司法書士の過去問
平成27年度
(旧)平成27年度 問58
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問題
平成27年度 司法書士試験 問58 (訂正依頼・報告はこちら)
担保権の登記に関す次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。なお、判決による登記及び代位による登記については、考慮しないものとする。
ア Aを登記名義人とする抵当権の設定の登記がされた後、AからBに対して債権一部譲渡を登記原因とする当該抵当権の一部の移転の登記がされている場合において、当該抵当権の被担保債権のうちAの債権のみが弁済されたときは、「 Aの債権弁済 」を登記原因として、抵当権の変更の登記を申請することができる。
イ 元本が確定した根抵当権の登記名義人の所在が知れない場合には、当該根抵当権の目的である不動産の所有権の登記名義人は、当該根抵当権の登記名義人の所在が知れないことを証する情報及び当該根抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報を提供して、単独で当該根抵当権の登記の抹消を申請することができる。
ウ 抵当権の登記名義人の所在が知れず、かつ、当該抵当権の登記に利息及び損害金に関する定めのいずれの記録もない場合には、当該抵当権の目的である不動産の所有権の登記名義人は、当該抵当権の登記名義人の所在が知れないことを証する情報、被担保債権の弁済期を証する情報及び当該弁済期から20年を経過した後に当該被担保債権の元本の全額に相当する金銭が供託されたことを証する情報を提供して、単独で当該抵当権の登記の抹消を申請することができる。
エ 不動産質権者が、不動産質権の目的である不動産の所有者との間で、その不動産の管理費用の支払、公租公課の負担を負わない旨を定めたときは、その定めを登記することができる。
オ 根抵当権者Aが、抵当不動産に対するBによる滞納処分による差押えがあったことを知った時から2週間を経過した後に、当該根抵当権の後順位の根抵当権者Cに対して根抵当権の順位の譲渡をしたときは、Aは、当該根抵当権の順位の譲渡の登記を申請することなく、単独で当該根抵当権の元本の確定の登記を申請することができる。
ア Aを登記名義人とする抵当権の設定の登記がされた後、AからBに対して債権一部譲渡を登記原因とする当該抵当権の一部の移転の登記がされている場合において、当該抵当権の被担保債権のうちAの債権のみが弁済されたときは、「 Aの債権弁済 」を登記原因として、抵当権の変更の登記を申請することができる。
イ 元本が確定した根抵当権の登記名義人の所在が知れない場合には、当該根抵当権の目的である不動産の所有権の登記名義人は、当該根抵当権の登記名義人の所在が知れないことを証する情報及び当該根抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報を提供して、単独で当該根抵当権の登記の抹消を申請することができる。
ウ 抵当権の登記名義人の所在が知れず、かつ、当該抵当権の登記に利息及び損害金に関する定めのいずれの記録もない場合には、当該抵当権の目的である不動産の所有権の登記名義人は、当該抵当権の登記名義人の所在が知れないことを証する情報、被担保債権の弁済期を証する情報及び当該弁済期から20年を経過した後に当該被担保債権の元本の全額に相当する金銭が供託されたことを証する情報を提供して、単独で当該抵当権の登記の抹消を申請することができる。
エ 不動産質権者が、不動産質権の目的である不動産の所有者との間で、その不動産の管理費用の支払、公租公課の負担を負わない旨を定めたときは、その定めを登記することができる。
オ 根抵当権者Aが、抵当不動産に対するBによる滞納処分による差押えがあったことを知った時から2週間を経過した後に、当該根抵当権の後順位の根抵当権者Cに対して根抵当権の順位の譲渡をしたときは、Aは、当該根抵当権の順位の譲渡の登記を申請することなく、単独で当該根抵当権の元本の確定の登記を申請することができる。
- アウ
- アエ
- イエ
- イオ
- ウオ
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この過去問の解説 (4件)
01
誤っている選択肢はウとオなので、5が正解です。
各選択肢の内容は、以下のとおりです。
ア. 先例は、Aを登記名義人とするBへの抵当権の一部移転登記後に原抵当権の債権が消滅した場合、「Aの債権弁済」を登記原因として、抵当権の変更登記を申請できる、としています(記録例394参照)。従って、本選択肢は正しいです。
イ. 抵当権の登記名義人の所在がしれない場合、債権証書並びに被担保債権及び最後の2年分の利息その他の定期金(債務不履行により生じた損害を含む。)の完全な弁済があったことを証する情報、登記義務者の所在がしれないことを証する情報を提供すれば、登記権利者が単独で抹消の登記をすることができます(不動産登記法70条3項、不動産登記令別表26添付情報ハ参照)。従って、本選択肢は正しいです。
ウ. 抵当権の登記名義人の所在がしれない場合において、不動産登記法70条3項の規定に基づき、登記権利者が単独で抹消登記の申請をするときには、被担保債権の弁済期を証する情報、当該弁済期から20年を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行によって生じた損害の全額に相当する金額が供託されたことを証する情報、登記義務者の所在がしれないことを証する情報を提供しなくてはなりません(不動産登記令別表26添付情報ハ参照)。従って、本選択肢は誤りです。
エ. 不動産質権者は、原則として、管理費用を支払い、その他不動産に関する負担を負うが(民法357条)、設定行為に別段の定めがある時は、当該規定は適用されません(民法359条)。そして、民法359条の別段の定めは、質権又は転質の登記において、登記事項になります(不動産登記法95条1項6号参照)。従って、本選択肢は正しいです。
オ. 民法398条の20第1項第3号に規定によって根抵当権の担保すべき元本が確定した時は、当該根抵当権の登記名義人が単独で申請することができます。
ただし、当該根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記と併せてしなければなりません(不動産登記法93条参照)。従って、本選択肢は誤りです。
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02
ア…正しいです。Aを登記名義人とする抵当権の設定の登記がされた後、AからBに対して債権一部譲渡を登記原因とする当該抵当権の一部の移転の登記がされている場合において、当該抵当権の被担保債権のうちAの債権のみが弁済されたときは、「Aの債権弁済」を登記原因として、抵当権の変更の登記を申請することができます(先例)。
イ…正しいです。元本が確定している根抵当権の登記名義人の所在が知れない場合には、①弁済期から20年を経過した後に、被担保債権、その利息及び債務不履行によって生じた損害金の全額に相当する金額が供託されたことを証する書面、②登記義務者の所在が知れないことを証する書面、を添付して、登記権利者が単独で当該登記の抹消を申請できます(不動産登記法70条、不動産登記令別表)。なお、不動産登記令別表26二(1)には、弁済期を証する書面が必要とありますが、元本確定の日(元本確定の日が不明な場合は、設定した日から3年を経過した日)が弁済期到来の日として扱われますので、この書面の提供は不要です(昭63・7・1民三第3499号民事局第三課長依命通知)。
ウ…誤りです。抵当権の登記名義人の所在が知れない場合には、上記同様、①被担保債権の弁済期が到来したことを証する書面、②弁済期から20年を経過した後に、被担保債権、その利息及び債務不履行によって生じた損害金の全額に相当する金額が供託されたことを証する書面、③登記義務者の所在が知れないことを証する書面、を添付して、登記権利者が単独で当該登記の抹消を申請できます(不動産登記法70条、不動産登記令別表)。利息および遅延損害金に関する定めがともにない場合でも、商事法定利率が適用され、それぞれ年6%の割合で利息および遅延損害金を供託しなければなりません(昭63・7・1民三第3456号民事局長通達)。
エ…正しいです。不動産質権者は、不動産質権の目的である不動産の所有者の同意を得て、当該不動産の管理費用の支払いや公租公課の負担を負わない旨を定めることができ、その登記もできます(民法357条、359条、不動産登記法95条1項6号、不動産登記令別表)。
オ…誤りです。根抵当権者Aが、抵当不動産につき滞納処分による差押えがあったことを知ったときから2週間を経過したときは、根抵当権の元本が確定しますが(民法398条の20第1項3号)、この場合、順位譲渡の登記の申請と元本確定の登記の申請を同時にする場合に限り、Aが単独で申請できます(不動産登記法93条)。
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03
当該抵当権の被担保債権のうちAの債権のみ弁済されたときは、実質的には抵当権の一部抹消になりますが、法令上一部抹消の登記は認められておりませんので、本肢の場合、「 Aの債権弁済 」を登記原因として、抵当権の変更の登記を申請することになります。
イ 〇
元本が確定した根抵当権の登記名義人の所在が知れない場合には、当該根抵当権の登記名義人の所在が知れないことを証する情報及び債権証書等の当該根抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報を提供して、単独で当該根抵当権の登記の抹消を申請することができます。
ウ ×
当該弁済期から20年を経過した後に供託されたことを証する情報は、当該被担保債権の元本の全額に相当する金銭のみではなく、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたことを証する情報を提供する必要があります。
エ 〇
不動産質権者が、不動産質権の目的である不動産の所有者との間でした、その不動産の管理費用の支払、公租公課の負担を負わない旨の定めは登記事項となります。
オ ×
根抵当権者が、抵当不動産に対する滞納処分による差押えがあったことを知った時から2週間を経過した後に、当該根抵当権の後順位の根抵当権者に対して根抵当権の順位の譲渡をしたときは、根抵当権者は、当該根抵当権の順位の譲渡の登記を同時に申請する場合に限り、単独で当該根抵当権の元本の確定の登記を申請することができます。
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04
ア 正しい
抵当権に係る被担保債権の一部が譲渡された場合において、被担保債権のうち一部が弁済された場合には、抵当権設定登記の一部抹消の登記を申請できるようにも思えますが、一部抹消の登記は認められていません。
よって、本肢では、「Aの債権弁済」を登記原因として、抵当権の変更の登記を申請することになります。
イ 正しい
登記権利者は、登記義務者の所在が知れないため登記義務者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、所定の手続きを経て、単独で権利に関する登記の抹消を申請することができます(不動産登記法70条1項、3項)。
この場合、登記権利者は、登記義務者の所在が知れないことを証する情報及び被担保債権の完全な弁済があったことを証する情報を提供しなければなりません(不動産登記令別表二十六添付情報ハ)。
ウ 誤り
登記権利者は、登記義務者の所在が知れないため登記義務者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、所定の手続きを経て、単独で権利に関する登記の抹消を申請することができます(不動産登記法70条1項、3項)。
この場合において、被担保債権の弁済期から20年を経過している場合には、当該抵当権の登記名義人の所在が知れないことを証する情報、被担保債権の弁済期を証する情報に加え、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたことを証する情報を提供する必要があります(不動産登記令別表二十六添付情報)。
エ 正しい
不動産質権者は、管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負うのが原則ですが(民法357条)、設定行為に別段の定めをすることができます(同359条)。
この場合、別段の定めは質権の登記の登記事項となります(不動産登記法95条1項6号)。
オ 誤り
根抵当権者が抵当不動産に対する滞納処分による差押えがあったことを知った時から二週間が経過し、根抵当権の担保すべき元本が確定した場合(民法398条の20第1項3号)の登記は、当該根抵当権の登記名義人が単独で申請することができます(不動産登記法93条)。
この場合における申請は、当該根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せてしなければなりません(同条ただし書)。
よって、本肢では、当該根抵当権の順位の譲渡の登記を併せてする必要があります。
以上から、誤っている肢はウとオであり、5が正解となります。
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