技術士の過去問
令和5年度(2023年)
基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問6
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問題
技術士 第一次試験 令和5年度(2023年) 基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問6 (訂正依頼・報告はこちら)
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法は、細胞や血液サンプルからDNAを高感度で増幅することができるため、遺伝子診断や微生物検査、動物や植物の系統調査等に用いられている。
PCR法は通常、(1)DNAの熱変性、(2)プライマーのアニーリング、(3)伸長反応の3段階からなっている。
PCR法に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
PCR法は通常、(1)DNAの熱変性、(2)プライマーのアニーリング、(3)伸長反応の3段階からなっている。
PCR法に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
- アニーリング温度を上げすぎると、1本鎖DNAに対するプライマーの非特異的なアニーリングが起こりやすくなる。
- 伸長反応の時間は増幅したい配列の長さによって変える必要があり、増幅したい配列が長くなるにつれて伸長反応時間は短くする。
- PCR法により増幅したDNAには、プライマーの塩基配列は含まれない。
- 耐熱性の低いDNAポリメラーゼが、PCR法に適している。
- DNAの熱変性では、2本鎖DNAの水素結合を切断して1本鎖DNAに解離させるために加熱を行う。
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この過去問の解説 (2件)
01
PCRに関する出題です。
2本鎖DNAは、水溶液中で高温になると、変性し1本鎖DNAに分かれます。
また1本鎖DNAとなった溶液を冷却していくと、相補的なDNAが互いに結合し再び2本鎖となります。
ここで急速冷却すると、長いDNA同士は2本鎖に再結合しづらいですが、短いDNA断片(オリゴヌクレオチド)は比較的容易に結合できるため、長い1本鎖DNAの一部にプライマーが結合した形ができます。
この状態でDNAポリメラーゼが働くと、プライマーが結合した部分を起点として1本鎖部分と相補的なDNAが合成されます。
要は温度を上げて2本鎖を解きほぐし、冷却して短いプライマーを加えることで合成して増やしたいところの両端にくっつけて、再び加熱して慎重反応を起こして増やしていくということです。
このようにPCR法は、DNA鎖長の違いによる変性とアニーリングの違いを利用して、温度の上下を繰り返すだけでDNA合成を繰り返し、DNAを増幅する技術です。
アニーリング温度を上げすぎると、1本鎖DNAに対するプライマーの非特異的なアニーリングが起こりやすくなる。
誤った記述です。温度を上げることでプライマーとDNAのミスマッチが減少して特異性はあがります。非特異性は減少するので×です。
伸長反応の時間は増幅したい配列の長さによって変える必要があり、増幅したい配列が長くなるにつれて伸長反応時間は短くする。
誤った記述です。増幅したい配列が長くなるにつれて伸長反応時間は長くする必要があります。
PCR法により増幅したDNAには、プライマーの塩基配列は含まれない。
誤った記述です。プライマーの塩基配列が含まれます。プライマーは増幅部分の両端を定義する合成オリゴヌクレオチドですが、取り除かれることはなくDNAにはこの部分も含まれます。
耐熱性の低いDNAポリメラーゼが、PCR法に適している。
誤った記述です。耐熱性の低いDNAポリメラーゼは、PCR法には適していません。PCR法では加熱するため、変性を防ぐために耐熱性のDNAポリメラーゼを使用します。
DNAの熱変性では、2本鎖DNAの水素結合を切断して1本鎖DNAに解離させるために加熱を行う。
正しい記述ですので本選択肢が正解です。加熱することで熱変性をおこします。これは水素結合が加熱によって切断されることによって起こっています。
ほぼ同様の問題が他年にも出題されている典型問題です。そのまま覚えてしまうぐらいでいきましょう。
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02
タンパク質、酵素などの基礎知識レベルからは、やや難しい技術用語に関する問題となります。但し、PCR法は昨今のRNAウイルス検出に大活躍したように、現在生物学での必須技術となっています。
間違いです。
伸長反応時間は長くする必要があるため、間違いです。
含まれる場合があるため、間違いです。
PCR法では熱をかけるので、耐熱性の高いDNAポリメラーゼが使用されます(間違い)。
本選択肢が正解です。
やや難しい問題ですが、PCR法は重要な技術なので、今後も出題される可能性があります。
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