大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和6年度(2024年度)本試験
問36 (倫理(第1問) 問5)
問題文
次の会話は、高校生Aとそのいとこの大学生Bが交わしたものである。
A:昔の思想家って、本当に色んなこと思い付きますよね。みんな天才だっていうのはよく分かるけど、色々ありすぎて、とても覚えきれないですよ。
B:おつかれさま。それじゃあ、バラバラに暗記するんじゃなくて、思想の流れを理解するようにしたらどうかな。天才って言われる人たちも、ゼロから思想を生み出したというより、a 先人の考え方を継承しつつ、批判したり再解釈することで、自分の思想を確立したっていうパターンが多いみたいだよ。
A:え、そうなんですか。例えば?
B:例えば、b 儒教の思想家たちはみんな孔子の思想を継承しているよね。
A:なるほど、それはそうか。でもじゃあ、最初の孔子は?
B:孔子もやっぱり、昔の思想を参考にしてるんだよ。そして、儒教の仁や礼の思想へのc 批判から、また別の思想が生まれてゆくんだよね。
A:本当だ、教科書にも「〇〇は✕✕を引き継いで」とか「△△を批判して」みたいな文章、たくさんありますね。読み飛ばしてたな…。これ、宗教の思想家にも当てはまりますか?
B:例えばゴータマ・ブッダは、既存の宗教のd 生命観や理想を受け継ぎながらも、それに飽き足らず、自らの道を求めたと言えるんじゃないかな。
次の会話は、AとBが交わした会話の続きである。
A:さっきの、批判して再解釈するって話ですけど、e ユダヤ教とキリスト教とf イスラームって、教科書に続けて書いてありますよね。その関係も同じように考えると分かりやすいですね。
B:そうだね、歴史の流れの中に位置付けると理解しやすいね。ただし、それは一つの見方にすぎないということも覚えておいてほしいな。
A:他の見方もあるってことですか?
B:それぞれの信仰の立場から見れば違うよ。例えばユダヤ教徒は自分たちの聖書を「旧約」とは呼ばないし、ムスリムはクルアーンを聖書の再解釈ではなく、神の言葉をそのまま記したものと考えているわけだから。
A:なるほど…。そういえば、今日レポートの課題が出たんですけど、まずはテーマに関する本を読んで、先人の議論を理解した上で自分なりに批判や意見を述べるように、って言われたんです。さっきの、g 受け継ぐ、批判するって話となんだか似てますね。
B:その通りだと思う。その意味では、私たちが今やっている勉強やレポート執筆なんかも、古代から思想家たちが行ってきた営みの延長線上にあるんだと思うよ。
下線部eに関して、ユダヤ教をめぐるイエスの言動についての説明として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和6年度(2024年度)本試験 問36(倫理(第1問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
次の会話は、高校生Aとそのいとこの大学生Bが交わしたものである。
A:昔の思想家って、本当に色んなこと思い付きますよね。みんな天才だっていうのはよく分かるけど、色々ありすぎて、とても覚えきれないですよ。
B:おつかれさま。それじゃあ、バラバラに暗記するんじゃなくて、思想の流れを理解するようにしたらどうかな。天才って言われる人たちも、ゼロから思想を生み出したというより、a 先人の考え方を継承しつつ、批判したり再解釈することで、自分の思想を確立したっていうパターンが多いみたいだよ。
A:え、そうなんですか。例えば?
B:例えば、b 儒教の思想家たちはみんな孔子の思想を継承しているよね。
A:なるほど、それはそうか。でもじゃあ、最初の孔子は?
B:孔子もやっぱり、昔の思想を参考にしてるんだよ。そして、儒教の仁や礼の思想へのc 批判から、また別の思想が生まれてゆくんだよね。
A:本当だ、教科書にも「〇〇は✕✕を引き継いで」とか「△△を批判して」みたいな文章、たくさんありますね。読み飛ばしてたな…。これ、宗教の思想家にも当てはまりますか?
B:例えばゴータマ・ブッダは、既存の宗教のd 生命観や理想を受け継ぎながらも、それに飽き足らず、自らの道を求めたと言えるんじゃないかな。
次の会話は、AとBが交わした会話の続きである。
A:さっきの、批判して再解釈するって話ですけど、e ユダヤ教とキリスト教とf イスラームって、教科書に続けて書いてありますよね。その関係も同じように考えると分かりやすいですね。
B:そうだね、歴史の流れの中に位置付けると理解しやすいね。ただし、それは一つの見方にすぎないということも覚えておいてほしいな。
A:他の見方もあるってことですか?
B:それぞれの信仰の立場から見れば違うよ。例えばユダヤ教徒は自分たちの聖書を「旧約」とは呼ばないし、ムスリムはクルアーンを聖書の再解釈ではなく、神の言葉をそのまま記したものと考えているわけだから。
A:なるほど…。そういえば、今日レポートの課題が出たんですけど、まずはテーマに関する本を読んで、先人の議論を理解した上で自分なりに批判や意見を述べるように、って言われたんです。さっきの、g 受け継ぐ、批判するって話となんだか似てますね。
B:その通りだと思う。その意味では、私たちが今やっている勉強やレポート執筆なんかも、古代から思想家たちが行ってきた営みの延長線上にあるんだと思うよ。
下線部eに関して、ユダヤ教をめぐるイエスの言動についての説明として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
- イエスは「私が来たのは律法や預言者を廃止するためだと思ってはならない。廃止するためではなく、完成するためである」と語って、弟子たちに新たな律法を作るよう命じた。
- イエスは「心を尽くして……あなたの神である主を愛しなさい」という律法を最も重要なものと考え、信仰を個人の内面的な活動と位置付け、洗礼などの実践を否定した。
- イエスは「神の国は近づいた」と告げたが、それはイスラエル人がメシアの到来とともに期待していた栄光の国ではなく、律法を批判する勇気がある者だけが到達できる境地だと考えた。
- イエスは「隣人を自分のように愛しなさい」という律法を重んじつつ、さらに「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい」と述べて、分け隔てない愛の原理を説いた。
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