看護師の過去問
第109回
午後 問206
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問題
看護師国家試験 第109回 午後 問206 (訂正依頼・報告はこちら)
全身性エリテマトーデス〈 SLE 〉( systemic lupus erythematosus )で正しいのはどれか。2 つ選べ。
- 遺伝素因の関与が大きい。
- 発症には男性ホルモンが関与する。
- 中枢神経症状は生命予後に影響する。
- Ⅰ型アレルギーによる免疫異常である。
- 適切に治療しても 5 年生存率は 50 %である。
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この過去問の解説 (3件)
01
2.女性に多く、日光暴露や妊娠、感染などの環境因
子が加わり発症すると考えられています。
3.正解です。CNSループスが見られる場合は重症
で、ループス腎炎や肺胞出血などと並んで生命予後
不良の病態です。
4.SLEはⅢ型アレルギーの機序をとります。抗原と
抗体(IgG抗体・IgM抗体)が結合した免疫複合体が
組織に沈着し、補体や好中球が活性化し組織傷害を
引き起こします。
5.適切な治療を行えば、5年生存率は95%を超えま
す。
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02
3.中枢神経症状は生命予後に影響する。
全身性エリテマトーデス<SLE>
(systemic lupus erythematosus)
全身性炎症性病変を特徴とする自己免疫疾患です。
何らかの遺伝的素因を背景として、感染、性ホルモン、紫外線、薬物などの環境因子が加わって発症するものと推測されています。
<症状>
①全身症状:全身倦怠感、易疲労感、発熱など。
②皮膚粘膜症状:蝶形紅斑とディスコイド疹が特徴的で日光暴露で増悪する。
③筋・関節症状:筋肉痛や関節痛が急性期によくみられる。
④腎症状:糸球体腎炎が半数の症例で出現する。
⑤神経症状:中枢性神経症状を呈する場合は重症である(CNSループス)。うつ状態、失見当識、妄想などの精神症状と痙攣、脳血管障害がよくみられる。
⑥心血管症状:心外膜炎はよくみられ、タンポナーデとなることもある。
⑦肺症状:胸膜炎は急性期によく見られる。間質性肺炎、細胞出血、肺高血圧症は予後不良の病態として注意が必要である。
⑧消化器症状:腹痛がある時、腸間膜血管炎やループス腹膜炎に注意する。
⑨血液症状:溶血性貧血、白血球減少や血小板減少も認められる。
⑩その他:リンパ節腫脹は急性期にみられる。
<治療>
①非ステロイド系消炎鎮痛剤
発熱、関節炎などの軽減に用いる。
②ステロイド剤
全身性エリテマトーデスの免疫異常を是正するためには、副腎皮質ステロイド剤の投与が必要不可欠である。
③その他
高血圧や腎機能障害などの進行を防ぐために積極的な降圧療法を行い、腎機能が急速に悪化する場合は血液透析導入も考慮する。
<予後>
寛解と増悪を繰り返し、慢性の経過を取ることが多い。早期診断、早期治療が可能となった現在5年生存率は95%以上となった。
予後を左右する病態としては、ループス腎炎、中枢神経ループス、抗リン脂質抗体症候群、間質性肺炎、肺胞出血、肺高血圧症などがあげられる。
近年は、日和見感染症による感染死が死因の第一位を占めている。
(難病情報センター 全身性エリテマトーデス 参照)
2.圧倒的に女性に多く、月経が始まって終るまでの期間に起こります。男性ホルモンの関与は考えにくいです。
4.Ⅰ型アレルギーは、即時型反応と呼ばれるアレルギーの種類の1つです。抗原(アレルゲン)に接して5~15分後に反応が起こります。IgE抗体が関与しています。
アレルギー性鼻炎、気管支喘息、蕁麻疹・アトピー性皮膚炎、アナフィラキシー などがあります。
5.5年生存率は95%以上になっています。
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03
3. 中枢神経症状は生命予後に影響する。
全身性エリテマトーデス
DNA-抗DNA抗体などの免疫複合体の組織沈着により起こる全身性炎症性病変を特徴とする自己免疫疾患です。
<原因>
何らかの遺伝的素因を背景として、感染、性ホルモン、紫外線、薬物などの環境因子が加わって発症するとされています。
<症状>
①全身症状(全身倦怠感、発熱など)
②皮膚・粘膜症状(蝶形紅斑とディスコイド疹が特徴的)
③筋・関節症状
④腎症状(糸球体腎炎(ループス腎炎))
⑤神経症状(中枢神経症状を呈する場合は重症となる(CNSループス))
⑥心血管症状(心外膜炎など)
⑦肺症状(胸膜炎、間質性肺炎など)
⑧消化器症状(腸間膜血管炎、ループス腹膜炎)
⑨血液症状(溶血性貧血、白血球減少や血小板減少)
<予後>
寛解と増悪を繰り返し、慢性の経過を取ることが多い。
2. →男女比は1 : 9ほどで、圧倒的に女性に多い病気です。特に生理が始まってから終わるまでの期間に多くみられます。
4. →SLEはⅢ型アレルギー(組織障害性アレルギー)反応であり、IgG抗体・IgM抗体を介する自己抗体により内臓を攻撃する事で生じます。
5. →増悪と寛解を繰り返しますが慢性の経過をとる事が多く、5年生存率は95%以上とされています。
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