司法書士の過去問
平成27年度
(旧)平成27年度 問48

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問題

平成27年度 司法書士試験 問48 (訂正依頼・報告はこちら)

登記の申請人が登記識別情報を提供することができないときに不動産登記法令に基づき登記官が登記義務者に対してする通知( 以下「 事前通知 」という。)及び当該申請に基づく登記をする前に登記官が当該登記義務者の登記記録上の前の住所に宛ててする通知( 以下「 前の住所地への通知 」という。)に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア 債権譲渡を登記原因とする抵当権の移転の登記の申請をする場合において、当該申請に係る申請情報を記載した書面につき、公証人の認証がされているが、当該認証が委任による代理人により嘱託された申請書等についての認証で、あるときは、事前通知はされない。

イ 債権譲渡を登記原因とする抵当権の移転の登記の申請につき事前通知がされる場合において、当該申請の登記義務者が法人であり、かつ、申請人から法人の代表者の住所に宛てて事前通知書の送付を希望する旨の申出があったときは、事前通知書は、書留郵便又は信書便の役務であって信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うものによって送付される。

ウ 債権譲渡を登記原因とする抵当権の移転の登記の申請につき事前通知がされる場合においては、当該移転の登記の申請が登記義務者の住所についてされた最後の変更の登記の申請に係る受付の日から3か月以内にされているときであっても、前の住所地への通知はされない。

エ 売買を登記原因とする所有権の移転の登記の申請につき当該申請の代理人である司法書士から本人確認情報の提供があった場合において、当該情報の内容が相当であり、かつ、その内容により申請人が登記義務者であることが確実であると認められるときは、前の住所地への通知はされない。

オ 売買を登記原因とする所有権の移転の登記の申請につき事前通知及び、前の住所地への通知がされた場合において、当該前の住所地への通知を受け取った者から当該申請について異議の申出があったときは、登記官は、当該申請を却下しなければならない。
  • アエ
  • アオ
  • イウ
  • イオ
  • ウエ

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この過去問の解説 (3件)

01

ア ×
 公証人の認証がされている場合は、事前通知は行われませんが、本肢は委任による代理人が申請している場合であるのにかかわらず、委任状ではなく申請書に公証人の認証がされていますので、事前通知は省略されません。

イ ×
 法人にあてて事前通知がされる場合は、本肢のとおりですが、法人の代表者にあててする場合は、本人限定受取郵便又はこれに準ずる方法で事前通知をしなければなりません。

ウ 〇
 前の住所地への通知がされるのは、所有権に関するものである場合になりますので、抵当権移転登記の場合、通知はされません。

エ 〇
 申請代理人である司法書士が本人確認情報を提供した場合であり、その内容から申請人が登記義務者であることが確実な場合にあたりますので、前の住所地への通知は省略されます。

オ ×
 本肢のような異議の申し出があった場合は、登記官による本人確認をすることになり、申請を却下しなければならないわけではありません。

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02

正解は 5 です。

正しい選択肢はウとエなので、5が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 不動産登記法23条4項2号では、申請情報を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録について、公証人から当該申請人が登記義務者であることを確認するために必要な認証がなされ、かつ、登記官がその内容を相当と認めるときは、事前通知を省略することができる、と規定しています。本選択肢は、「登記官がその内容を相当と認めるとき」という記述がないので、誤りです。

イ. 登記義務者が法人である場合における事前通知は、書留郵便又は信書便の役務であって信書便事業者において引き受け及び配達の記録を行うものによって送付されます。しかし、申請人から法人の代表者の住所にあてて事前通知の送付を希望する旨の通知があった場合には、日本郵便株式会社の内国郵便約款に定めることろによる名宛人本人に限り交付し、若しくは、配達する本人限定受取郵便又はこれに準ずる方法によって送付されます(不動産登記法70条1項1号、2号参照)。従って、本選択肢は誤りです。

ウ. 本記述は、登記義務者の住所についてされた最後の住所変更の登記に係る受付の日から3か月以内にされているが、抵当権の移転であり、所有権に関する登記の申請ではないため、前の住所への通知は不要です。従って、本選択肢は正しいです。

エ. 不動産登記法23条2項では、登記官は、事前通知が必要な登記の申請が所有権に関するものである場合において、登記義務者の住所について変更がなされているときは、当該申請に基づいて登記をする前に、事前通知の他、当該登記義務者の登記記録上の住所に当てて、当該申請があった旨を通知しなければなならい、と規定しています。ただし、不動産登記法72条1項に基づく資格代理人による本人確認情報の提供があった場合において、当該本人確認情報の内容により、申請人が登記義務者であることが確実であると認められる場合には、前住所への通知はされません(不動産登記法72条2項4号参照)。従って、本選択肢は正しいです。

オ. 先例は、前の住所への通知をした場合において、登記完了前に、当該通知に係る登記申請について異議の申出があった場合には、登記官による本人確認調査が行われます(平成17年2月25日民2.457)。必ずしも、登記が却下されるわけではないので、本選択肢は誤りです。

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03

ア誤
事前通知の省略は申請書に交渉人の認証をもってすることが出来ます。委任状に対する公証人の認証をもって事前通知の省略をすることはできません。

イ誤
法人の代表者の住所にあてて事前通知書を送付する際の送付方法は「本人限定受取郵便」に限られます。

ウ誤
事前通知を前住所に対して送付する場合は当該申請に係る登記が所有権であり、登記義務者の住所が変更されているときです。抵当権の登記名義人の住所が変更されている場合は前住所に対して事前通知の送付は必要ありません。

エ正
司法書士により本人確認の情報提供があり、登記官がその内容が相当であり申請人が登記義務者であることが確実であると認められるときは事前通知の省略をすることが出来ます。

オ誤
直ちに申請が却下されるわけではなく後に登記官が本人確認を行います。


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