大学入学共通テスト(国語) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問30 (第4問(漢文) 問3)

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問題

大学入学共通テスト(国語)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問30(第4問(漢文) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

唐の王宮の中に雉(きじ)が集まってくるという事件が何度も続き、皇帝である太宗(たいそう)は何かの前触れではないかと怪しんで、臣下に意見を求めた。以下は、この時に臣下の褚遂良(ちょすいりょう)が出した意見と太宗の反応とに対する批評である。これを読んで、後の問いに答えよ。なお、設問の都合で本文を改め、返り点・送り仮名を省いたところがある。

(注1)秦文公 ―― 春秋時代の諸侯の一人で、秦の統治者。
(注2)陳倉 ―― 地名。現在の陝西(せんせい)省にあった。
(注3)南陽 ―― 地名。現在の河南省と湖北省の境界あたりにあった。
(注4)陛下本封秦 ―― 太宗は即位以前、秦王の位を与えられていた。唐の長安も春秋時代の秦の領地に含まれる。
(注5)上 ―― 太宗。
(注6)陳宝 ―― 童子が変身した雉を指す。
(注7)猶得白魚便自比武王 ―― 周の武王が船で川を渡っていると、白い魚が船中に飛び込んできた故事を踏まえる。その後、武王は殷(いん)を滅ぼして周王朝を開き、白魚は吉兆とされた。
(注8)諂妄 ―― こびへつらうこと。
(注9)愚瞽 ―― 判断を誤らせる。
(注10)史 ―― 史官。歴史書編集を担当する役人。
(注11)魏徴 ―― 太宗の臣下。
(注12)高宗鼎耳之祥 ―― 殷の高宗の祭りの時、鼎(かなえ)(三本足の器)の取っ手に雉がとまって鳴き、これを異変と考えた臣下が王をいさめた故事。後に見える「鼎雊」もこれと同じ。「雊」は雉が鳴くこと。

傍線部A「人( X )以無学」について、空欄( X )に入る語と書き下し文との組合せとして最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • 須   人 須らく以て学無かるべし
  • 不如  人 以て学無きに如かず
  • 不可  人 以て学無かるべからず
  • 猶   人 猶ほ以て学無きがごとし
  • 不唯  人 唯だ以て学無きのみにあらず

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この過去問の解説 (2件)

01

空欄(X)に入る語と書き下し文の組合せを選ぶ問題です。
前後の内容を見て、最適な選択肢を検討しましょう。

 

太宗はよろこんで、
「人 (X) 以無学、遂良は多くのことを知っている立派な人だ」と言った。

 

君子」は「人格、学識ともにすぐれたりっぱな人」という意味で、他者に敬意を表して用いる言葉です。

 

以上を踏まえて選択肢を検討しましょう。

選択肢1. 須   人 須らく以て学無かるべし

×須 人 須らく以て学無かるべし
→「すべからく」と読み、「当然~すべきである」という訳になります。


当てはめると「当然、人は知識のないものであるべき」となり、意味が通りません。


この選択肢は誤りです。

選択肢2. 不如  人 以て学無きに如かず

× 不如 人 以て学無きに如かず
→「しかず」と読み、「~に越したことがない」「及ばない」という意味になります。


当てはめると「人は知識がないに越したことはない」となります。
知識があるより、ないほうがいい」という意味で、内容が合いません。

 

この選択肢は誤りです。
 

選択肢3. 不可  人 以て学無かるべからず

〇 不可 人 以て学無かるべからず
→「べからず」と読み、「~してはいけない」という意味になります。


当てはめると「人は知識がないものであってはいけない」となり、意味が通ります。

 

この選択肢が正解です。

 

選択肢4. 猶   人 猶ほ以て学無きがごとし

×猶 人 猶ほ以て学無きがごとし
→「なお」と読み、「まるで~のようだ」「ちょうど~のようだ」という意味になります。


当てはめると「人はまるで知識がないもののようだ」となり、意味が通りません。


この選択肢は誤りです。

選択肢5. 不唯  人 唯だ以て学無きのみにあらず

×不唯  人 唯だ以て学無きのみにあらず
→「ただ~にあらず」と読み、「ただ~なだけではない」という意味になります。


当てはめると「人はただ知識がないだけではない」となり、意味が通りません。

まとめ

書き下しの時の形と訳し方を覚えたうえで、前後の内容を踏まえて内容を検討しましょう。

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02

前後の文を意訳してみます。

 

臣下の遂良が、雉が集まってくることについて意見を述べた。

それを聞いた太宗は喜んで、「人は[ ]以無学。遂良は知識豊富な賢い者である。」と言った。

 

君子は、学識、人格が優れた立派な人という意味があります。

太宗は遂良の賢さを褒めているのです。

 

このことをふまえて選択肢を見てみましょう。

選択肢1. 須   人 須らく以て学無かるべし

「すべからく〜べし」は、「当然〜すべきである」という意味です。

選択肢の内容は、「当然、人は知恵のないものであるべきだ」となります。

文脈が通らず、前後の内容とも合わないため、誤りです。

選択肢2. 不如  人 以て学無きに如かず

「〜にしかず」は、「〜に及ばない」「〜に越したことはない」という意味です。

選択肢の内容は、「人は学がないに越したことはない(学があるよりもない方がいい)」となります。

前後の内容と合わないため、誤りです。

選択肢3. 不可  人 以て学無かるべからず

「〜べからず」は、「〜てはいけない」という意味です。

選択肢の内容は、「人は学のないものであってはいけない」となります。

文脈が通っており、前後の内容とも合うため、この選択肢が最も適当なものです。

選択肢4. 猶   人 猶ほ以て学無きがごとし

「なお〜がことし」は、「ちょうど〜のようだ」「まるで〜のようだ」という意味です。

選択肢の内容は、「人はちょうど学がないもののようだ」となります。

文脈が通らず、前後の内容とも合わないため、誤りです。

選択肢5. 不唯  人 唯だ以て学無きのみにあらず

「ただ〜にあらず」は、「ただ〜だけではない」という意味です。

選択肢の内容は、「人はただ学がないだけではない」となります。

文脈が通らず、前後の内容とも合わないため、誤りです。

まとめ

漢文で頻出の表現について問われる問題です。

表現の意味を覚えるとともに、前後の文脈から推測して正答を導きましょう。

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