1級建築施工管理技士の過去問
令和4年(2022年)
午前 イ 問2

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

1級 建築施工管理技術検定試験 令和4年(2022年) 午前 イ 問2 (訂正依頼・報告はこちら)

伝熱に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 熱放射は、電磁波による熱の移動現象で、真空中においても生じる。
  • 壁体の含湿率が増加すると、その壁体の熱伝導率は小さくなる。
  • 壁体の熱伝達抵抗と熱伝導抵抗の和の逆数を、熱貫流率という。
  • 物質の単位体積当たりの熱容量を、容積比熱という。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (1件)

01

「熱」に関する問題と「音」に関する問題は毎年どちらかが出題される傾向にあります。

熱については、伝熱(熱の伝わり方)や熱量、建物の断熱性能について把握しておきましょう。

伝達と伝導など紛らわしい言葉も整理しておくと良いでしょう。

なお、出題率は「熱」に対して「音」が2倍のペースです。

選択肢1. 熱放射は、電磁波による熱の移動現象で、真空中においても生じる。

【〇】

熱の伝わり方(=伝熱)には伝導、対流、放射(輻射)の3パターンがあります。

このうち、熱放射(輻射)は電磁波による伝熱です。

身近なケースでは太陽熱があります。

太陽熱が地球に届くことを考えれば、真空中でも熱放射(輻射)が生じるていることが分かります。

選択肢2. 壁体の含湿率が増加すると、その壁体の熱伝導率は小さくなる。

【✕】

熱伝導は物質内部を熱エネルギーが伝わる現象を指します。

伝わり方(伝わる速さ)は物質により異なり、その伝わりやすさを熱伝導率で表します。

熱伝導率は数値が大きいほど熱が伝わりやすく、個体>液体>気体の順となります。

壁体の含湿率が増加すると熱伝導率はどうなるか?

空気(気体)のかわりに水分(液体)が増える=熱伝導率は大きくなる。

液体は気体より熱伝導率が大きいことが理由です。

(参考)ガラスに中空層を挟み込んだペアガラスは断熱・遮熱に優れています。

選択肢3. 壁体の熱伝達抵抗と熱伝導抵抗の和の逆数を、熱貫流率という。

【〇】

壁体の断面をイメージすると理解しやすいです。

夏場の外気は室内より高温です。

外気の熱が外壁面に伝わり(熱伝達)→壁の中を伝わり(熱伝導)→内壁面から室内へ伝わります(熱伝達)。

この流れが熱貫流です。通り抜けているから貫流です。

抵抗は伝わりにくさですから、全体の伝わりにくさは個々の伝わりにくさの合計となります。

電流の直列回路と同じイメージです。

『熱貫流抵抗=熱伝達抵抗+熱伝導抵抗』で表します。

熱貫流率は熱貫流抵抗の逆数(=1/熱貫流抵抗)ですから、

熱貫流率=1/(熱伝達抵抗+熱伝導抵抗)となります。和の逆数です。

選択肢4. 物質の単位体積当たりの熱容量を、容積比熱という。

【〇】

・比熱は物質1gを1℃上昇させるのに必要な熱量です。

単位質量当たりですから、通常の比熱は質量比熱を指します。

比熱(質量比熱)は単位質量当りの熱容量です。

・容積比熱は単位容積(体積)当たりの比熱ですから、単位体積当たりの熱容量です。

(参考)容積比熱=比熱✖密度です。通常の比熱は質量比熱とも言えます。

壁材の断熱性能を表す用語として使われています。

まとめ

覚える用語が多くて混乱しますが、生活上の身近なケースに置き換えて考えると良いでしょう。

熱問題は躯体の断熱に関する問題と捉えておきましょう。

参考になった数48