司法書士の過去問
平成27年度
(旧)平成27年度 問9
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問題
平成27年度 司法書士試験 問9 (訂正依頼・報告はこちら)
占有権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものは、幾つあるか。
ア 占有者は、その占有を第三者に妨害されるおそれがあるときは、その第三者に故意又は過失があるか否かにかかわらず、その第三者に対し、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。
イ 建物の賃貸借契約により賃貸人の代理占有が成立する場合において、賃借人が当該賃貸借契約の終了後も当該建物の占有を続けていたとしても、当該賃貸借契約の終了により、賃貸人の代理占有は消滅する。
ウ 占有者がその占有物について有益費を支出したときは、善意の占有者は占有の回復者に対しその償還を請求することができるが、悪意の占有者は占有の回復者に対しその償還を請求することができない。
エ 占有者は、その占有物を第三者に賃貸して賃料を取得していたときは、通常の必要費を支出していたとしても、占有の回復者に対しその償還を請求することができない。
オ 土地の占有者は、当該土地の所有者からの所有権に基づく土地明渡請求に対し当該土地を所有者から使用貸借した旨の主張をするときは、その占有権原を適法に有することが推定されるので、当該土地の使用借権の設定に係る事実について主張・立証する必要はない。
ア 占有者は、その占有を第三者に妨害されるおそれがあるときは、その第三者に故意又は過失があるか否かにかかわらず、その第三者に対し、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。
イ 建物の賃貸借契約により賃貸人の代理占有が成立する場合において、賃借人が当該賃貸借契約の終了後も当該建物の占有を続けていたとしても、当該賃貸借契約の終了により、賃貸人の代理占有は消滅する。
ウ 占有者がその占有物について有益費を支出したときは、善意の占有者は占有の回復者に対しその償還を請求することができるが、悪意の占有者は占有の回復者に対しその償還を請求することができない。
エ 占有者は、その占有物を第三者に賃貸して賃料を取得していたときは、通常の必要費を支出していたとしても、占有の回復者に対しその償還を請求することができない。
オ 土地の占有者は、当該土地の所有者からの所有権に基づく土地明渡請求に対し当該土地を所有者から使用貸借した旨の主張をするときは、その占有権原を適法に有することが推定されるので、当該土地の使用借権の設定に係る事実について主張・立証する必要はない。
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この過去問の解説 (2件)
01
正しい選択肢の個数は2個なので、2が正解です。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. 占有者が、その占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができます(民法199条)。担保を供させるのには、妨害の恐れがあれば足り、不法行為の成立要件、すなわち、相手方の故意または過失は必要ありません。従って、本選択肢は正しいです。
イ. 民法204条1項3号により、代理人が占有の保持を失った場合には、代理占有権は消滅します。同法2項では、占有権は、代理権の消滅のみのよっては、消滅しない、と規定しています。従って、本選択肢は、誤りです。
ウ. 民法196条2項では、占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価額の増加の現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増加額を償還させることができます。従って、本選択肢は誤りです。
エ. 民法196条1項但書によって、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰します。従って、本選択肢は正しいです。
オ. 判例は、所有権者と占有権者との関係において、所有権者等から不法占有の主張がある場合には、占有者は適法に占有しているとは推定されず、占有について証明責任を負う(最高裁昭和35年3月1日判決)、としています。従って、本選択肢は誤りです。
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02
占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求するためには、第三者の故意過失は要件ではありません。
イ×
賃貸借契約の終了によっては、賃貸人の代理占有は消滅しません。
ウ×
占有者の善意悪意にかかわらず、占有者は有益費の償還を請求することができます。
エ〇
占有者が果実を取得した場合は、通常の必要費を占有の回復者に対し、請求することはできません。
オ×
所有者に対しては、占有者は、その占有権原を適法に有することは推定されませんので、その旨の主張、立証する必要があります。
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