司法書士の過去問
平成27年度
(旧)平成27年度 問61
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問題
平成27年度 司法書士試験 問61 (訂正依頼・報告はこちら)
A及びBを所有権の登記名義人とする甲土地について、Aが死亡したが、相続人のあることが明らかでない場合における甲土地の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記Iから5までのうち、どれか。
なお、イの場合を除き、判決による登記及び代位による登記については、考慮しないものとする。
ア Aの持分につき、Aの相続財産法人名義とする所有権の登記名義人の氏名の変更の登記を申請する場合において、Aの相続財産管理人の選任の審判書の記載によって、当該相続財産管理人の選任が相続人不存在によるものであること及びAの死亡年月日が明らかであるときは、その添付情報として、Aの相続を証する戸籍謄本を提供することは要しない。
イ Aの持分につき、Aの相続財産法人名義とする所有権の登記名義人の氏名の変更の登記がされている場合において、Aの相続人の不存在が確定した後、特別縁故者Cが家庭裁判所の審判によって甲土地のAの持分の分与を受けたときは、Cは、その審判に基づき、単独でAの持分の移転の登記の申請をすることができる。
ウ Aの持分につき、Aの相続財産法人名義とする所有権の登記名義人の氏名の変更の登記がされている場合において、Bが持分を放棄したときは、Aの相続財産管理人は、単独でBからAの相続財産法人へのBの持分の移転の登記を申請することができる。
エ Aの持分につき、Aの相続財産法人名義とする所有権の登記名義人の氏名の変更の登記がされている場合において、特別縁故者不存在確定を登記原因とするAからBへのAの持分の移転の登記は、Bが単独で申請することはできない。
オ 特別縁故者不存在確定を登記原因とするAからBへのAの持分の移転の登記は、相続人の捜索の公告の日から6か月後の日を登記原因の日付として申請することができる。
なお、イの場合を除き、判決による登記及び代位による登記については、考慮しないものとする。
ア Aの持分につき、Aの相続財産法人名義とする所有権の登記名義人の氏名の変更の登記を申請する場合において、Aの相続財産管理人の選任の審判書の記載によって、当該相続財産管理人の選任が相続人不存在によるものであること及びAの死亡年月日が明らかであるときは、その添付情報として、Aの相続を証する戸籍謄本を提供することは要しない。
イ Aの持分につき、Aの相続財産法人名義とする所有権の登記名義人の氏名の変更の登記がされている場合において、Aの相続人の不存在が確定した後、特別縁故者Cが家庭裁判所の審判によって甲土地のAの持分の分与を受けたときは、Cは、その審判に基づき、単独でAの持分の移転の登記の申請をすることができる。
ウ Aの持分につき、Aの相続財産法人名義とする所有権の登記名義人の氏名の変更の登記がされている場合において、Bが持分を放棄したときは、Aの相続財産管理人は、単独でBからAの相続財産法人へのBの持分の移転の登記を申請することができる。
エ Aの持分につき、Aの相続財産法人名義とする所有権の登記名義人の氏名の変更の登記がされている場合において、特別縁故者不存在確定を登記原因とするAからBへのAの持分の移転の登記は、Bが単独で申請することはできない。
オ 特別縁故者不存在確定を登記原因とするAからBへのAの持分の移転の登記は、相続人の捜索の公告の日から6か月後の日を登記原因の日付として申請することができる。
- アエ
- アオ
- イウ
- イエ
- ウオ
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この過去問の解説 (4件)
01
Aの相続財産管理人の選任の審判書の記載によって、当該相続財産管理人の選任が相続人不存在によるものであること及びAの死亡年月日が明らかであるときは、別途、Aの相続を証する戸籍謄本を提供する必要はありません。
イ 〇
特別縁故者が家庭裁判所の審判によって相続持分の分与を受けたときは、特別縁故者Cは、単独でAの持分の移転の登記の申請をすることができます。
ウ ×
共有者Bが持分を放棄したときは、Aの相続財産管理人は、単独でBからAの相続財産法人へのBの持分の移転の登記を申請することはできず、B及びAの相続財産管理人との共同申請によることになります。
エ 〇
特別縁故者不存在確定を登記原因とするAからBへのAの持分の移転の登記は、Bが単独で申請することはできず、B及びAの相続財産管理人との共同申請によることになります。
オ ×
特別縁故者不存在確定を登記原因とするAからBへのAの持分の移転の登記は、相続人の捜索の公告の日から6か月を経過した後、特別縁故者の財産分与の申立期間の3か月を経過しなければ、申請することができません。
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02
誤っている選択肢は、ウとオです。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. 先例は、相続人不存在のため「相続財産」たる法人名義に登記する場合、相続財産管理人選任書の記載によって、相続財産管理人の選任が相続人不存在によるものであること及び被相続人の死亡年月日が明らかでないときは、これらを証する戸籍謄本や戸籍抄本の添付を要するが、相続財産管理人の選任が相続人不存在によるものであること及び被相続人の死亡年月日が明らかであるときは、添付情報として、戸籍謄本や戸籍抄本の添付は不要である、としています(昭和39年2月28日民甲422参照)。従って、本選択肢は正しいです。
イ. 先例は、民法985条の3の審判により権利を取得した特別縁故者は、その審判により単独で権利取得の登記を申請することができる、としています(昭和37年6月15日民甲1606参照)。従って、本選択肢は正しいです。
ウ. 先例は、共有者の一方が相続人なしに死亡し、他の共有者が持分放棄をした時の相続財産法人への帰属の登記の申請人は、相続財産法人を登記権利者(管理人を代理人とする)、持分放棄者を登記義務者とする共同申請である、としています(昭和31年6月25日民甲1444)。従って、本選択肢は誤りです。
エ. 先例は、共有者の一人が相続人なくして死亡した場合の共有持分につき、民法958条の3の規定による特別縁故者による分与がなされなかった財産を他の共有者に持分移転する場合、登記原因は「特別縁故者不存在確定」として、共同申請による、としています(平成3年4月12日民甲2398参照)。従って、本選択肢は正しいです。
オ. 先例は、共有者の一人が相続人なくして死亡した場合の共有持分につき、民法953条の3の規定による特別縁故者に分与されなかった財産を他の共有者に持分移転する場合、登記原因の日付は、相続人の死亡の日から13か月を経過後の日であることを要する、としています(平成3年4月12日民甲2398参照)従って、本選択肢は誤りです。
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03
正解はウオです。相続発生から特別縁故者不存在確定までは、①相続財産管理人選任の公告(2か月間)、②相続債権者および受遺者に対する公告(2か月間)、③相続人捜索公告(6か月以上)、④特別縁故者からの財産分与請求期間満了(3カ月以内)、を経て確定する必要があります。
ア…正しいです。相続財産法人への登記名義人変更の登記申請においては、Aの死亡年月日が明らかでない場合には戸籍謄本の添付を必要としますが(先例)、相続財産管理人選任審判書の記載によって、Aの相続財産管理人の選任が相続人不存在のためであることと、Aの死亡年月日が明らかである場合、相続財産管理人選任審判書謄本を添付すれば、それをもって登記原因証明情報とすることができます。
イ…正しいです。AB共有の不動産について、Aが死亡し、その相続人不存在により、財産分与の審判を受けて特別縁故者として認められたCは、当該不動産のAの持分に関し、①「年月日相続人不存在」を原因とし、「亡A相続財産」を登記名義人とする登記名義人氏名変更の申請、②「年月日民法第958条の3の審判」を登記原因とし、Cを登記名義人とする持分移転の申請、を順に単独で行うことができます(先例)。
ウ…誤りです。共有の不動産において、共有者の一人が持分を放棄した場合、その持分は他の共有者へ持分割合に従って帰属します(255条)。このときは共同申請を行わなければならず、これは他の共有者が相続財産法人である場合にも同様です(先例)。したがってAの相続財産法人を登記権利者、Bを登記義務者とする共同申請を、Aの相続財産管理人とBで行うことになります。
エ…正しいです。共有の不動産において、共有者のうちの一人が死亡し、特別縁故者不存在が確定した場合にも、死亡した共有者の持分は他の共有者へ持分割合に従って帰属します(255条)。本問では、登記権利者をB、登記義務者をAの相続財産法人として、Aの相続財産管理人とBが共同申請を行います(60条)。
オ…誤りです。上記のように、相続人の捜索の公告を行ってから、相続人不存在が確定するまでに6か月、特別縁故者が財産分与請求を行わないことが確定するまでに3か月を要しますので、登記原因の日付として認められるのは9か月経過後になります。
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04
正解 ウオ
ア 正しい
相続財産管理人選任書の記載によって、当該相続財産管理人の選任が相続人不存在によるものであること及び被相続人の死亡年月日が明らかでないときは、これらを証する戸籍の謄本や抄本の添付が必要です(昭和39年2月28日民甲422号通達)。
しかし、相続財産管理人の選任が相続人不存在によるものであること及び被相続人の死亡年月日が明らかであるときは、戸籍の謄本や抄本を添付する必要はありません。
イ 正しい
相続人が不存在の場合に、民法985条の3の審判により不動産に関する権利を取得した特別縁故者は、その審判に基づき権利取得の登記を単独で申請することができます(昭和37年6月15日民甲1606号通達)。
ウ 誤り
共有者の一方が死亡し、その持分につき相続法人財産名義の登記がなされている場合において、他の共有者が持分を放棄した場合、相続財産法人への持分移転の登記申請は、相続財産法人を登記権利者、持分を放棄した者を登記義務者として、共同して申請する必要があります(昭和31年6月25日民甲1444号)。
エ 正しい
共有者の一人が相続人なくして死亡した場合の持分について、特別縁故者に分与されなかった場合、その持分を他の共有者に移転するためには、「特別縁故者不存在確定」を登記原因として、共同申請によらなければなりません(平成3年4月12日民甲2398号通達)。
オ 誤り
特別縁故者不存在確定を登記原因とする持分移転の日付は、被相続人が死亡した日から13ヶ月が経過した日でなければなりません(平成3年4月12日民三2398号通達)。
以上から、誤っている肢はウとオです。
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