技術士の過去問 平成29年度(2017年) 基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問20
この過去問の解説 (3件)
溶媒に溶質を加えた際、沸点が上昇することを沸点上昇といいます。
溶液の沸点上昇は質量モル濃度に比例しており、比例定数Kbをモル沸点上昇といいます。
Kbは溶質によらず、溶媒の種類により、水では1mol/kgあたり0.52℃上昇します。
本問題では、すべて純水に0.1mol/kg溶解しているため、
沸点はすべて同じ値となるはずです。
ただし、NaClやCaCl2のような電解質の物質は、
純水中でNa+やCl-のようなイオンとして存在しており、イオンの全物質量で考える必要があります。
よって、 NaCl → Na+ + Cl- (0.1×2mol)
CaCl2 →Ca+ + 2 Cl- (0.1×3mol)
つまり、CaCl2の沸点上昇が最も大きくなることから、5が正解となります。
水溶液のモル沸点上昇についての問題です。
溶媒(溶かす液体)に溶質(溶かす物質)を加えた際、
溶液(溶媒に溶質が解けてできた液体)の沸点が
上昇することを沸点上昇といいます。
沸点上昇は、溶質の種類にかかわらず、溶質の質量モル濃度に比例します。
沸点上昇度をΔT、溶質の質量モル濃度をmとした場合、
ΔT = Kb m
が成立し、Kbをモル沸点上昇定数といいます。
これによると本問では、それぞれ純水に0.1mol/kg溶解しているため、
沸点はすべて同じ値となるとも思えます。
ただし、この式は、溶質が解離及び会合していないという仮定の下で成立するため、
溶質がイオンに解離する場合には、解離により生じる全粒子数を考慮することとされています。
したがって、本問のNaCl(塩化ナトリウム)やCaCl2(塩化カルシウム)のような電解質の物質は、
純水中でNa+やCl-のようなイオンとして存在しているため、イオンの全物質量で考える必要があります。
よって、
C6H12O6 →(解離しない) ⇒ 0.1×1mol
NaCl → Na+ + Cl- ⇒ 0.1×2mol
CaCl2 →Ca+ + 2 Cl- ⇒ 0.1×3mol
となり、CaCl2の質量モル濃度が一番大きくなることから、沸点上昇も最も大きくなります。
よって、5が正解となります。
化学物質の物性に関する基本問題です。「モル沸点上昇」という言葉を覚えておけば、それほど難しくはないかと思います。溶質の種類によらず、溶媒の種類によって決まりますが、水では、1mol/kgあたり0.52℃上昇することになっています。
今回のケースでは、物質は全て同じ濃度で溶けていますので、沸点上昇も同じになると考えられます。しかしここで、NaClやCaCl2のような、水溶液中で電離する物質に関しては、それぞれのイオンの物質量を合わせた値で考える必要があります。
NaCl→Na+ + Cl- で、0.1+0.1=0.2mol
CaCl2→Ca2+ + 2Cl- で、0.1+0.2=0.3mol
の物質が溶けていることになるため、CaCl2の沸点上昇がもっとも大きくなります。
したがって、正解選択肢は5.となります。
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