大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和6年度(2024年度)追・再試験
問47 (日本史B(第3問) 問3)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和6年度(2024年度)追・再試験 問47(日本史B(第3問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章Aは、日本史の授業で、中世の日本列島の様子について調べたアカネさんの班の活動内容である。この文章を読み、後の問いに答えよ。(資料は、一部省略したり、書き改めたりしたところがある。)

A
アカネさんの班では、中世の日本列島における中央権力と諸地域の関係について調べることにした。最初に、a鎌倉幕府の成立過程と支配地域の拡大する状況について整理した。次に、b建武の新政や室町幕府による地方支配のあり方についてまとめた。そして、c室町時代の地方在住の武士の結びつきについて、九州の事例を勉強した。

下線部cに関連して、アカネさんの班では肥前国の宇久島やその周辺の武士(国人)たち26名が結んだ一揆の契約状(史料1)を見つけた。次の史料1に関して述べた後の文a~dについて、正しいものの組合せを、後の選択肢のうちから一つ選べ。

史料1
宇久浦中御契諾条々の事
一、 宇久浦中の御一族内の人々において、万一思いのほかの出来事が起こった場合は、一同に相談し、正しい判断をする。
一、 宇久浦中の御一家の人々は、各々が支配する所領の境の山野河海において狩りや漁、同じく木・松・竹切りなどをすることは許されるが、境を越えてはならない。
一、 百姓や下人が領主や主人のもとから逃げ去った場合については、相互に取り決めたように、事情を調べた上で、もとの領主や主人のもとに返さなければならない。
浦中の面々,我々の子々孫々は、堅くこの旨を守ることとする。
(「青方文書」)

a  宇久島やその周辺の武士たち26名は、一族や一家という形を取りながら、宇久浦中として地縁的に結びついた。
b  浦中で争いが起こった場合には、一家の長の裁定に従うことが定められた。
c  浦中では、所領の境での狩りや漁などに関して、取り決めをした。
d  浦中では、百姓や下人が領主や主人のもとから逃げた場合、元の領主や主人が百姓や下人を取り戻すためには、守護の許可が必要であった。
  • a・c
  • a・d
  • b・c
  • b・d

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この過去問の解説 (1件)

01

正しいのは「a・c」です。


契約状には、宇久浦という同じ地域の国人どうしが一族・一家の枠をこえて「浦中」として協調すること、そして各所領の境を守って狩猟・漁労・木竹伐採を行うことが明記されています。

一方、長の裁断や守護の許可に関する記述はありません。

 

【各文の検討】

a:正しい

史料冒頭に「宇久浦中御一族内の人々」とあり、同一地域(浦中)の国人が「御一族」「御一家」という血縁単位を横断して連合したことを示す。

 

b:誤り

第一条は「万一思いのほかの出来事が起こった場合は、一同に相談し、正しい判断をする」とあり、長による一方的裁定とは書かれていません。

 

c:正しい

第二条に「各々が支配する所領の境の山野河海において狩りや漁、木・松・竹切りなどをすることは許されるが、境を越えてはならない」とあり、境界を守る規定が確認できます。

 

d:誤り

第三条は「相互に取り決めたように調べ、もとの領主や主人のもとに返す」とするのみで、守護の関与には触れていません。

選択肢1. a・c

正しい選択肢です。

選択肢2. a・d

誤りです。

選択肢3. b・c

誤りです。

選択肢4. b・d

誤りです。

まとめ

宇久浦中の一揆契約は、地縁で結束した国人たちが相互協議・所領境界の尊重・逃散農民の返還などを取り決め、地域秩序を自律的に維持しようとした点に特徴があります。

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