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司法書士の過去問 平成25年度 午前の部 問15

問題

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次の対話は、根抵当権の当事者の変更に関する教授と学生との対話である。教授の質聞に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


教授 : 元本の確定前に、根抵当権者から被担保債権の範囲に含まれる債権を譲り受けた者は、その債権について当然に根抵当権を行使することはできませんが、その債権について根抵当権者の有する根抵当権を行使するため、根抵当権者から当該根抵当権の一部譲渡を受けた上で、その被担保債権の範囲を変更するという方法が考えられます。この根抵当権の一部譲渡をするときに、根抵当権設定者の承諾は、必要となりますか。

学生 : ア  根抵当権の一部譲渡がされたとしても、根抵当権設定者に不利益は生じませんので、根抵当権設定者の承諾は、不要です。

教授 : では、元本の確定前に、根抵当権の被担保債権の範囲に含まれる債権について債権者の交替による更改がされた場合には、新たな債権者は、更改によって生じた債権について根抵当権を行使することができますか。

学生 : イ  債権者の交替による更改がされた場合には、更改の当事者の合意によって、更改前の債務の担保として設定されていた根抵当権を更改後の債務に移すことができ、これによって根抵当権を行使することができます。ただし、第三者が根抵当権を設定していた場合には、その承諾を得なければなりません。

教授 : 次に、根抵当権の被担保債権の範囲に含まれる債権に係る保証人が元本確定前に保証債務を履行した場合について検討しましょう。この場合に、保証人は、法定代位によって、その債権について根抵当権を行使することができるでしょうか。

学生 : ウ  この場合には、保証人は、元本の確定前に債務者に代わって弁済をした者に当たりますから、その債権について根抵当権を行使することはできません。

教授 : 続いて、元本の確定前に、根抵当権者が死亡し、相続が開始した場合について検討しましょう。この場合に、根抵当権は、どの範囲の債務を担保することになりますか。

学生 : エ  根抵当権は、相続開始の時に存する債権のほか、相続人と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続開始の後に取得する債権を担保することになります。もっとも、この合意について相続の開始後6か月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなされます。

教授 : 最後に、元本確定後の当事者の変更について検討しましょう。同一の根抵当権によって甲債権と乙債権とが担保されており、当該根抵当権の元本が確定した後、乙債権のみを保証していた保証人が乙債権の全額を弁済したとします。この場合において、根抵当権が行使されたとき、保証人の受け取ることができる売却代金の配当の額は、どのようになるのでしょうか。

学生 : オ  保証人は、被担保債権の一部を弁済したにすぎないので、一部弁済による代位の場合と同様に、債権者である根抵当権者が保証人に優先して根抵当権の実行による売却代金の配当を受領した上で、保証人が残額を受領することになると考えられます。
   1 .
アイ
   2 .
アオ
   3 .
イエ
   4 .
ウエ
   5 .
ウオ
( 平成25年度 司法書士試験 午前の部 問15 )
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この過去問の解説 (4件)

11
正しい選択肢はウとエなので、正解は4です。

ア: 誤り
民法第398条の13において「元本確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権の一部譲渡(中略)をすることができる。」と規定されています。
根抵当権の一部譲渡をするには、根抵当権設定者の承諾が必要ですので、本肢は誤りです。

イ: 誤り
民法第398条の7第3項において「元本の確定前に債権者又は債務者の交替による更改があったときは、その当事者は、第518条の規定にかかわらず、根抵当権を更改後の債務に移すことができない。」と規定されています。
元本確定前の根抵当権については本規定により随伴性が否定されます。
従って「根抵当権を更改後の債務に移すことができる」とした本肢は誤りです。

ウ: 正しい
民法第398条の7第1項において「元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、同様とする。」と規定されています。
本肢の場合、学生が言うとおり、保証人は、元本の確定前に債務者に代わって弁済をした者に当たりますから、その債権について根抵当権を行使することはできません。従って本肢は正しいです。

エ:正しい
本肢のとおり、根抵当権は相続開始の際に存する債権と根抵当権者と設定者との間で合意して定めた相続人が相続開始の後に取得する債権を担保することになりますが、これは相続開始から6ヶ月以内に登記を行わないと相続開始の際に担保すべき元本が確定したものとみなされます。
従って本肢は正しいです。

オ:誤り
最判平17年1月27日において、「不動産を目的とする1個の抵当権が数個の債権を担保し,そのうちの1個の債権のみについての保証人が当該債権に係る残債務全額につき代位弁済した場合において,当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときには,債権者と保証人は,両者間に上記売却代金からの弁済の受領についての特段の合意がない限り,上記売却代金につき,債権者が有する残債権額と保証人が代位によって取得した債権額に応じて案分して弁済を受ける。」と判示しました。
従って債権者が保証人に優先して売却代金の配当を受領するわけではないので、本肢は誤りです。

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7
正解は4(ウ、エ)です。

ア 誤り。
 根抵当権は譲渡(398条の12本文)分割譲渡(398条の12第2項)および一部譲渡(398条の13)が可能ですが、いずれの場合も根抵当権設定者の承諾が必要です。本選択肢の事例は一部譲渡の事例であり、根抵当権設定者の承諾が必要です。

イ 誤り。
 根抵当権の通常抵当権との相違点として、随伴性の否定があります。通常抵当権であれば、更改による債権者または債務者の変更があった場合抵当権を更改後の債権に移すことが可能ですが(518条)、根抵当権では元本確定前に更改による債権者または債務者の変更あったとしても移行は認められていません(398条の7第3項)。

ウ 正しい。
 選択肢イの解説に記載の通り、根抵当権は随伴性が否定されており、元本確定前に被担保債権につき弁済した保証人は抵当権を行使することができません(398条の7。通常抵当権であれば代位を付記することによって抵当権を行使することが可能です)。

エ 正しい。
 元本確定前に根抵当権設定者または根抵当権者につき相続が発生した場合、根抵当権は相続開始時に現存する債権に加え、相続人と他方当事者(相続の発生していない当事者)が合意した債権を担保することとなります(398条の8本文、第2項)。そして、合意の登記は相続の開始後6ヶ月以内に為す必要があり、登記がなされなかった場合元本が確定することとなります。

オ 誤り。
 一部弁済による代位がなされた場合、代位者は「その弁済をした価額に応じて、債権者とともにその権利を行使する」と定められています(502条本文)。そして、抵当権(確定後の根抵当権を含む)の被担保債権が1であってその一部が代位弁済された場合、代位者は債権者に劣後し、抵当権の実行に際しては債権者が満足を受けた後の残額を受領することとなります(最判昭和60・5・23)。
 しかしながら、被担保債権が複数であって、その被担保債権すべては代位弁済されずとも個別の債権については全額が代位弁済された場合はこれと事案を異にし、抵当権の実行にあっては債権者と代位者は債権残額と代位弁済額に応じ比例按分して配当を受けるべきであるというのが判例です(最判平成17・1・27)。よって、本件事例において乙債権につき全額を弁済した保証人は全被担保債権中の乙債権の割合に応じ配当を受けることとなります。

5
正解は 4 です。

正しい選択肢はウとエであり、4が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 民法398条の13で、元本確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権の一部譲渡をすることができる、と規定しています。従って、本選択肢は誤りです。

イ. 民法398条の73項では、元本確定前に債務者又は債権者の交替による更改があったときは、その当事者は、民法518条の規定にかかわらず、根抵当権を更改後の債権に移すことができない、と規定しています。従って、本選択肢は誤りです。

ウ. 元本確定前に、枠の中にある1つの債権が譲渡されても、根抵当権は移りません。従って、根抵当権の被担保債権の範囲に含まれる債権に係る保証人が元本確定前に保証債務を履行した場合にも、その債権について根抵当権を行使することはできないので、本選択肢は正しいです。

エ. 民法398条の8第1項では「元本確定前に根抵当権について相続が開始したときは、根抵当権者は相続開始時の時に存する債権の他、相続人と根抵当権設定者が合意によって定めた債権の他、相続人と根抵当権設定者が合意により定めた相続人が相続の開始後に取得した債権を担保する」と規定しています。また、民法398条の8第3項では、「民法398条の8第1項の合意は、相続の開始後6か月以内に登記をしない時は、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす」と規定しています。従って、本選択肢は正しいです。

オ. 判例は、被担保債権が複数ある場合に、その1つの債権の保証人が、当該債権に係る残債務全額につき弁済をした時は、当該保証人は、当該抵当権のうち、弁済された被担保債権に係る部分について代位することができ、抵当権実行手続きにおいては、債権額に応じて抵当権者と按分して弁済を受けることができるとしています。(最高裁平成17年1月27日判決)。
従って、本選択肢は間違っています。

3
正解 4

ア 誤り
根抵当権者は、元本確定前において、根抵当権設定者の承諾を得ることを条件として、その根抵当権を二個の根抵当権に分割して、譲り渡すことができます(民法398条の12第2項)。

イ 誤り
元本の確定前に債権者の交替による更改があった場合における更改前の債権者は、根抵当権を更改後の債務に移すことはできません(398条の7第4項)。

ウ 正しい
元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者は、その債権について根抵当権を行使することはできません(民法398条の7第1項)。

エ 正しい
元本の確定前に根抵当権者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債権のほか、相続人と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に取得する債権を担保します(民法398条の8第1項)。
もっとも、この合意について相続の開始後6ヶ月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなされます(同条第4項)。

オ 誤り
判例(最判平成17年1月27日)は、「不動産を目的とする1個の抵当権が数個の債権を担保し、そのうちの1個の債権のみについての保証人が当該債権に係る残債務全額につき代位弁済した場合において、当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときには、債権者と保証人は、両者間に上記売却代金からの弁済の受領についての特段の合意がないかぎり、上記売却代金につき、債権者が有する残債権額と保証人が代位によって取得した債権額に応じて案文して弁済を受ける。」と判示しています。

以上から、正しい肢はウとエであり、4が正解となります。

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