大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和6年度(2024年度)本試験
問8 (世界史B(第1問) 問8)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和6年度(2024年度)本試験 問8(世界史B(第1問) 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

世界史上、様々な地域や時代に見られた体制と制度について述べた次の文章を読み、後の問いに答えよ。

次の文章は、イギリスにおける福祉制度の改革の歴史について述べたものである。(引用文には、省略したり、改めたりしたところがある。)

19世紀後半に入りイギリスでは、公的な年金制度の導入が本格的に議論されるようになった。その際、d 重要な先例と考えられたのが、ドイツの老齢年金制度であった。ドイツでは、後に「世界政策」の名の下に海軍を増強した皇帝の治世下で、同制度が導入されている。
こうしたドイツの先例を踏まえて、イギリスでは1908年に老齢年金法が成立した。このことによって、公的な年金制度が開始された。この年金制度の導入を主導したのは、かつて首相グラッドストンが率いた政党であった。
第二次世界大戦以降も、イギリスではその時々の経済的、社会的状況に鑑みて、年金制度を含めた福祉制度に対して様々な改革が行われた。次の資料は、20世紀に国営企業の民営化を推し進めた首相が、社会保障費などに関わる福祉制度の改革を行った後に、インタビューに答えた時のものである。

資料
あまりにも多くの子どもや大人たちが、自分たちの問題を社会に転嫁しています。でも社会とは誰のことを指すのでしょうか。社会などというものは存在しないのです。存在するのは、個々の男と女ですし、家族です。そして、最初に人々が自分たちの面倒を見ようとしない限りは、どんな政府だって何もできはしないのです。自分で自分の世話をするのは私たちの義務です。それから、自分たちの隣人の面倒を見ようとするのも同じように義務です。最初に義務を果たさないならば、権利などというものは存在しないのです。

前の文章を参考にしつつ、イギリスで公的な年金制度の導入を主導した政党について述べた文として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
  • アイルランド自治法案を議会に提出した。
  • マクドナルドが率いる保守党とともに、連立政権を成立させた。
  • スエズ運河会社の株を買収した。
  • フェビアン協会を基盤の一つとして結成された。

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この過去問の解説 (1件)

01

最も適当な文は、

「アイルランド自治法案を議会に提出した。」 です。

 

1908年の老齢年金法は、自由党政権(首相アスキス、財務相ロイド=ジョージ)が主導しました。

自由党は19世紀末にグラッドストンが率い、アイルランド自治を求める法案をたびたび提出したことで知られます。

選択肢1. アイルランド自治法案を議会に提出した。

グラッドストン自由党は1886年と1893年にホーム・ルール法案を上程しました。

1908年の年金法も同じ自由党政権の仕事であり、内容が合致します。

選択肢2. マクドナルドが率いる保守党とともに、連立政権を成立させた。

ラムゼイ・マクドナルドは労働党の指導者で、1931年に保守党と「挙国一致内閣」を組みました。

自由党の事績ではありません。

 

選択肢3. スエズ運河会社の株を買収した。

1875年、スエズ株を購入したのは保守党のディズレーリ内閣です。

自由党とは異なります。

選択肢4. フェビアン協会を基盤の一つとして結成された。

フェビアン協会は労働党誕生の母体の一つです。

自由党ではありません。

まとめ

自由党は社会改良立法に積極的で、1908年に初の国営年金制度を実現しました。

同じ自由党は19世紀末にアイルランド自治法案を提出し、帝国内部の自治問題にも取り組みました。

他の選択肢は労働党や保守党の行動であり、公的年金導入を主導した自由党の特色とは一致しません。

よって、適当な記述は「アイルランド自治法案を議会に提出した。」です。

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