技術士の過去問
令和2年度（2020年）
適性科目 問32

＜正解＞２

［解説］

技術者の倫理的意思決定に関する問題です。

各選択肢の適否は以下のとおりです。

１．適切な記述内容です。

技術者は、製品、技術及び知的生産物に関して、

その品質、信頼性、安全性及び環境保全に対する責任を有すると考えられます。

また、職務遂行においては、

常に公衆の安全、健康、福祉を最優先させることが求められます。

これは、技術士倫理綱領（公衆の利益の優先）にも当てはまります。

よって、適切な記述内容です。

２．不適切な記述内容です。

技術者は、研究・調査データの

記録保存や厳正な取扱いを徹底し、

ねつ造、改ざん、盗用などの不正行為をしてはならず、

これに加担もしないことが求められます。

顧客から要求があった場合であっても同様です。

よって、不適切な記述内容です。

３．適切な記述内容です。

技術者は、

人種、性、年齢、地位、所属、思想・宗教などによって

個人を差別せず、

また、個人の人権と人格を尊重することが求められます。

よって、適切な記述内容です。

４．適切な記述内容です。

技術者は、

不正行為を防止する公正なる環境の整備・維持も重要な責務であることを自覚し、

技術者コミュニティ及び自らの所属組織の職務・研究環境を改善する取り組みに積極的に参加することが求められます。

よって、適切な記述内容です。

５．適切な記述内容です。

技術者は、

自己の専門知識と経験を生かして、

将来を担う技術者・研究者の指導・育成に努めることが求められます。

よって、適切な記述内容です。

以上のことから、不適切な記述内容は、２となります。

技術者の倫理的意思に関する問題も、近年多く取り沙汰されるようになってきました。したがって、技術士試験でも関連する問題が出題されることが多いです。問題文にある通り、様々な理工系学協会が倫理規定・倫理綱領を定めていますが、たとえば、一般社団法人　日本機械学会の倫理規定(https://www.jsme.or.jp/about/ethical-consideration/)などを参考にするとよいと思います。

問題文を良く読み、「引っ掛け」に注意しましょう。また、「最も不適切な」ものを選ぶ点にも気をつけてください。

1. → 適切です。参照サイトにもほぼ同一の文言が記載されています。

2. → 前半部分は適切ですが、後半部分が不適切です。顧客から要求があっても、データ修正・改竄・捏造などは厳禁です。記憶に新しい「ディオバン事件」のような例があります。

3. → 適切です。これも、参照サイトにほぼ同一の記載があります。

4. → 適切です。こちらも、参照サイトにほぼ同一の記載があります。

5. →　適切です。これもまた、参照サイトにほぼ同一の記載があります。

以上より、最も不適切な選択肢は「2.」となり、2.が正解となります。

技術者の倫理的意思決定に関する問題です

1.記述の通り適切です。

2.不適切です。研究、調査データは顧客からの要求があっても変更することは許されません。

3.記述の通り適切です。

4.記述の通り適切です。

5.記述の通り適切です。

したがって、2が正解となります。