大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問2 (世界史B(第1問) 問2)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問2(世界史B(第1問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

世界史を学ぶ上で、挿絵は多くの示唆を与えてくれる。挿絵を取り上げた次の文章Aを読み、後の問いに答えよ。

A 図書館に展示されている古い本を見ながら、先生と永井さん、鈴本さんが会話をしている。
先生:これは、16世紀末に中国の明で刊行された軍事技術書の挿絵です。
永井:でも、ここに描かれている人物は、中国の人ではなさそうですね。彼が手にしているのは、銃でしょうか。
先生:そうですね。ターバンを被(かぶ)ったこの人物が構えている銃は、( ア )の常備軍として知られるイェニチェリが用いていたものだと考えられています。
永井:なぜ、( ア )の銃が、明の軍事技術書に描かれているのですか。
先生:それは、この書籍が刊行された経緯に深く関わる問題です。この頃、明は( イ )。この本は、戦場で敵の火縄銃に苦戦していた明が、より高性能な銃を探し求めて、北京にあった様々な銃を調査した成果なのです。
鈴本:実物の銃を見ながら研究がなされたわけですよね。しかし、どうして当時の北京に( ア )の銃が存在していたのでしょうか。
先生:この銃は、中央アジアを経由して運ばれたと推定されています。この時、ティムール朝を滅ぼして西トルキスタンを拠点としていた( ウ )は、サファヴィー朝と対立していました。そして、( ア )も同じ時期にサファヴィー朝と争っていたために、( ウ )に対する軍事支援として300人のイェニチェリを銃とともに送っています。この銃の一部が、中央アジアからの朝貢使節とともに、はるばる北京にもたらされたと考えられているのです。

Aの文章中の( イ )に入れる文として最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • ベトナムに遠征し、その北部を一時併合していました
  • 朝鮮半島に侵攻してきた、豊臣秀吉の軍勢と戦っていました
  • オランダを駆逐して、台湾を占拠していました
  • 四川を中心として起こった、白蓮教徒の乱を鎮圧しようとしていました

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

16世紀末、つまり1592年、豊臣秀吉は朝鮮半島に出兵(文禄の役)。続けて1597年に慶長の役。これらを合わせて「文禄・慶長の役」と呼びます。

秀吉は、朝鮮を通って中国(明)を征服しようとしていたが、当然、朝鮮とその宗主国である明が抵抗しました。

明は、朝鮮(李氏朝鮮)からの要請を受けて、大軍を派遣。朝鮮の人々や義勇軍とともに、豊臣軍と戦いました。
→ つまり、当時の明は実際に戦争中でした。しかも相手は火縄銃を大量に装備した日本の軍勢。

日本軍の火縄銃の威力に苦戦した明は、「もっと高性能な火器を手に入れないとまずい」と考え、北京で様々な銃を調査することになりました。

よって、「イ」に当てはまるのは、「朝鮮半島に侵攻してきた、豊臣秀吉の軍勢と戦っていた」が正解です。

選択肢1. ベトナムに遠征し、その北部を一時併合していました

これは15世紀後半(1407年頃)の永楽帝時代の話。時代がずれています。

選択肢2. 朝鮮半島に侵攻してきた、豊臣秀吉の軍勢と戦っていました

時期が正しく正解です

選択肢3. オランダを駆逐して、台湾を占拠していました

これは17世紀の清の時代の話(鄭成功の活躍)。明の時代ではないです。

選択肢4. 四川を中心として起こった、白蓮教徒の乱を鎮圧しようとしていました

これは18世紀末の清の時代(乾隆帝・嘉慶帝の頃)。これも明ではないです。

まとめ

文禄・慶長の役(1592〜1598年)は、東アジア全体を巻き込む戦争でした。

明は朝鮮を助ける立場で、秀吉の軍と実際に交戦しました。

明が火器の性能向上を求めて外国製の銃を調査した背景には、この戦争があります。

参考になった数0

02

【問題文のヒント】

16世紀末

明が「戦場で敵の火縄銃に苦戦していた」
→ つまり、当時、銃を使う敵と戦っていました。

選択肢1. ベトナムに遠征し、その北部を一時併合していました

15世紀初め(永楽帝時代)の話で、16世紀末の状況とは合いません。

選択肢2. 朝鮮半島に侵攻してきた、豊臣秀吉の軍勢と戦っていました

16世紀末、文禄・慶長の役(1592〜98年)の出来事です。火縄銃使用とも合致するため、【正解】です。

選択肢3. オランダを駆逐して、台湾を占拠していました

17世紀半ば、鄭成功によるもので、明ではなく清の時代の出来事です。

選択肢4. 四川を中心として起こった、白蓮教徒の乱を鎮圧しようとしていました

18世紀末、清代に発生した反乱で、明の時代ではありません。

まとめ

この問題は、16世紀末の明の対外戦争を問うています。
当時、明は朝鮮半島に侵攻した豊臣秀吉の軍勢(文禄・慶長の役)と戦いました。
豊臣軍は火縄銃を多数使用しており、これに苦戦した明は、より高性能な銃器を求め、軍事技術の研究を進めました。

参考になった数0