技術士の過去問
平成27年度(2015年)
適性科目 問36

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問題

技術士 第一次試験 平成27年度(2015年) 適性科目 問36 (訂正依頼・報告はこちら)

技術は人間の目的を実現するための手段として役立つべきものであるが、その人間そのものは、技術のための手段にすぎないというものではない。これは1つの倫理判断であり、こうしたいくつかの倫理判断について、多くの人は概ね合意できるかもしれない。しかし、具体的な倫理判断の根拠となるような、究極的、抽象的な倫理原理( 以下、倫理理論ないし倫理学説に読替え可とする。 )に関しては、倫理学上、複数の原理が並び立ってきた。こうした倫理原理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  • 自分や他人が下した直観的倫理的判断を、その根拠にさかのぼって考えることで、批判的に検討することが大切であり、倫理原理は、われわれの直観的判断の再検討などの作業を行うための道具にもなり得る。
  • 倫理原理に関しては、倫理的行為の目的を「最大多数の最大幸福」の実現に置くか、たとえ社会全体の幸福量が大きくならなくても厳守すべき、もっと重要な「義務」があると考えるか、又は、義務以上の「有徳さ」に注目するか等で、違いが生じる。
  • それぞれの倫理原理には長所と短所があり、それぞれの倫理原理は互いに補い合っているように見えるが、「唯一正しい倫理原理が存在すべきである」というのが技術者倫理における共通見解である。
  • いわゆる功利主義原理は、行為の動機や人々の有徳さよりも、行為の結果や人々の幸福を重視する原理である。
  • 功利主義原理については、公共の利益のためには少数の人の不利益は我慢すべきものだと考えられやすいとの指摘が存在する。

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この過去問の解説 (3件)

01

倫理原理に関する正誤問題です。

1.適切です
直観的に下した倫理的判断について、さかのぼって批判的に検討することが大切です。

2.適切です
倫理的行為の目的によって、倫理原理には違いが生じます。

3.不適切です
それぞれの倫理原理は互いに補い合っていることから、複数の倫理原理から判断していく必要があります。

4.適切です
功利主義原理についての説明であり、正しい記述です。

5.適切です
功利主義では、万人の利益を重視しており、私利を図ることは良しとしないという捉え方もできます。

よって、3が正解です。

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02

正解は3です。
各項目の内容は以下の通りです。

1.正しい記述です。
倫理原理に基づいて判断を行うことは、直感的判断の再検討に繋がります。

2.正しい記述です。
「最大多数の最大幸福」を目指す功利主義や、「義務」に従うべきという義務論、
「徳」に基づいた倫理を説く徳倫理学などの倫理原理によって、
何が倫理的に正しいかに違いが生じてきます。

3.誤った記述です。
「唯一の正しい倫理原理」で一元的に決められるべきというだけでなく、
複数の倫理原理から多元的に判断をするべきという見解もあります。

4.正しい記述です。
功利主義原理は行為の結果として得られる有用性を重視しています。

5.正しい記述です。
功利主義原理は「最大多数の最大幸福」の実現に重きを置くため、
小数の人に不利益を強いるもの、と捉えられることがあります。

したがって、3が不適切なので、正解は3です。

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03

「倫理原理」に関する問題については、技術士として、というよりも一般社会でどのように考えていくべきか、を考えていくと比較的簡単に解けます。落ち着いて問題文を読んで考えていきましょう。「最も不適切なもの」を選ぶ点にも注意が必要です。

1. 適切な記述です。

2. 適切な記述です。

3. それぞれの倫理原理の長所短所を考えながら、その場に応じてより適切な倫理判断をしていくことが技術士には求められます。よって、不適切な記述です。

4. 適切な記述です。

5. 適切な記述です。

以上、正解選択肢は3.となります。

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