1級建築施工管理技士の過去問
令和4年(2022年)
午前 イ 問6

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問題

1級 建築施工管理技術検定試験 令和4年(2022年) 午前 イ 問6 (訂正依頼・報告はこちら)

鉄骨構造に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 梁の材質をSN400AからSN490Bに変えても、部材断面と荷重条件が同一ならば、構造計算上、梁のたわみは同一である。
  • 節点の水平移動が拘束されているラーメン構造では、柱の座屈長さは、設計上、節点間の距離に等しくとることができる。
  • トラス構造の節点は、構造計算上、すべてピン接合として扱う。
  • 柱脚に高い回転拘束力をもたせるためには、根巻き形式ではなく露出形式とする。

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この過去問の解説 (1件)

01

S造に関する構造問題は毎年1問が出題されています。

鋼材の種類や特性について整理し、RC造の構造と合わせて理解することが重要です。

選択肢1. 梁の材質をSN400AからSN490Bに変えても、部材断面と荷重条件が同一ならば、構造計算上、梁のたわみは同一である。

【〇】

SN(Steel New-structure)材は建築構造用圧延鋼材です。

梁のたわみを小さくするための構造設計上の方法は次の4つです。

たわみ量を算出する公式を覚えていれば理解できます。

・断面二次モーメントを大きくする。

・ヤング係数を大きくする。

・梁の長さを小さくする。

・荷重を小さくする。

鋼材のヤング係数は同じです(強度や降伏点は異なります)。

部材断面が同じであれば断面二次モーメントも同じですから、

荷重条件が同一であればたわみ量は変化しません。

(参考)SS(Steel Structure)一般構造用圧延鋼材、SM(Steel marine)材は溶接構造用圧延鋼材です。

選択肢2. 節点の水平移動が拘束されているラーメン構造では、柱の座屈長さは、設計上、節点間の距離に等しくとることができる。

【〇】

ラーメン構造は柱と梁が剛接合されているため節点(接合点)の水平移動が拘束されています。

柱の座屈長さとは柱がたわみを生じる長さのことを指し、設計上は次の3通りがあります。

①両端固定:座屈長さ=節点間距離L✖0.5

②片方が固定、もう片方がピン:座屈長さ=L✖0.7

③両端ピン:座屈長さ=L✖1.0

選択肢3. トラス構造の節点は、構造計算上、すべてピン接合として扱う。

【〇】

トラス構造とは三角形に組まれた鋼材を単位とする構造物を指し、

その接合はすべてピン接合とになっています。

これは、荷重がかかる場合に軸方向の圧縮力または引張力しか発生させないことで、

曲げモーメントを発生しない(ゼロではない)構造とするためです。

(参考)トラス構造は大空間や橋梁などで採用されている。

選択肢4. 柱脚に高い回転拘束力をもたせるためには、根巻き形式ではなく露出形式とする。

【✕】

イメージだけでも間違いと判断できる問題です。

S造の柱脚は、①露出、②根巻き、③埋込みの3種類があります。

露出柱脚の回転拘束力(回転剛性)を大きくする対策としては、

アンカー本数を増やす、根巻きや埋込みにします。

(参考)柱脚の回転拘束力を高めると、上部構造の部材を小さくすることが出来ます。

まとめ

S構造の試験対策としては①鋼材の特性、②部材名称と役割、③接合の種類と特徴、

の3点を整理しておきましょう。

特に接合についてはS造ならでは分野ですから確実に理解しておくべきです。

難しい計算問題は出題されませんから、全体的に基本を押さえておけば回答できます。

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