第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和6年度(2024年)上期
問76 (法規 問11(b))

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和6年度(2024年)上期 問76(法規 問11(b)) (訂正依頼・報告はこちら)

変電所から三相3線式1回線の専用配電線で受電している需要家がある。この配電線路の電線1条当たりの抵抗及びリアクタンスの値は、それぞれ3Ω及び5Ωである。この需要家の使用電力が8000kW、負荷の力率が0.8(遅れ)であるとき、次の問に答えよ。

需要家にコンデンサを設置して、負荷の力率を0.95(遅れ)に改善するとき、この配電線の電圧降下の値[V]の、コンデンサ設置前の電圧降下の値[V]に対する比率[%]の値として、最も近いのは次のうちどれか。
ただし、この需要家の受電電圧[kV]は、コンデンサ設置前と同一の20kVとする。
  • 66.6
  • 68.8
  • 75.5
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この過去問の解説 (2件)

01

三相3線式配電線の力率変化前後の電圧降下の比率に関する計算問題です。

 

この問題を解くにあたり、以下の知識が必要となります。

 

・三相3線式の負荷電力を求める公式

P=√3VrIcosθ

 

・三角関数の関係

sinθ=√(1−cos2θ)

 

・線路での電圧降下の近似式

ε=√3I(Rcosθ+Xsinθ)

選択肢2. 68.8

◆力率変化後の負荷電流を求めます

三相3線式の負荷電力の公式から

 

P=√3VrI'cosθ'

I'=P/√3Vrcosθ'

=(8000✕103)/(√3✕20✕103✕0.95)

≒243.1[A]

 

◆力率変化後の負荷のsinθ'を求めます

 

sinθ'=√(1−cos2θ')

=√(1−0.952)

≒0.3122

 

◆力率変化後の線路での電圧降下を求めます

 

ε'=√3I'(Rcosθ'+Xsinθ')

=√3✕243.1✕(3✕0.95+5✕0.3122)

≒1857[V]

 

◆力率変化前後の電圧降下の比率を求めます

ε'/ε=1857/2700

≒0.688

=68.8[%]

 

※力率変化前の電圧降下εは、前問より引用

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02

この問題は、需要家にコンデンサを設置して力率を改善した場合の電圧降下の変化に関するものです。

 

前問(a)で求めたコンデンサ設置前の電流Iと電圧降下eは、

 I=8000x103/(√3 x 20x103  x 0.8)

 e=√3 x 8000x103/(√3 x 20x103  x 0.8) x (3 x 0.8 + 5 x 0.6)

 

コンデンサ設置後の電圧降下e2は、前問(a)と同様に電流I、電線1条当たりの抵抗R、電線1条当たりのリアクタンスXを用いて以下の式で表されます。

 e2=√3I(Rcosθ2 + Xsinθ2)

cosθ2=0.95なので、sinθ2=√(1 - 0.952)=0.312

これらと、上記のIの値、R=3[Ω]、X=5[Ω]を代入して、

 e2=√3 x 8000x103/(√3 x 20x103  x 0.95) x (3 x 0.95 + 5 x 0.312)

 

求める電圧降下の比率[%]は、

 e2/e x 100=0.8 x (3 x 0.95 + 5 x 0.312)/{0.95 x (3 x 0.8 + 5 x 0.6)} x 100

                =0.8 x 4.41/(0.95 x 5.4) x 100

                =68.8[%]

まとめ

前問(a)と同様に、三相交流回路の電力、電圧降下の計算方法を習得しておきましょう。

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