看護師の過去問
第104回
午前 問96

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問題

看護師国家試験 第104回 午前 問96 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。

Aさん(52歳、男性)は、5年前に健康診断で高血圧を指摘されていたが、そのままにしていた。5年ぶりに健康診断を受けたところ尿蛋白+で、内科を受診し腎機能障害を指摘された。Aさんは、身長160cm、体重56kgであり、体温36.1℃、呼吸数18/分、脈拍64/分、整で、血圧166/96mmHgであった。血液検査データは、Hb9.3g/dL、アルブミン3.6g/dL、クレアチニン2.3mg/dL、HbA1c5.6%、K3.9mEq/L、推算糸球体濾過量〈eGFR〉25mL/分/1.73m2であり、特に自覚症状はなく、浮腫はみられない。Aさんは、慢性腎臓病(chronic kidney disease)ステージ4と診断され、精査目的で入院した。

現時点でAさんに起こる危険性が高いのはどれか。
  • 低リン血症
  • 血糖値の上昇
  • 虚血性心疾患(ischemic heart disease)
  • 甲状腺機能亢進症(hyperthyroidism)

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この過去問の解説 (3件)

01

答えは3です。

1.腎臓の機能が低下すると、リンの排泄も妨げられるため、体内のリンが上昇します。
「低リン血症」ではなく「高リン血症」になる可能性があります。

2.腎臓は血糖のコントロールに直接関与していないので、腎機能の悪化が原因で高血糖になることはありません。
また、血糖の推移を示すHbA1cの値は5.6%(正常値:4.6~6.2%)であるため、糖尿病など血糖のコントロールが不良となる指標はありません。

3.高血圧が持続すると、動脈硬化が進み虚血性心疾患になるリスクがあります。

4.腎機能が低下すると、「甲状腺」ではなく「副甲状腺機能」が亢進します。

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02

1.誤りです。一般的に慢性腎機能障害(CKD)患者は血液中のリン排出機能が低下するため、「高リン血症」となるリスクがあります。リンは加工食品の食品添加物に多く含まれており、リンの過剰摂取に注意が必要です。
透析患者などの進行CKD患者は、高リン血症を防ぐ薬剤を長期的に内服していることがあるので、低リン血症にも注意が必要ですが、現時点ではAさんは低リン血症のリスクよりも高リン血症のリスクの方が高いと考えられます。

2.誤りです。HbA1c6.5%以上で糖尿病型と診断されますが、AさんのHbA1cは現時点では基準値内で推移しています。腎機能障害から高血糖への直接的な影響は低いため、現時点では高血糖の危険性が高いとはいえません。
なお、糖尿病患者の三大合併症には腎機能障害が含まれています。

3.正解です。高血圧や腎機能障害は動脈硬化を促進させるため、心筋梗塞などの虚血性心疾患を引き起こす可能性があります。

4.誤りです。CKD患者は、Ca再吸収能が低下し尿中に排泄されるため、血中Ca濃度が低下します。骨から血中へCaを取り込むために「副甲状腺機能が亢進」します。これを二次性副甲状腺機能亢進症といいます。

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03

正解は3です。

1.誤り。腎臓は血液を濾過し、体に有害な物質(尿素)や余分な水分、余分な電解質(ナトリウム、カリウム、リンなど)を体外に排出することで調節しています。腎機能の低下により、リンを排泄できなくなるため、高リン血症をきたします。

2.誤り。A氏のHbA1cは5.6%と正常値で現時点で高血糖の危険はありません。

3.正解。虚血性心疾患の原因となる左室肥大や大動脈の硬化は高血圧や腎性貧血により起こります。今後腎機能の低下と高血圧が進行すると、虚血性心疾患をきたす可能性は高くなります。

4.誤り。腎不全で起こるのは副甲状腺機能亢進症です。腎臓はカルシウムの吸収に必要な活性型ビタミンDを産生しています。しかし、腎不全ではこのビタミンDの産生が低下するため、カルシウムを吸収ができず、低カルシウム血症をきたします。低カルシウム血症と高リン血症をきたした状態だと、これらの血中濃度の維持のため、副甲状腺ホルモンが増加し、副甲状腺機能亢進症となります。

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