大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和6年度(2024年度)追・再試験
問51 (日本史B(第4問) 問2)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和6年度(2024年度)追・再試験 問51(日本史B(第4問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

江戸時代の自然と人との関係について述べた次の文章を読み、後の問いに答えよ。(資料は、一部省略したり、書き改めたりしたところがある。)

江戸時代は、現代に比べると手つかずの自然が多く残されていたが、それ以前から見れば「大開発時代」と呼ばれるほど、a自然の改変が進んだ時代であった。b産物や資源の調査も進み、それらを積極的に利用する議論も盛んになった。
人の手による自然の改変が特に目立ったのは山野においてであった。幕府・諸藩による建築用の樹木伐採のほか、c百姓たちによる生産や生活のための山野利用という二つの動きにより、全国の山野はその姿を大きく変えていった。その結果、17世紀後半には樹木が減少した山から大量の土砂が川に流出することが列島各地で問題になった。d河川流域を水害から守ることが、幕府や諸藩にとって重要な課題になっていく
このように17世紀は「乱伐の時代」であったが、18世紀以降、山野利用のあり方が見直され、e資源保全のあり方を意識的に考え始める時代に入った。

下線部bに関連して、江戸時代における産物の調査や利用に関して述べた次の文X・Yと、それに該当する語句a~dとの組合せとして正しいものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。

X  この人物により、植物や鉱物の薬用効果を体系的に記した書物がまとめられ、本草学が発展した。
Y  この人物は、殖産興業や専売制による藩の財政再建策を論じた。

a  渋川春海
b  貝原益軒
c  富永仲基
d  海保青陵
  • X ― a  Y ― c
  • X ― a  Y ― d
  • X ― b  Y ― c
  • X ― b  Y ― d

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この過去問の解説 (1件)

01

正しい組合せは、「X―b Y―d」です。


貝原益軒は薬用植物の総合書『大和本草』で本草学を大きく発展させ、海保青陵は殖産興業や専売制で藩財政を立て直す方法を論じました。

 

【各選択肢の説明】

X―b:貝原益軒(かいばらえきけん)
代表作『大和本草』(1709年)は、植物・動物・鉱物の薬効を体系的に整理した本草書です。
この書物により、江戸時代の本草学が大きく発展しました。
→ 記述Xに該当します。

 

Y―d:海保青陵(かいほせいりょう)
尾張藩士で、経世思想書『稽古談』などを著しました。
殖産興業や専売制を活用して藩の財政を改革すべきだと説きました。
→ 記述Yに該当します。

 

a 渋川春海(しぶかわはるみ)
貞享暦を作成した江戸前期の天文学者です。
本草学や財政論とは関わりません。

 

c 富永仲基(とみながなかもと)
大坂の町人学者で合理主義的な宗教・史学批判を行いました。
産物調査や殖産興業とは結び付きません。

選択肢1. X ― a  Y ― c

誤りです。

選択肢2. X ― a  Y ― d

誤りです。

選択肢3. X ― b  Y ― c

誤りです。

選択肢4. X ― b  Y ― d

正しい組み合わせです。

まとめ

江戸時代の産物調査は、科学的な知識の整理(貝原益軒)と経済政策への応用(海保青陵)という二つの方向で進みました。

自然資源をどう評価し、どう活かすかを考えた点で、両者は当時の知の広がりを象徴する存在です。

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