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司法書士の過去問 平成27年度 (旧)平成27年度 問10

問題

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A、B及びCが甲土地を共有している場合に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア Aが、B及びCの同意を得ずに、農地である甲土地について宅地造成工事をしているときは、Bは、Aに対し、その工事の差止めを請求することができる。

イ Aが、B及びCの同意を得ずに、甲土地の全部を占有し使用しているときは、B及びCは、Aに対し、甲土地の全部をB及びCに明け渡すことを請求することができる。

ウ 甲土地につき、真実の所有者でないDが所有権の登記名義人となっている場合、Aは、B及びCの同意を得なくても、Dに対し、その抹消登記手続を請求することができる。

エ A、B及びCの間で甲土地についての共有物分割の協議が調わず、Aが裁判所に甲土地の分割を請求したときは、裁判所は、Aが甲土地の全部を取得し、B及びCがそれぞれの持分の価格の賠償を受ける方法による分割を命ずることはできない。

オ Aが死亡しその相続人が存在しないことが確定し清算手続が終了したときは、その共有持分は、特別縁故者に対する財産分与の対象となり、財産分与がされず、当該共有持分が承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときにはじめて、B及びCに帰属する。
   1 .
アイ
   2 .
アウ
   3 .
イエ
   4 .
ウオ
   5 .
エオ
( 平成27年度 司法書士試験 問10 )
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この過去問の解説 (4件)

22
ア○

共有物に対して、行う行為は大きく分けて3つあります。保存、管理、変更です。
Aが行っている宅地造成行為は、農地からの変更と見ることができますので、変更行為と考えられます。
全員の同意がなければできません。(民251条)
同意を得ずに行っているため、BはAに対して、
差止請求をする事が可能です。

イ×

共有の場合、自分の持分に応じて全て利用することが出来ると覚えておきましょう。
その上で、誰に土地を利用させるかどうかを決める行為が、保存、管理、変更のうち、管理行為に当たります。(民252条)
話し合って決めてからではないと、当然に明け渡し請求することは出来ないと覚えましょう。
ただし、甲土地利用に対しての対価は、不当利得として、AはB及びCに支払う必要があります。

ウ○

共有物の行為として、保存、管理、変更のうち
本件は、保存行為に当たります。(民252条但書)
保存行為は、他の共有者のためにもなる行為であり
不利益にならないような行為です。

所有者ではない者の名義人となっている場合、
抹消することが、各共有者にとって、利益となることから、単独で行うことが可能です。

エ×

共有物の分割において、裁判分割は現物分割を原則とし、場合によっては競売にします。(民258条)

本件の全面的価格賠償は例外的に認められます。
全面的価格賠償は、本人に資力があり、本人に取得させることが相当であり、他の共有者に不利益にならない場合のみ認められる事を覚えておきましょう。
場合よっては認められるため、本件は誤りとなります。

オ○

共有者のうち1人が相続人なく死亡した場合は、
民法255条により、他の共有者に帰属するとしています。
ただし、判例は第一に、特別縁故者が居ないかどうかを探した上で、不存在が確定した後に、
民法255条を適用して、他の共有者に帰属させるとしています。


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7
正解は 3 です。

誤っている選択肢はイとエなので、3が正解です。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 判例は、共有者の一部が他の共有者の同意を得ることなく、共有物を物理的に損傷或いはこれを改変する等共有物に変更を加える行為をしている場合には、他の共有者は、各自の共有持分権に基づいて、右行為の全部の禁止を求めることができるだけでなく、共有を原状に服することが不能であるなどの特段の事情がある場合を除き、右行為によって生じた結果を除去して共有物を原状に復させることを求めることもできる、としています(最高裁平成10年3月24日判決)。従って、本選択肢は正しいです。

イ. 判例は、占有している共有者以外の共有者は、占有をしている共有者に対して、明け渡し請求をすることができない、としています(最高裁昭和41年5月19日判決)。従って、本選択肢は誤りです。

ウ. 判例は、不動産の共有者の一人は、その持分権に基づいて、共有不動産に対して加えられた妨害を排除することができるところ、不実の持分の移転登記がされている場合には、その登記によって共有不動産に対する妨害状態が生じているということができるから、共有不動産について全く実態上の権利を有しないのに、持分移転登記を経由している者に対して、単独で、その持分移転登記の抹消手続きを請求することができる、としています(最高裁平成15年7月11日判決)。従って、本選択肢は正しいです。

エ. 判例は、共有物分割の申立てを受けた裁判所としては、現物分割をするにあたって、持分以上の価額の現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせず、過不足の調整をすることができる(最高裁昭和62年4月22日判決)のみならず、特段の事情が存するときは、共有物を共有者のうち一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して、持分の価額を賠償させる方法、すなわち、全面的価額賠償の方法による分割をすることも許される(最高裁平成8年10月31日判決)、としています。従って、本選択肢は、誤りです。

オ. 判例は、共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続きが終了したときは、その共有持分は、他の相続財産とともに、法958条の3の規定に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされず、当該共有持分が承継すべき者のないまま、相続財産として残存することが確定した時にはじめて、法255条により、他の共有者に帰属することになる、としています(最高裁平成元年11月24日)。従って、本選択肢は正しいです。


6
ア正 
宅地造成工事は共有物の変更に該当します。したがって、共有者全員の同意が必要です。

イ誤
共有者が他の共有者に対し、土地に全部を明け渡すことを請求することはできません。共有者は持分に応じて利用することが出来ます。

ウ正
真実の登記名義人に対して抹消登記手続きを請求することは共有物の「保存行為」に該当します。したがって、共有者一人によって請求が可能です。

エ誤
裁判による共有物の分割は原則、現物分割です。しかし、例外的に持分の価額賠償方法も可能です。

オ正 
相続人、特別縁故者がいない場合に相続財産は共有者に帰属します。

3
ア 〇
 農地を宅地に造成する工事をすることは、共有物の変更にあたり、共有者全員の同意が必要になります。よって、BはAに対し、その工事の差し止めを請求することができます。

イ ×
 Aは共有者のうちの一人であり、共有物の全部を使用収益する権利を有しますので、B及びCは、Aに対し、当然には甲土地の全部を明け渡すことを請求することはできません。

ウ 〇
 真実の所有者でないDに対し、所有権抹消登記手続きを請求することは、共有物の保存行為に当たりますので、Aは単独で、抹消登記を請求することができます。

エ ×
 共有物分割協議が調わない場合は、裁判所は通常、現物分割を命じ、例外として代金分割を命ずることになります。ただし、特段の事情があれば、本肢のような価格賠償を命じることができるとされています。

オ 〇
 相続人不存在が確定した場合は、本肢のように、まず特別縁故者の財産分与の対象になり、財産分与がされなかった場合に、他の共有者に所有権が帰属することになります。

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