司法書士の過去問
平成25年度
午前の部 問20
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問題
平成25年度 司法書士試験 午前の部 問20 (訂正依頼・報告はこちら)
婚姻又は協議離婚の無効又は取消しに関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 再婚禁止期間内にした婚姻であっても、女性が当該婚姻後に懐胎したときは、当該婚姻の取消しを請求することができない。
イ 夫婦の一方が他方に無断で、協議離婚の届出をした場合には、その後に当該夫婦の他ー方から当該協議離婚の届出につき追認の意思表示がされたときであっても、当該協議離婚が有効になることはない。
ウ 協議離婚が成立した後、協議離婚をした者の一方が第三者と婚姻し、その後に当該協議離婚が取り消された場合であっても、重婚であることを理由として後の婚姻の取消しを請求することはできない。
エ 婚姻の届出自体について当事者間に意思の合致があったとしても、単に子に嫡出子としての地位を得させるための便法として仮託されたものにすぎないものであって、当事者間に真に夫婦関係の設定を欲する効果意思がない場合には、当該婚姻は、その効力を生じない。
オ 夫婦が事実上の婚姻関係を継続しつつ、生活扶助を受けるための方便として協議離婚の届出をした場合には、その届出が真に法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいてされたものであっても、当該協議離婚は、その効力を生じない。
ア 再婚禁止期間内にした婚姻であっても、女性が当該婚姻後に懐胎したときは、当該婚姻の取消しを請求することができない。
イ 夫婦の一方が他方に無断で、協議離婚の届出をした場合には、その後に当該夫婦の他ー方から当該協議離婚の届出につき追認の意思表示がされたときであっても、当該協議離婚が有効になることはない。
ウ 協議離婚が成立した後、協議離婚をした者の一方が第三者と婚姻し、その後に当該協議離婚が取り消された場合であっても、重婚であることを理由として後の婚姻の取消しを請求することはできない。
エ 婚姻の届出自体について当事者間に意思の合致があったとしても、単に子に嫡出子としての地位を得させるための便法として仮託されたものにすぎないものであって、当事者間に真に夫婦関係の設定を欲する効果意思がない場合には、当該婚姻は、その効力を生じない。
オ 夫婦が事実上の婚姻関係を継続しつつ、生活扶助を受けるための方便として協議離婚の届出をした場合には、その届出が真に法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいてされたものであっても、当該協議離婚は、その効力を生じない。
- アウ
- アエ
- イエ
- イオ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア 正しい。
再婚禁止期間内に為された婚姻であっても、
(1)前婚の解消若しくは取消しの日から起算して百日を経過したとき
(2)女が再婚後に出産したとき
は取り消すことができません(746条)。
※746条については、2016年の14次改正により「再婚後に懐胎したとき」から「再婚後に出産したとき」へ改められています。また、同改正では女性の再婚禁止期間が従前の6ヶ月から100日へ短縮されました。
イ 誤り。
無効の協議離婚の届については、119条の例外として事後の追認により有効となるというのが判例です。この根拠としては身分行為の特殊性に求めるものが有力です。
ウ 誤り。
後婚成立後の前婚の離婚取消しによって重婚状態となることから、後婚には取消事由が生じます。
エ 正しい。
判例は、婚姻の成立については実質的意思説に立ち、実質的な婚姻生活を送る意思のない便法としての婚姻を無効としています(最判昭和44・10・31)。
なお、この立場と対するのが形式的意思説(法律上の「婚姻」の効果発生を享受する意思のみで足りる)です。
オ 誤り。
婚姻の成立について判例は実質的意思説を採用しましたが、離婚については形式的意思説に依拠し便法としての離婚を有効としています(最判昭和38・11・28、最判昭和57・3・26)。
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02
正しい選択肢はアとエであり、2が正解となります。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. 再婚後に懐胎したことが明らかであれば、不正の混乱は生じないので、再婚禁止期間内にした婚姻であっても、その取り消しを請求することはできません。従って、本選択肢は正しい記述となります。
イ. 夫婦の一方が他方に無断で協議離婚の届出をした場合で、その後、当該夫婦の他の一方から当該協議離婚の届出につき追認の意思表示がされた時には、当該協議離婚は有効となります。(昭和42年12月8日判決参照)。従って、本選択肢は誤った記述です。
ウ. 協議離婚の後に、協議離婚をした者の一方が第三者と再婚し、その後、協議離婚が取り消された場合には、遡及的に前婚が復活し、後婚が重婚禁止規定に違反することになります。従って、後婚の取消しを家庭裁判所に請求することができるので、本選択肢は誤っています。
エ. 判例は、当事者間に夫婦という身分関係を設定する意思があったと認めうる場合でも、それが単に他の目的を達成するための便法としての婚姻の届出は、真に夫婦関係を設定する効果意思は存在しないとして、当該婚姻はその効力を生じないと規定しています。(最高裁昭和44年10月31日判決)。従って、本選択肢は正しい記述です。
オ. 判例は、夫婦が、法律上の婚姻関係を解消する意思に合致に基づき、離婚の届出がされたのであれば、生活保護金の受給を継続するためであったとしても、離婚する意思があると認められ、当該離婚が離婚意思を欠くものとして無効であるということはできないとしています。(最高裁昭和57年3月26日判決参照)。従って、本選択肢は誤りです。
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03
ア 正しい
再婚禁止期間内にした婚姻は、女性が再婚後に出産したときは、その取消しを請求することができません(746条)。
イ 誤り
判例(最判昭和42年12月8日)は、無効の協議離婚の届出であっても、その後の追認により有効となることを認めています。
ウ 誤り
本肢の場合、協議離婚が取り消されたことにより、遡及的に前婚が復活することになります。
よって、前婚と後婚の重婚状態となるため、重婚であることを理由として後の婚姻の取消しを請求することができます。
エ 正しい
民法742条1号にいう「当事者間に婚姻をする意思がないとき」の意義について、判例(最判昭和44年10月31日)は、「当事者間に真に社会観念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思を有しない場合を指し、たとえ婚姻の届出自体については当事者間に意思の合致があったとしても、それが単に他の目的を達するための便法として仮託されたものにすぎないときは、婚姻は効力を生じない。」と判示しています。
よって、本肢の婚姻は、その効力を生じないということになります。
オ 誤り
判例(最判昭和38年11月28日)は、「妻を戸主とする入夫婚姻をした夫婦が、事実上の婚姻関係は維持しつつ、単に、夫に戸主の地位を与えるための方便として、協議離婚の届出をした場合でも、両名が真に法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいてこれをしたものであるときは、右協議離婚が無効とはいえない。」と判示しています。
よって、本肢の協議離婚は、効力を生じるということになります。
以上から、正しい肢はアとエであり、2が正解となります。
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