大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問34 (世界史B(第5問) 問6)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問34(世界史B(第5問) 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

歴史統計は、各地の社会経済の構造やその変化を反映している。歴史統計について述べた次の文章を読み、後の問いに答えよ。

世界史の授業で、先生と生徒たちが歴史統計を見ながら会話をしている。

先生:今回の授業では、歴史統計から世界史上の出来事について考えてみましょう。取り上げるのは、産業革命です。c 世界初の産業革命は、イギリスで起こりました。次の表1・2は1600年から1801年にかけてのイングランドの人口統計です。これらを見て、どのようなことに気付きましたか。
高橋:まず、表1を見ると、イングランドの総人口は、18世紀後半に急速に増加しています。そして、都市人口も増えています。この前の授業で、マンチェスターやリヴァプールなどの都市が発展したと学びました。
松山:表2を見ると、都市人口だけではなく、農村に住んでいながら農業に従事していない人口も増えていますよね。
先生:二人ともそのとおりです。表1・2の検討をさらに進めましょう。それでは、こうした変化の背景として、当時、何が起こっていたのだと考えられますか。
高橋:18世紀後半の時期について、( イ )ことが読み取れます。それは、当時のイギリスにおいて、( ウ )ことで、食料の供給が安定していたためだと考えられないでしょうか。
先生:そのとおりです。人口統計には、社会や経済の大きな変化が表れているのです。次にグラフを見てください。これは、イギリスやアイルランドからアメリカ合衆国へ渡った移民の数をまとめたものです。
松山:移民の送り出し国や受け入れ国で起こった出来事が移民数の変動に影響しているようですね。グラフを見ると、( エ )と思うのですが。
先生:よく勉強していますね。これらの歴史統計を見ると、産業革命の時期に社会が大きく変化するなかで、イギリスの国内外で人の移動が活発になっていたことがうかがえます。

下線部cについて述べた文として最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • 大西洋の三角貿易を通じて、綿製品、茶、アヘンが取引された。
  • ダービーによって開発された、コークスを使用する製鉄法が利用された。
  • 選挙権の拡大を目指して、ラダイト運動(機械打ちこわし運動)が発生した。
  • 1833年の工場法の制定によって、大気や水の汚染問題の改善が図られた。

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この過去問の解説 (1件)

01

最も適当な選択肢は、

「ダービーによって開発された、コークスを使用する製鉄法が利用された。」 です。

 

コークスは石炭を蒸し焼きにして作る燃料で、18世紀初めにダービーが高炉へ導入しました。

これにより鉄の大量生産が可能となり、機械・鉄道・橋梁など産業革命を支える基盤が整いました。

選択肢1. 大西洋の三角貿易を通じて、綿製品、茶、アヘンが取引された。

三角貿易は主に奴隷・砂糖・ラム酒などが循環しました。

茶は中国、アヘンはインドとの取引で別経路です。

産業革命そのものを説明していません。

選択肢2. ダービーによって開発された、コークスを使用する製鉄法が利用された。

1709年、ダービーが木炭の代わりにコークスで鉄鉱石を精錬し、高温・大量生産を実現しました。

安価で質の高い鉄が供給され、蒸気機関や鉄道建設が加速したため、産業革命の技術的核心を示す内容として適切です。

選択肢3. 選挙権の拡大を目指して、ラダイト運動(機械打ちこわし運動)が発生した。

ラダイト運動(1810年代)は機械導入による失業への抗議であり、選挙権とは無関係です。

選挙権拡大はチャーティスト運動の目標でした。

選択肢4. 1833年の工場法の制定によって、大気や水の汚染問題の改善が図られた。

1833年の工場法は児童労働の規制が目的で、公害対策ではありません。

環境汚染への法的対応は19世紀後半以降に進みます。

まとめ

産業革命の鍵は鉄と石炭の大量利用です。

ダービーのコークス製鉄法は、石炭資源を活かして鉄を安く大量に供給し、蒸気機関や鉄道など一連の技術革新を支えました。

この技術的転換こそ、イギリスで世界初の産業革命が起こった根本要因の一つといえます。

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