大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問32 (世界史B(第5問) 問4)
問題文
世界史の授業で、先生と生徒たちが歴史統計を見ながら会話をしている。
先生:今回の授業では、歴史統計から世界史上の出来事について考えてみましょう。取り上げるのは、産業革命です。c 世界初の産業革命は、イギリスで起こりました。次の表1・2は1600年から1801年にかけてのイングランドの人口統計です。これらを見て、どのようなことに気付きましたか。
高橋:まず、表1を見ると、イングランドの総人口は、18世紀後半に急速に増加しています。そして、都市人口も増えています。この前の授業で、マンチェスターやリヴァプールなどの都市が発展したと学びました。
松山:表2を見ると、都市人口だけではなく、農村に住んでいながら農業に従事していない人口も増えていますよね。
先生:二人ともそのとおりです。表1・2の検討をさらに進めましょう。それでは、こうした変化の背景として、当時、何が起こっていたのだと考えられますか。
高橋:18世紀後半の時期について、( イ )ことが読み取れます。それは、当時のイギリスにおいて、( ウ )ことで、食料の供給が安定していたためだと考えられないでしょうか。
先生:そのとおりです。人口統計には、社会や経済の大きな変化が表れているのです。次にグラフを見てください。これは、イギリスやアイルランドからアメリカ合衆国へ渡った移民の数をまとめたものです。
松山:移民の送り出し国や受け入れ国で起こった出来事が移民数の変動に影響しているようですね。グラフを見ると、( エ )と思うのですが。
先生:よく勉強していますね。これらの歴史統計を見ると、産業革命の時期に社会が大きく変化するなかで、イギリスの国内外で人の移動が活発になっていたことがうかがえます。
文章中の空欄イとウに入れる文の組合せとして正しいものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問32(世界史B(第5問) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
世界史の授業で、先生と生徒たちが歴史統計を見ながら会話をしている。
先生:今回の授業では、歴史統計から世界史上の出来事について考えてみましょう。取り上げるのは、産業革命です。c 世界初の産業革命は、イギリスで起こりました。次の表1・2は1600年から1801年にかけてのイングランドの人口統計です。これらを見て、どのようなことに気付きましたか。
高橋:まず、表1を見ると、イングランドの総人口は、18世紀後半に急速に増加しています。そして、都市人口も増えています。この前の授業で、マンチェスターやリヴァプールなどの都市が発展したと学びました。
松山:表2を見ると、都市人口だけではなく、農村に住んでいながら農業に従事していない人口も増えていますよね。
先生:二人ともそのとおりです。表1・2の検討をさらに進めましょう。それでは、こうした変化の背景として、当時、何が起こっていたのだと考えられますか。
高橋:18世紀後半の時期について、( イ )ことが読み取れます。それは、当時のイギリスにおいて、( ウ )ことで、食料の供給が安定していたためだと考えられないでしょうか。
先生:そのとおりです。人口統計には、社会や経済の大きな変化が表れているのです。次にグラフを見てください。これは、イギリスやアイルランドからアメリカ合衆国へ渡った移民の数をまとめたものです。
松山:移民の送り出し国や受け入れ国で起こった出来事が移民数の変動に影響しているようですね。グラフを見ると、( エ )と思うのですが。
先生:よく勉強していますね。これらの歴史統計を見ると、産業革命の時期に社会が大きく変化するなかで、イギリスの国内外で人の移動が活発になっていたことがうかがえます。
文章中の空欄イとウに入れる文の組合せとして正しいものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。

- イ ― 表1を見ると、都市人口比率が上昇している ウ ― 土地が囲い込まれ(第2次囲い込み)、新農法が導入された
- イ ― 表1を見ると、都市人口比率が減少している ウ ― 鉄道建設が進み、全国的に鉄道の輸送網が完成した
- イ ― 表2を見ると、農村農業人口100人当たりの総人口が上昇している ウ ― 農業調整法(AAA)が制定され、農産物の生産量が調整された
- イ ― 表2を見ると、農村農業人口100人当たりの総人口が減少している ウ ― 穀物法の廃止により、穀物輸入が自由化された
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (1件)
01
正しい組合せは、
「イ―表1を見ると、都市人口比率が上昇している ウ―土地が囲い込まれ(第2次囲い込み)、新農法が導入された」 です。
18世紀後半、イングランドでは囲い込みと新農法の普及によって農業生産性が向上し、食料供給が安定しました。
その結果、農村人口の一部が都市へ移り、都市人口比率が大きく上昇しています。
表1で都市人口比率は8.25%(1600年)から27.50%(1801年)へ上昇しています。
囲い込みや四輪耕・ノーフォーク農法などの導入で農業が効率化し、余剰労働力が都市に流入できた背景とも一致します。
都市人口比率は実際には増加しているため誤りです。
鉄道網が完成するのは19世紀半ば以降で年代もずれます。
数値の読み取り自体は正しいものの、AAAは1933年のアメリカの法律で本資料の時期と無関係です。
表2の値は増加しており、記述は逆です。
穀物法廃止(1846年)は19世紀中頃の出来事で年代が合いません。
18世紀後半のイングランドでは、第2次囲い込みやノーフォーク農法などの新農法によって、生産効率が高まりました。
十分な食料が確保できたため、農村から都市へ労働力が流れ、都市人口比率が急上昇しました。
これが産業革命期の工業化と都市化を支え、工場労働者の供給源にもなったのです。
統計を読むことで、人口動態と農業技術の革新が密接に結び付いていたことが理解できます。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
前の問題(問31)へ
令和5年度(2023年度)本試験 問題一覧
次の問題(問33)へ