大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問83 (地理B(第3問) 問4)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問83(地理B(第3問) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

東京都に住む高校生のミノルさんは、祖父のカヲルさんが住む鹿児島県を訪ねたことをきっかけに、日本の人口や都市をめぐる諸問題について考えた。この探究に関する次の問いに答えよ。

ミノルさんは、カヲルさんから過疎化の進行によって全国で様々な問題が起きていることを聞いた。次の図4は、過疎市町村*の面積が都道府県面積に占める割合、老年人口の増加率、老年人口に占める食料品へのアクセスが困難な人口**の割合を示したものである。図4を見てミノルさんたちが話し合った会話文中の下線部①〜④のうちから、誤りを含むものを一つ選べ。
*総務省が定める要件を満たす市町村。
**自宅から店舗まで500m以上、かつ自動車利用が困難な老年人口。

ミノル 「過疎市町村は、人口減少率や高齢化の進展度合いなどで決まると学校で習ったよ。全体的な傾向として、過疎市町村の面積が都道府県面積に占める割合は、三大都市圏よりも三大都市圏以外の地域で高い傾向にあるね」
カヲル 「最近の老年人口の増加率は、三大都市圏の方が高い傾向にあるね」
ミノル 「三大都市圏における老年人口の増加傾向は、三大都市圏以外からの高齢者の流入が主な原因であると考えられるよ」
カヲル 「老年人口に占める食料品へのアクセスが困難な人口の割合が高い都道府県は、三大都市圏以外に多いよ」
ミノル 「農山村地域では、移動が困難な高齢者のために、食料品を積んで集落を回る移動販売車があると聞いたよ」
カヲル 「老年人口に占める食料品へのアクセスが困難な人口の割合が高い都道府県は、神奈川県などの三大都市圏にもみられるね」
ミノル 「これは、駅から離れた丘陵地に1970年代前後に開発された住宅地に住む高齢者が多いことも理由の一つだと思うよ」
カヲル 「過疎化・高齢化に伴う問題の解決は、日本全体の課題といえるね。高齢化は、日本の人口構造の変化とも関係しているよ。調べてみたらどうかな」
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この過去問の解説 (1件)

01

誤りを含むのは「②三大都市圏における老年人口の増加傾向は、三大都市圏以外からの高齢者の流入が主な原因である」とする発言です。


三大都市圏では、1960〜70年代に流入した現役世代がそのまま高齢化し、地域にとどまる「居住者の高齢化」が主因であり、大量の高齢者が地方から移り住んだわけではありません。

選択肢1. ①

地図では北海道・東北・中国・四国・九州の多くが濃い色(上位)で、東京・神奈川・愛知・大阪などは薄い色(下位)です。

都市圏以外の方が過疎地域の面積割合は大きい傾向が読み取れ、発言は適切です。

選択肢2. ②

老年人口の増加率が高いのは、都心やその周辺に高度経済成長期に形成された住宅地の住民が一斉に高齢化しているためです。

主因は「流入」ではなく「地域内の住民の高齢化」なので発言は誤りです。

選択肢3. ③

車を持たない高齢者が多い集落では、移動スーパーや行商車が生活を支えています。

現実に行われている対策であり発言は適切です。

選択肢4. ④

1970年前後に造成された郊外ニュータウン(多摩ニュータウン・港北ニュータウンなど)は駅から遠く、商店の撤退も進んでいます。

高齢化と立地条件が買い物困難の一因となっており、発言は適切です。

まとめ

・過疎面積割合は地方に多く、都市圏は小さい。

・老年人口増加は都市圏内の世代の高齢化が中心で、地方からの大量流入ではない。

・買い物弱者対策として、農村では移動販売車、都市圏では高齢化した郊外住宅地への対応が進められている。

したがって、誤りを含む下線部はです。

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