1級建築施工管理技士 過去問
令和5年(2023年)
問7 (午前 イ 問7)

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問題

1級 建築施工管理技術検定試験 令和5年(2023年) 問7(午前 イ 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

杭基礎に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 杭の周辺地盤に沈下が生じたときに杭に作用する負の摩擦力は、支持杭より摩擦杭のほうが大きい。
  • 杭と杭の中心間隔は、杭径が同一の場合、埋込み杭のほうが打込み杭より小さくすることができる。
  • 杭の極限鉛直支持力は、極限先端支持力と極限周面摩擦力との和で表す。
  • 杭の引抜き抵抗力に杭の自重を加える場合、地下水位以下の部分の浮力を考慮する。

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この過去問の解説 (3件)

01

杭基礎に関する出題です。

選択肢1. 杭の周辺地盤に沈下が生じたときに杭に作用する負の摩擦力は、支持杭より摩擦杭のほうが大きい。

誤りです。

摩擦杭は、杭と周辺地盤が共に沈下するので、杭と地盤の相対変位が生じない為、負の摩擦力は小さくなります。杭の周辺地盤に沈下が生じたときに杭に作用する負の摩擦力は、支持杭より摩擦杭のほうが小さくなります。

選択肢2. 杭と杭の中心間隔は、杭径が同一の場合、埋込み杭のほうが打込み杭より小さくすることができる。

杭の間隔の目安は次の通りです。

① 打ち込み杭 杭径の2.5倍以上かつ75cm以上

② 埋め込み杭 杭径の2倍以上

選択肢3. 杭の極限鉛直支持力は、極限先端支持力と極限周面摩擦力との和で表す。

設問の通りです。

選択肢4. 杭の引抜き抵抗力に杭の自重を加える場合、地下水位以下の部分の浮力を考慮する。

杭の引き抜き抵抗力は、杭の摩擦抵抗+杭の自重で評価します。杭の引抜き抵抗力に杭の自重を加える場合、地下水位以下の部分の浮力を考慮します。

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02

この問題は杭基礎に関する知識を問うものです。各選択肢について詳細に解説します。

選択肢1. 杭の周辺地盤に沈下が生じたときに杭に作用する負の摩擦力は、支持杭より摩擦杭のほうが大きい。

負の摩擦力は地盤が沈下する際に杭を引き下げる力です。摩擦杭は周面摩擦力によって支持されるため、負の摩擦力の影響を大きく受けやすいですが、支持杭(先端支持力を主とする杭)も負の摩擦力を受ける可能性があります。ただし、支持杭の方が負の摩擦力を大きく受けることがあるため、記述は正しくないです。このため、この記述は不適当です。

選択肢2. 杭と杭の中心間隔は、杭径が同一の場合、埋込み杭のほうが打込み杭より小さくすることができる。

杭と杭の中心間隔は、施工方法や地盤条件によって異なります。埋込み杭(プレボーリング杭)は、地盤を事前に掘削してから杭を挿入するため、周囲の地盤に影響を与えにくく、打込み杭よりも小さな間隔で配置することができます。したがって、この記述は適切です。

選択肢3. 杭の極限鉛直支持力は、極限先端支持力と極限周面摩擦力との和で表す。

杭の極限鉛直支持力は、杭の先端が支持する力(極限先端支持力)と杭の周面が支持する力(極限周面摩擦力)の合計で決まります。この記述は杭の基本的な特性に関する正しい説明です。

選択肢4. 杭の引抜き抵抗力に杭の自重を加える場合、地下水位以下の部分の浮力を考慮する。

杭の引抜き抵抗力を計算する際には、杭の自重を考慮しますが、地下水位以下にある部分は浮力によって軽減されます。したがって、浮力を考慮することは正しいです。この記述も適切です。

まとめ

総括として、杭基礎に関する問題では、各要素の特性とその影響を正確に理解することが重要です。

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03

杭の分野に関しては、あまりなじみのない方が大半だと思います。しかしながら、建物を支える重要な基礎の一つですので、しっかりと押さえておきましょう。毎年出題されます。では、問題を見てみましょう。

選択肢1. 杭の周辺地盤に沈下が生じたときに杭に作用する負の摩擦力は、支持杭より摩擦杭のほうが大きい。

この問題に関しては、よくイメージをした上で解くようにしましょう。杭の周辺の地盤が沈下した場合、摩擦杭は地盤とともに沈下します。しかし、支持杭に関しては、杭が支持層に到達しているため、地盤と一緒に沈下しにくいです。よって、支持杭には大きな摩擦力が加わることになります。設問の記述は誤りです。

選択肢2. 杭と杭の中心間隔は、杭径が同一の場合、埋込み杭のほうが打込み杭より小さくすることができる。

打込み杭は、読んで字のごとく、杭を打込む工法です。杭を打込むことにより、周囲の地盤が締まったりすることが多々あります。このように、打込み杭は、周囲の地盤に影響を与えることから、中心間隔を小さくすると、締まった地盤に阻まれて、杭がしっかりと入らない可能性があります。埋込み杭は、アースオーガーなどで事前に掘削してから杭を挿入する工法ですので、周囲の地盤への影響は少なく、打込み杭よりも間隔を小さくできます。設問の記述は適当です。

選択肢3. 杭の極限鉛直支持力は、極限先端支持力と極限周面摩擦力との和で表す。

設問の記述は適当です。極限先端支持力と極限周面摩擦力との和で表します。少し難しい問題ですね。

選択肢4. 杭の引抜き抵抗力に杭の自重を加える場合、地下水位以下の部分の浮力を考慮する。

浮力を考慮することは、極めて好ましいことです。設問の記述は適当です。

まとめ

杭に関しては、なかなかイメージがつかみにくい分野です。ですが、実際に問題を解く際には、イメージができるかできないかで、大きな差が生まれます。インターネットや本などで、杭工事のイラストや図解などをよく調べたほうが良いかもしれません。

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