側に切り換えた。2側に切り換えた以降の記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし、自然対数の底は、2.718とする。

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問題
第三種 電気主任技術者試験 令和5年度(2023年)下期 問10(理論 問10) (訂正依頼・報告はこちら)
この回路において、スイッチSを1側に接続してコンデンサを十分に充電した後、時刻t=0sでスイッチSを1側から2側に切り換えた。2側に切り換えた以降の記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし、自然対数の底は、2.718とする。

- 回路の時定数は、Cの値[F]に比例する。
- コンデンサの端子電圧vC[V]は、Rの値[Ω]が大きいほど緩やかに減少する。
- 時刻t=0sから回路の時定数だけ時間が経過すると、コンデンサの端子電圧vC[V]は直流電源の電圧E[V]の0.368倍に減少する。
- 抵抗の端子電圧vR[V]の値は負である。
- 時刻t=0sにおける回路の電流i[A]は、Cの値[F]に関係する。
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この過去問の解説 (2件)
01
RC直列回路においてスイッチを切り替えた場合の変化に関する記述から誤っているものを選択する問題です。
コンデンサを有する回路の時定数は、τ=CRで求めることができます。
抵抗値が大きいと時定数が比例して大きくなるため、コンデンサの端子電圧は緩やかに減少していきます。
時定数とは、最大値から63.2%変化した状態を示す値です。
直流電源Eの最大値を100%とした場合、最大値から時定数分を引いた36.8%がコンデンサの端子電圧となり、直流電源の0.368倍となります。
問題文にある状態を回路図に表すと、下図のようになります。
与えられた回路図における抵抗Rの電圧降下は、右から左側になっています。
スイッチを切り替えた場合はコンデンサが電源となり、赤い線の向きで電流が流れます。
したがって、抵抗の電圧降下の向きは緑の矢印の向きになり、与えられた向きとは逆なので負となります。
コンデンサを十分に充電した後にスイッチを切り替えると、下図のようになります。
t=0の瞬間はコンデンサが一気に蓄えた電荷を放出するため、次の式で表すことができます。
i=−E/R …①
マイナスがついているのは、問題文で与えられた向きと電流の向きが逆になっているためです。
①より、t=0の瞬間の電流の式はコンデンサの値に依存していません。
そのため、この選択肢が誤った記述となります。
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02
この問題を解くポイントは、「RC直列回路における時定数の意味を理解し、電流や電圧の減衰を正しく把握すること」です。
それでは問題を見ていきましょう。
この記述は正しいです。
時定数Tは、RC直列回路において以下の公式で求められます。
T=R×C[s]
時定数はコンデンサの充放電にかかる時間を特徴づける値であり、
T秒後には電圧または電流が初期値の約63.2%に達する、または36.8%に減少することを意味します。
この記述は正しいです。
時定数Tは、抵抗Rの値が大きくなるほど増加します。
抵抗が大きいほどコンデンサの放電が緩やかになり、減衰速度が遅くなることを示しています。
この記述は正しいです。
時刻t=Tでは、コンデンサの端子電圧VCは初期値の約36.8%に減少します。
この値は自然対数の底e=2.718を利用して次の式で計算できます。
VC=E×e−t/T[V]
ここで、時刻 t=Tを代入すると
Vc=E×e−1=E×0.368 となります。
この記述は正しいです。
スイッチが2側に切り替わった後、抵抗Rの端子電圧VRはコンデンサの放電により徐々に減少します。
この電圧はコンデンサの端子電圧と等しいため、放電時には VR=Vcとなります。
・放電の初期段階(時刻 t=0)では、コンデンサが直流電源と同じ挙動を示すため、
電流は以下の式で表されます。
i=E÷R[A]
放電初期の電流iはC(コンデンサの静電容量)には関係しません。
この記述は誤りです。
放電初期の電流iはC(コンデンサの静電容量)に関係しないことがわかりました。
一言知識
RC回路の時定数Tは、電圧や電流の時間的変化を特徴づける重要な指標です。
特に放電時の挙動を理解することで、エネルギー管理に役立ちます。
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