司法書士の過去問
平成28年度
午後の部 問39

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

平成28年度 司法書士試験 午後の部 問39 (訂正依頼・報告はこちら)

弁論準備手続に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア  裁判所は、当事者の一方が事件を弁論準備手続に付することについて同意していない場合には、事件を弁論準備手続に付することができない。

イ  当事者の一方が弁論準備手続の期日に出頭しないときは、裁判所は、弁論準備手続を終結することができる。

ウ  裁判所は、当事者の双方がいずれも弁論準備手続の期日に出頭していない場合には、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、弁論準備手続の期日における手続を行うことができない。

エ  弁論準備手続の期日においては、ビデオテープを検証の目的とする検証をすることができる。

オ  弁論準備手続の終結後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者は、相手方の求めがないときであっても、裁判所に対し、弁論準備手続の終結前にこれを提出できなかった理由を説明しなければならない。
  • アウ
  • アオ
  • イウ
  • イエ
  • エオ

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

正しい肢はイとウで3が正解です。

ア. 裁判所は当事者の意見を聞いて弁論準備手続をすることができます。同意までは不要です。

イ. 当事者の一方または双方が弁論準備手続の期日に出頭しないときは、裁判所は、弁論準備手続を終結することができます。

ウ. 電話による方法は当事者の一方が出席した場合に可能です。双方欠席ならできません。

エ. 弁論準備手続においては文書の証拠調べにかぎります。検証はできません。

オ. 弁論準備手続の終結前にこれを提出できなかった理由を述べる必要があるのは相手方の求めがあったときのみです。

参考になった数16

02

正解は3です。

ア…誤りです。裁判所は、争点および証拠の整理を争うため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、事件を弁論準備手続に付することができます(民事訴訟法168条)。手続そのものに当事者の同意は必要ありません。ただしその期日は、当事者双方が立ち会える期日に定めなければなりません(民事訴訟法169条1項)。

イ…正しいです。弁論準備手続に、当事者の一方が出頭しないときは、裁判所は、弁論準備手続を終結することができるといえます(民事訴訟法166条、170条5項)。

ウ…正しいです。当事者の一方が期日に出頭した場合に限り、裁判所及び当事者双方が、音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、弁論準備手続の期日における手続を行うことができます(民事訴訟法170条3項)。これに対し、書面による準備手続の場合、音声の送受信を用いる方法は、当事者の双方が出頭できなくても認められます(民事訴訟法176条3項)。

エ…誤りです。裁判所は、弁論準備手続の期日に、文書および準文書(民事訴訟法231条。図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないもの)の証拠調べをすることができます(民事訴訟法170条2項)。これは記載内容のみを判断する書証としての範囲内で証拠調べができると解すべきであり、大きさや形状を判断する検証物としての検証はできません(H8過去問)。

オ…誤りです。弁論準備手続の終結後に、攻撃または防御の方法を提出した当事者は、相手方の求めがあるときは、相手方に対し、弁論準備手続の終結前にこれを提出できなかった理由を説明しなければなりません(民事訴訟法167条、174条)。

参考になった数7

03

正解は 3 です。

正しい選択肢はイ及びウなので、3が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 裁判所は、争点及び証拠の整理を行うために必要があると認めるときは、事件を弁論準備手続きに付すことができます(民訴法172条)。この際、当事者の意向に反して弁論準備手続きを選択しても、争点整理の実効性が確保されないため、裁判所は当事者の意見を聞くこととされていますが、当事者の同意を得ることまでは要求されていません。よって、当事者の一方が同意しない場合でも、事件を弁論準備手続きに付すことができます(民訴法172条参考)。従って、本選択肢は誤りです。

イ. 民訴法166条では、準備的口頭弁論に関して、当事者が期日に出頭せず、又は民訴法162条の規定により定められた期間内に準備書面の提出若しくは証拠の申出をしない時は、裁判所は準備的口頭弁論を終了することができる、と規定しています。そして、この規定は、民訴法170条5項の規定によって、弁論準備手続きに準用されています。従って、本選択肢は正しいです。

ウ. 民訴法170条3項では、裁判所は、当事者が遠隔地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法により、弁論準備手続きの期日における手続きをすることができる。ただし、当事者の一方がその期日に出頭した場合に限る、と規定しています。従って、本選択肢は正しいです。

エ. 弁論準備手続きにおいては、証拠調べを行うことはできないが、例外的に、文書の証拠調べを行うことはできます(民訴法170条2項参照)。従って、ビデオテープは文書ではないので、本選択肢は誤りです。

オ. 民訴法167条では、準備的口頭弁論終結後に、攻撃又は防御の方法を提出した当事者は、相手方の求めがある時は、相手方に対して、準備的口頭弁論の終了前に、これを提出することができなかった理由を説明しなければならない、と規定しています。この規定は、民訴法174条によって、弁論準備手続きに準用されているので、本選択肢は誤りです。

参考になった数6