技術士の過去問
平成27年度(2015年)
適性科目 問37

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

技術士 第一次試験 平成27年度(2015年) 適性科目 問37 (訂正依頼・報告はこちら)

文部科学省( 以下「文科省」という。 )は、2014年8月に「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」( 以下「新ガイドライン」という。 )を発表した。
その中で不正行為に対する基本姿勢として、「研究活動における不正行為は、研究活動とその成果発表の本質に反するものであるという意味において、科学そのものに対する背信行為であり、また、人々の科学への信頼を揺るがし、科学の発展を妨げるものであることから、研究費の多寡や出所の如何を問わず絶対に許されない。」としている。
新ガイドラインの策定は、2006年に制定された「競争的資金に係る研究活動における不正行為対応ガイドライン」( 以下「旧ガイドライン」という。 )以来のことである。新旧のガイドラインはともに「ガイドライン」と称されるが、その性格や対象となる機関、行政の関与の姿勢などに関して大きく異なる。次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  • 新ガイドラインの最大の特徴は、文部科学大臣決定として定められたことである。ただし、旧ガイドラインが審議会報告の一部と位置付けられたのと同様に、新ガイドラインもあくまでも「指針」であって、文科省が行政的措置をとる際の根拠とはならない。
  • 新ガイドラインは、文科省が機関に対して履行状況調査を実施することを規定している。履行状況次第では文科省が「研究機関に対し、体制整備等の不備について改善事項及びその履行期限を示した管理条件を付す」、文科省の判断に基づき「競争的資金の配分機関は、その研究機関に対する競争的資金における翌年度以降の間接経費措置額を一定割合削減する」、それでも十分でないときは、文科省の判断に基づき「競争的資金の配分機関は、その研究機関に対する翌年度以降の競争的資金の配分を停止する」と規定している。
  • 新ガイドラインは対象とする範囲を拡張しており、研究者や大学院生のみならず学部生さらには研究支援人材など、広く研究に関わる者について研究倫理教育を実施することを明確に要請するなど、研究倫理教育の観点からガイドラインの対象者を拡張した。
  • 新ガイドラインは、対象とする研究活動も拡張した。「文部科学省及び研究費を配分する文部科学省所管の独立行政法人の競争的資金を活用した研究活動」から「競争的資金等、国立大学法人や文部科学省所管の独立行政法人に対する運営費交付金、私学助成等の基盤的経費その他の文部科学省の予算の配分又は措置により行われる全ての研究活動」に拡張した。
  • 新ガイドラインは、機関の管理責任を明確にし、事前防止のための組織的取組を推進するため、研究不正に関わった個人のみならず、所属機関の責任を問い、場合によっては機関に対する措置を講じるものとした。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」に関する正誤問題です。

1.不適切です
指針に則り対応等を図らなかった場合は、
文部科学省による行政的な措置を受けることもあります。

2.適切です
履行状況調査を行い、正しく履行されていない場合は、
管理条件を付与→間接費の削減→競争的資金の返還や制限
のような措置を受けることになります。

3.適切です
新ガイドラインでは、研究倫理教育の観点からガイドラインの対象者を拡張しています。

4.適切です
新ガイドラインでは、ガイドラインが対象とする研究活動を拡張しています。

5.適切です
旧ガイドラインでは、不正行為への対応は研究者個人に委ねられていましたが、新ガイドラインでは研究機関が責任をもって対応に取り組むことが求められています。

よって、1が正解です。

参考になった数34

02

正解は1です。
各項目の内容は以下の通りです。

1.誤った記述です。
履行状況によっては、研究者等へ資金の返還要請や、
研究機関に対しても、管理条件の付与や経費の削減・停止などの措置がとられます。

2.正しい記述です。
文科省が履行状況調査を実施し、場合によっては、
管理条件の付与、間接費の削減や停止などの措置を実施すると規定されています。

3.正しい記述です。
対象者を広く研究に関わる者と拡大して規定されています。

4.正しい記述です。
研究活動についても、記載の通り拡張して規定されています。

5.正しい記述です。
研究機関の管理責任を明確化し、研究機関に対する処置も規定されています。

したがって、不適切なものは1なので、正解は1です。

参考になった数15

03

新旧の「ガイドライン」の内容をすべて頭に入れておくのは試験対策としては現実的ではありませんので、この問題は、ガイドラインの内容に準拠して考えるよりも、一般的な常識としてどう考えるべきか、という点を重視して解いていくと解きやすくなります。

1. 「指針」であっても、当然、行政的措置の根拠になりえますので、この記述は不適切です。

2. 適切な記述です。

3. 適切な記述です。

4. 適切な記述です。

5. 適切な記述です。

以上、正解選択肢は1. となります。

参考になった数6