技術士の過去問
平成27年度(2015年)
適性科目 問38

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問題

技術士 第一次試験 平成27年度(2015年) 適性科目 問38 (訂正依頼・報告はこちら)

これまでの日本における実験ノート( ラボノート )の扱いは、研究者個人の「実験の記録」又は「備忘録」として扱われることが多く、「個人にとってわかりやすい、使いやすいものであればよい」という考え方が主流であった。
しかし「ST A P細胞」をめぐる論文の不正疑惑を契機として、捏造、改ざん、盗用など研究活動の不正行為等に関わる調査において、実験ノートのあり方が注目されている。
科学倫理、研究倫理の観点で、実験ノートに関する次のア )~オ )の記述について、正しいものは〇、誤っているものは×として、最も適切な組合せはどれか。

ア )実験ノートは原則として綴じてあるスタイルのものを使用し、記載はペンやボールペンなど消せないものを使用する。
イ )実験ノートは、特許紛争の回避や特許所有権の明確化にも効果的である。このため、大学や研究機関だけでなく、企業の研究者も活用することが望ましい。
ウ )研究機関は、研究者に対して一定期間研究データを保存し、必要な場合に開示することを義務付ける旨の規程を設けることが求められている。
エ )実験ノートはわかりやすさと正確さが最も重要であり、あいまいな表現や記載に誤りがある場合は、そのページを廃棄して見やすく修正することが望ましい。
オ )実験ノートは研究者個人に帰属するものであるため、研究者が別の研究機関に異動する場合、実験ノートは個人の判断で持ち出してもよい。
  • ア:〇  イ:〇  ウ:〇  エ:×  オ:×
  • ア:×  イ:〇  ウ:〇  エ:×  オ:×
  • ア:〇  イ:×  ウ:〇  エ:×  オ:×
  • ア:×  イ:〇  ウ:×  エ:〇  オ:×
  • ア:〇  イ:〇  ウ:〇  エ:×  オ:〇

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この過去問の解説 (3件)

01

科学倫理、研究倫理の観点を踏まえた、実験ノートの取り扱いに関する問題です。

ア)〇
実験ノートに記載する際は、データの捏造・改ざんを防ぐため、消えないペンで書く必要があります。

イ)〇
実験ノートは、特許紛争などの際には直接的な証拠となることもあり、知的財産であることから、積極的に活用することが望ましいです。

ウ)〇
実験ノートは、必要に応じて開示することができるよう、一定の期間保存することが求められています。

エ)×
実験ノートは、データの捏造・改ざんを防ぐため、消したり破棄したりしてはならず、誤った記載は斜線で消す等が推奨されています。

オ)×
実験ノートは、所属する研究機関に帰属するものであり、個人の判断で持ち出してはいけません。

よって、各選択肢の正誤は、
ア)〇 イ)〇 ウ)〇 エ)× オ)×
となることから、1が正解です。

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02

「研究」に携わる場合が必ずしも多いとは言えない技術士ですが、「研究倫理」「科学倫理」に関する知識および正しい考え方を身に着けておくべきなのは確かであり、技術士試験でもこのような問題が出題されるようになりました。問題の中の各文を慎重に読んで考えていきましょう。

ア) 「綴じてあるスタイル」のノートは、実験の記録の順番を入れ替えることを防止するため、また、「消せないもの」での記載は、改ざんを防ぐために必須です。したがって、〇となります。

イ) 記述の通りです。実際に、知的財産権をめぐる紛争において、実験ノートの日付や内容が判定の決め手となったケースは数多くあります。したがって、〇となります。

ウ) 記述の通りです。全ての研究機関において、制度およびそれを可能にする環境の整備が求められています。したがって、〇となります。

エ) わかりやすさと正確さが最も重要なのはそのとおりであり、見やすく修正することも妨げられていませんが、必ず、元の記録がわかるように修正をすることが大切です。ページは廃棄せず、別のページに改めて「修正版」として記載したり、誤りを正す際も、黒塗りや修正液などを使用せず、二重線で消した上で修正したりするなどの対処が必要です。したがって、×となります。

オ) 実験ノートは研究者個人ではなく研究機関に帰属するものであるため、研究者が別の研究機関に異動する場合、実験ノートは元の研究機関に残していく必要があります。したがって、×となります。ただし、ノートの写しを持ち出すことは認められています。

以上をまとめると、正解選択肢は1.となります。

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03

正解は1です。
各項目の内容は以下の通りです。

ア)正しい記述です。
綴じてあるノートにボールペン等の消えない筆記具で記載し、
後から記述や記録を改ざん出来ないようにする必要があります。

イ)正しい記述です。
後から見ても内容をトレース可能な状態に保つことで、
何か問題が起きた際にも効果があります。

ウ)正しい記述です。
研究内容に疑義が生じた場合など、
後からでも、審議出来るように一定期間のデータ保存を規定することが必要になります。

エ)誤った記述です。
ページを廃棄したり、内容を修正出来るようにしてしまうと
記録の改ざんやデータの捏造を防げなくなったり、
事実関係をトレース出来なくなるので不適切です。

オ)誤った記述です。
実験ノートは個人ではなく、研究機関に帰属すると考えるのが適切であり、
異動後も研究機関で保存することが必要です。
したがって、
ア:○、イ:○、ウ:○、エ:×、オ:×
となるので、正解は1です。

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