大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和5年度(2023年度)追・再試験
問45 (倫理(第2問) 問7)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和5年度(2023年度)追・再試験 問45(倫理(第2問) 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

以下のⅠ・Ⅱを読み、後の問いに答えよ。

Ⅰ 高校生CとDは、縁をめぐって次の会話を交わした。

C:この前の倫理の授業、覚えてる?仏教の縁起の説明の中で、全てのものがつながり合って存在しているという話があったよね。
D:そうだね。ただ、日本で縁という場合には、人と人との出会いやつながりという意味で使われることが多いよね。
C:縁があるとかないとか、良縁とか悪縁とか、よく言われるね。日本人は、つながりや出会いという意味合いで、縁というものを考えてきたのかな。
D:そうかもしれないね。縁があっての出会いもあれば、縁が切れての別れもあるよね。昔の日本人は、そうした人の世のあり方にa 無常を感じていたと習ったのを覚えているよ。
C:人とのつながりといえば、私は、人間関係の理想的なあり方を説いたb 近世の思想の話が好きだな。人は、一人では生きられないでしょう。そういえば、今度の芸術鑑賞の授業では、c 親子の縁の話が出てくるそうだよ。
D:親子の縁かあ…。でも、d 近代になると、今度は個の自立、家からの独立が問われてくるわけだよね。気になってきたから、色々な文献を調べてみよう。

Ⅱ Ⅰの会話の数日後、会話の数日後、CとDは授業の中で先生から次の不思議な絵を見せてもらい、それについて後の会話を交わした。

先生:この絵は一見、落書きのように見えますが、これは「南方曼荼羅」と呼ばれ、e 神社の統廃合に反対したことで知られる南方熊楠が描いた世界の姿です。彼は、この絵のように、「前後左右上下、いずれの方からも道理や筋道が行き渡り、そのことがこの宇宙を成している」と述べています。
C:熊楠は道理や筋道が縦横無尽に展開するさまを描いたわけだけど、この絵を見ていると、世界は無数の糸でつながっているような感じがします。
先生:熊楠は、古い社や境内の森林を破壊すれば、貴重な生態系が崩れるとともに、その地域に住む人々の信仰心が薄れて伝統文化が衰退し、地域やf 社会におけるつながりが失われると考えていました。
D:熊楠は、人と人とのつながりと共に、g 人と他の生き物や自然全体とのつながりに、広く目を向けていたのでしょうか。
C:なるほど。人は、社会だけでなく、自然ともつながっているのですね。そういう大きなつながりの中で、縁について考えていくと面白そうです。

下線部gに関連して、次の資料は、生あるものに対する親鸞の考えを記したものである。資料を読み、親鸞についての記述と資料の内容の説明として最も適当なものを、後の回答選択肢のうちから一つ選べ。

資料
(わたし)親鸞は、亡き父母の供養のために念仏をとなえたことは一度たりともありませんでした。その理由は、生きとし生けるもの全てが、この世に生まれ変わりを繰り返す中で、父母となり兄弟となるからです。だから次の生で、仏となって生まれるときには、いかなるものも救わなければなりません。……仏になれば自在な方便によって、縁のあるものがどんな苦しみの中にあろうとも救うことができるでしょう。
(『歎異抄』より)
問題文の画像
  • 親鸞は、我々の生や宇宙の永遠の真理そのものを大日如来と捉え、人間も仏も本質的に同一であると説いた人物であり、資料では、特定の生きものを選択してその救済を願うことが重要だと述べている。
  • 親鸞は、他人の罪深さを見付けて指摘することこそ、本願の真理だと説いた人物であり、資料では、自分の肉親だけでなく生きとし生ける全てのものを救うべきだと述べている。
  • 親鸞は、阿弥陀如来のはからいによって、極楽往生できると説いた人物であり、資料では、特定の人物だけを供養しようとするのではなく、生きとし生けるもの全てを救済すべきだと述べている。
  • 親鸞は、念仏の力によって、極楽往生するという絶対他力思想を説いた人物であり、資料では、自分の肉親を除く全ての生きとし生けるものの供養をすべきだと述べている。

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