司法書士の過去問
平成28年度
午後の部 問47
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問題
平成28年度 司法書士試験 午後の部 問47 (訂正依頼・報告はこちら)
登記の申請人に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 甲土地の所有権の登記名義人Aの相続人が配偶者B並びに子C及びDの3名である場合において、Eに対して甲土地を包括遺贈する旨のAの遺言に基づいて登記を申請するときは、Eは、単独で相続を登記原因とする甲土地の所有権の移転の登記を申請することができる。
イ 甲土地の所有権の登記名義人Aの相続人が配偶者B並びに子C及びDの3名であり、遺産分割協議をしない間にBが死亡した場合において、Bの相続人がC及びDの2名であり、CD間で甲土地はCが単独で取得する旨のAを被相続人とする遺産分割協議が成立したときは、Cは、単独でAからCへの相続を登記原因とする甲土地の所有権の移転の登記を申請することができる。
ウ 甲土地について、乙区1番でAを、乙区2番でBをそれぞれ抵当権者とする抵当権の設定の登記がされ、乙区3番でCを根抵当権者とする根抵当権の設定の登記がされている場合において、Cの根抵当権を第1順位、Aの抵当権を第3順位とする順位の変更をするときは、Cを登記権利者、Aを登記義務者として順位の変更の登記を申請することができる。
エ Aが賃借権の登記名義人である甲土地について、Aが所有権を取得したことによって当該賃借権が混同により消滅した後、Aの賃借権の登記が抹消されない間にAからBへの売買による所有権の移転の登記がされたときであっても、Aは、単独で混同を登記原因とする賃借権の登記の抹消を申請することができる。
オ 甲土地に設定された根抵当権の元本が確定した場合において、根抵当権設定者が根抵当権の元本の確定の登記手続に協力しないときは、根抵当権者は、根抵当権設定者に対して根抵当権の元本の確定の登記手続を命ずる確定判決を得て、単独で根抵当権の元本の確定の登記を申請することができる。
ア 甲土地の所有権の登記名義人Aの相続人が配偶者B並びに子C及びDの3名である場合において、Eに対して甲土地を包括遺贈する旨のAの遺言に基づいて登記を申請するときは、Eは、単独で相続を登記原因とする甲土地の所有権の移転の登記を申請することができる。
イ 甲土地の所有権の登記名義人Aの相続人が配偶者B並びに子C及びDの3名であり、遺産分割協議をしない間にBが死亡した場合において、Bの相続人がC及びDの2名であり、CD間で甲土地はCが単独で取得する旨のAを被相続人とする遺産分割協議が成立したときは、Cは、単独でAからCへの相続を登記原因とする甲土地の所有権の移転の登記を申請することができる。
ウ 甲土地について、乙区1番でAを、乙区2番でBをそれぞれ抵当権者とする抵当権の設定の登記がされ、乙区3番でCを根抵当権者とする根抵当権の設定の登記がされている場合において、Cの根抵当権を第1順位、Aの抵当権を第3順位とする順位の変更をするときは、Cを登記権利者、Aを登記義務者として順位の変更の登記を申請することができる。
エ Aが賃借権の登記名義人である甲土地について、Aが所有権を取得したことによって当該賃借権が混同により消滅した後、Aの賃借権の登記が抹消されない間にAからBへの売買による所有権の移転の登記がされたときであっても、Aは、単独で混同を登記原因とする賃借権の登記の抹消を申請することができる。
オ 甲土地に設定された根抵当権の元本が確定した場合において、根抵当権設定者が根抵当権の元本の確定の登記手続に協力しないときは、根抵当権者は、根抵当権設定者に対して根抵当権の元本の確定の登記手続を命ずる確定判決を得て、単独で根抵当権の元本の確定の登記を申請することができる。
- アウ
- アエ
- イウ
- イオ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正しい選択肢はイとオなので、4が正解となります。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. 相続人ではないEに対して包括遺贈する旨の遺言があった場合の登記原因は遺贈であり、相続を原因とする所有権移転の登記をすることはできません(昭和58年3月2日付民甲1310参照)。また、遺贈を原因とする所有権移転の登記は登記権利者と受遺者であるE、登記義務者であるB、C、Dの共同申請によるものとされます。従って、本選択肢は誤りです。
イ. Aの死亡により開始した相続によりBが取得した相続人としての権利義務は、Bの死亡により開始した相続によってC、Dに承継されたものと解すべきです(昭和29年5月22日民甲1037参照)。そのため、C、D間の遺産分割協議は有効であり、AからCへの所有権移転登記も可能となります。従って、本選択肢は正しいです。
ウ. 先例は、順位番号1番、2番、3番の担保権の順位を3番、2番、1番の用に変更する場合には、1番、2番、3番の担保権者の登記名義人の全てが申請人にならなければならない、としています(昭和46年10月4日付民甲3230)。従って、本選択肢は誤りです。
エ. 先例は、混同によって賃借権が消滅したにもかかわらず、その抹消登記をしないで、第三者Bへ所有権移転登記をした場合、当該賃借権の登記の抹消は、現在の所有権登記名義人であるBを登記権利者とし、賃借権者であるAを登記義務者として共同で申請すべきである、としています(昭和30年2月4日付民甲226)。従って、本選択肢は誤りです。
オ. 先例は、根抵当権者の担保すべき元本が確定したが、根抵当権設定者が確定の登記に協力しない場合には、根抵当権者は、確定の登記手続きを命じる判決を得て、単独でその登記を申請することができる、とされています(昭和55年3月4日民甲1196)。従って、本選択肢は正しいです。
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02
ア. 遺贈による登記は相続登記と異なり単独申請ではなく共同申請になります。本問の場合Eを権利者、BCDを義務者として申請します。
イ. Bの遺産分割する権利をCDが承継します。したがってCD間の遺産分割協議によって直接AからCへの相続登記が可能です。
ウ. 順位変更の登記は当事者全員による申請になります。本問ではABCの合同申請になります。
エ. 単独申請をみとめる条文がありません。原則通りBを権利者、Aと義務者として共同申請になります。
オ. 設定者が権利者、根抵当権者が義務者となりますが根抵当権者が設定者に対する登記手続きを命じる判決を得て、単独で元本確定の登記を申請できます。
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03
ア…誤りです。「相続人でない者に特定の不動産を包括遺贈する」旨の遺言があるときは、当該不動産の受遺者は、「遺贈」を原因とする所有権移転の登記を申請する必要があります(昭29・5・6民甲968号回答)。また、包括遺贈については単独申請が認められる規定はありませんので、受遺者Eと、相続人B、C、D(または遺言執行人)が共同申請する必要があります(昭33・4・28民甲779号局長回答)。
イ…正しいです。本問のように、A死亡により、配偶者Bと子C、Dが相続人になり、その相続登記がされない間に配偶者Bが死亡した場合には、BのA財産相続分は、残りの相続人C、Dに(持分移転ではなく)承継されたと考えられます。したがってAの相続財産全部について、相続人C、Dの遺産分割協議のみで相続内容を決定できます。その結果、Cが相続することに決定した甲土地についても、Cが単独で、AからCへの相続を原因とする所有権移転の登記ができます(登記研究158号)。
ウ…誤りです。抵当権の順位変更には、順位変更をする各抵当権者、および、中間順位にあって他の抵当権者との間の優先弁済権の順番に影響を受ける抵当権者が、「申請人」となる必要があります。登記権利者、登記義務者の定めはありません。本問ではA、B、Cの全員が申請人になります。
エ…誤りです。抵当権者についての判例として、権利混同による抵当権消滅後、第三取得者のための登記がされている場合には、第三取得者と抵当権者との共同申請により、当該抵当権の抹消の登記を申請すべきであり、抵当権者単独での申請は認められないとされます(昭30・2・4民甲226号局長通達)。本問でも、賃貸借に関して債権と債務が同一人に帰属していますので、同様に元の所有者Aと第三取得者Bとの共同申請が必要になると考えられます。
オ…正しいです。元本確定の登記も、原則として、根抵当権者を登記義務者、根抵当権設定者を登記権利者とする共同申請です。根抵当権設定者が、元本の確定の登記に協力しないときは、根抵当権者は、元本確定の登記手続を命ずる判決を得て、単独で根抵当権の元本の確定の登記を申請することができます(昭55・3・4民三1196号回答)。
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