看護師の過去問
第107回
午後 問197
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問題
看護師国家試験 第107回 午後 問197 (訂正依頼・報告はこちら)
Aさん( 66歳、女性 )は、4年前に前頭側頭型認知症( frontotemporal dementia )と診断され、介護老人福祉施設に入所している。時々、隣の席の人のおやつを食べるため、トラブルになることがある。
この状況で考えられるAさんの症状はどれか。
この状況で考えられるAさんの症状はどれか。
- 脱抑制
- 記憶障害
- 常同行動
- 自発性の低下
- 物盗られ妄想
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この過去問の解説 (3件)
01
前頭側頭型認知症とは、前頭葉や側頭葉に萎縮性病変を認める認知症です。社会的なルールを守れず、思うがまま行動してしまう脱抑制症状がみられることが多いです。
本設問においても、人の所有物を勝手にとってはいけないという社会的ルールを守ることができておらず、脱抑制の症状であると考えられます。
2.誤りです。
認知症全般において記憶力の低下がゆっくり進行していきます。アルツハイマー型認知症などと比較すると進行は緩徐ですが、前頭側頭型認知症も記憶力の低下が見られます。しかし、本設問の行動は記憶力の低下によって生じる行動ではありません。
3.誤りです。
常同行動は、同じ動作を何度も繰り返してしまう症状をさします。前頭側頭型認知症でもこの症状は生じますが、本設問の行動は常同行動ではありません。
4.誤りです。
自発力の低下とは、活動に対する意欲の低下をさします。認知症が進行してくると発語が減ったり寝たきり状態になったりすることがあります。前頭側頭型認知症でもこの症状は生じますが、設問の行動は自発力の低下による行動ではありません。
5.誤りです。
物盗られ妄想は、記憶力や思考力の低下に伴い出現する妄想症状です。前頭側頭型認知症でも記憶力や思考力の低下に伴い見られることがありますが、本設問の行動は物盗られ妄想による行動ではありません。
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02
初期には周囲への気遣いを欠く行動、性格変化、行動の脱抑制、常同的行為などの症状から始まります。記憶障害は初期には見られないことが多いでしょう。
1.脱抑制とは、反社会的行動であることが多いでしょう。本能のまま行動す
るようになります。相手に対して遠慮がなくなり、礼儀にかける行動をと
ったり、万引きをしたり、他人の畑から勝手に農作物を取るなどの行為
や、暴力をふるう、などの行為などを言います。設問の行動も脱抑制にな
るでしょう。
2.記憶障害は、いわゆる物忘れです。認知症では徐々に進行していきます。
3.常同行動とは、同じ行動を繰り返すことを言います。同じ食品のみを食べ
る、毎日同じ時刻に同じ場所に同じ道順で行く、同じ話の繰り返し、など
を言います。
4.自発性の低下は、自分から何かに取り組む姿勢が見られなくなることを言
います。家事をしなくなる、質問しても真剣に答えない、適当に答える、
ぼんやりとして何もしない、引きこもるといった様子のことです。
5.物盗られ妄想は、財布を盗られた、などの被害妄想のことを言います。
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03
1.脱抑制とは、状況に対する反応としての衝動や感情を抑えることが不能になった状態で、患者は外的な刺激に対して衝動的に反応したり、内的な欲求を制御することができず、本能のおもむくままに行動したりします。
2.記憶障害は、認知症初期によくみられ、記憶する能力の障害が起きます。
3.常同行動とは、特定の行為、行動を繰り返す状態のことで、繰り返し膝をこすったり、手を叩くような単純な運動を繰り返す症状から、いつも同じ服を着たがったり、決まった椅子に座りたがるといったことも含まれます。
4.自発性の低下は、認知症初期から現れはじめ、意欲、自発性がなくなったように見えることがしばしばあります。
5.もの盗られ妄想は、ADLの低下があまり目立たない比較的初期に現れることが多く、自分で片づけたものを見つけられないことが根本的な原因であるため、近時記憶障害の関与は大きいと言われています。
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