大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和6年度(2023年度)本試験
問54 (日本史B(第4問) 問5)
問題文
フミ:もともと室町時代には朝鮮などから( ア )が多く輸入されていたよね。でも、( ア )は江戸時代前期までに国産化が進んで、庶民も、それ以前のように( イ )を使った衣料から、次第に( ア )を使った衣料を着るようになっていったんだ。
サト:もっと高級な、中国産の生糸や絹織物も、戦国時代になると大量に輸入されたね。日本にやってくるようになったポルトガル船もおもにそれらを積んできたんだ。
フミ:a 江戸幕府がポルトガル船の来航を禁止した時にも、ポルトガル船に代わってオランダ船などから生糸や絹織物を輸入できるか、慎重に確認した
みたい。ほかに砂糖や薬の原料も輸入されていたね。
サト:でも、多くの高級品を輸入するには、対価として輸出できる物がないと貿易が成り立たないよね。
フミ:それが鉱産物、特に( ウ )だったんだ。16世紀半ばから17世紀の初めにかけて、日本は( ウ )を増産するようになり、世界の中でも主要な産出国だったんだよね。
サト:18世紀になると、輸出品の内容は変わって、b 俵物の輸出が促進されるようになったんだよね。
フミ:でも、それまで輸入していた物産が、次第に国産化されるようになったことも重要だよね。
サト:そうそう。c 輸入に頼っていた砂糖は国産化が進むんだよね。
フミ:ほかにも、d 生糸や絹織物が国内で生産されるようになったことは人々のくらしにも大きな影響を及ぼしたんだよね。
下線部dに関して、次の史料2は、1835年に作成された上野国桐生および下野国足利周辺の機織り屋に関する文書から一部を要約したものである。史料2と、これらの地域で織物業が盛んになった時期の社会や政治に関して述べた後の文a~dについて、最も適当なものの組合せを、後のうちから一つ選べ。
史料2
これらの地域では約50年前から織物業が繁盛し、年々土地が賑(にぎ)やかになった。そのきっかけは、今から100年程前に京都西陣の機屋の中村弥兵衛が足利郡一色村の百姓仙内のところに滞在した際、返礼として紋紗綾(もんさや)(注1)の織り方を伝授したことである。関東では珍しい織物だったので、大きな利益になった。
これらの地域の百姓は、昔は農業の片手間に女性が蚕飼(こがい)(注2)をして、糸をとり織物で生計を立てていたが、最近はだんだん繁盛して蚕飼などはやめて、近辺だけではなく他国からも糸を買い入れ、糸問屋がたくさん出来、機織り屋はそれぞれ機織り女などを大勢抱えて生業としている。追々他国の者も多数入ってきて、土地が賑やかになるにしたがい風俗は華美になり、労苦を嫌い、自然と農業はなおざりになっている。
(『群馬県史』大意)
(注1)紋紗綾:模様のある絹織物の一種。
(注2)蚕飼:養蚕。
a 史料2から、これらの地域で独自の機織り技術が発展したのは、江戸時代初期から織物を専業とする者が集住していたからだと考えられる。
b 史料2から、これらの地域では、19世紀に織物業の専業化が進んでいたと考えられる。
c これらの地域で織物業が盛んになった時期には、商品生産や流通の担い手となる豪農が経済的に成長した。
d これらの地域で織物業が盛んになった時期には、幕府領では幕政改革により、新たに定免法による年貢増徴策が採用された。
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和6年度(2023年度)本試験 問54(日本史B(第4問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
フミ:もともと室町時代には朝鮮などから( ア )が多く輸入されていたよね。でも、( ア )は江戸時代前期までに国産化が進んで、庶民も、それ以前のように( イ )を使った衣料から、次第に( ア )を使った衣料を着るようになっていったんだ。
サト:もっと高級な、中国産の生糸や絹織物も、戦国時代になると大量に輸入されたね。日本にやってくるようになったポルトガル船もおもにそれらを積んできたんだ。
フミ:a 江戸幕府がポルトガル船の来航を禁止した時にも、ポルトガル船に代わってオランダ船などから生糸や絹織物を輸入できるか、慎重に確認した
みたい。ほかに砂糖や薬の原料も輸入されていたね。
サト:でも、多くの高級品を輸入するには、対価として輸出できる物がないと貿易が成り立たないよね。
フミ:それが鉱産物、特に( ウ )だったんだ。16世紀半ばから17世紀の初めにかけて、日本は( ウ )を増産するようになり、世界の中でも主要な産出国だったんだよね。
サト:18世紀になると、輸出品の内容は変わって、b 俵物の輸出が促進されるようになったんだよね。
フミ:でも、それまで輸入していた物産が、次第に国産化されるようになったことも重要だよね。
サト:そうそう。c 輸入に頼っていた砂糖は国産化が進むんだよね。
フミ:ほかにも、d 生糸や絹織物が国内で生産されるようになったことは人々のくらしにも大きな影響を及ぼしたんだよね。
下線部dに関して、次の史料2は、1835年に作成された上野国桐生および下野国足利周辺の機織り屋に関する文書から一部を要約したものである。史料2と、これらの地域で織物業が盛んになった時期の社会や政治に関して述べた後の文a~dについて、最も適当なものの組合せを、後のうちから一つ選べ。
史料2
これらの地域では約50年前から織物業が繁盛し、年々土地が賑(にぎ)やかになった。そのきっかけは、今から100年程前に京都西陣の機屋の中村弥兵衛が足利郡一色村の百姓仙内のところに滞在した際、返礼として紋紗綾(もんさや)(注1)の織り方を伝授したことである。関東では珍しい織物だったので、大きな利益になった。
これらの地域の百姓は、昔は農業の片手間に女性が蚕飼(こがい)(注2)をして、糸をとり織物で生計を立てていたが、最近はだんだん繁盛して蚕飼などはやめて、近辺だけではなく他国からも糸を買い入れ、糸問屋がたくさん出来、機織り屋はそれぞれ機織り女などを大勢抱えて生業としている。追々他国の者も多数入ってきて、土地が賑やかになるにしたがい風俗は華美になり、労苦を嫌い、自然と農業はなおざりになっている。
(『群馬県史』大意)
(注1)紋紗綾:模様のある絹織物の一種。
(注2)蚕飼:養蚕。
a 史料2から、これらの地域で独自の機織り技術が発展したのは、江戸時代初期から織物を専業とする者が集住していたからだと考えられる。
b 史料2から、これらの地域では、19世紀に織物業の専業化が進んでいたと考えられる。
c これらの地域で織物業が盛んになった時期には、商品生産や流通の担い手となる豪農が経済的に成長した。
d これらの地域で織物業が盛んになった時期には、幕府領では幕政改革により、新たに定免法による年貢増徴策が採用された。
- a・c
- a・d
- b・c
- b・d
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説
前の問題(問53)へ
令和6年度(2023年度)本試験 問題一覧
次の問題(問55)へ