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司法書士の過去問 平成30年度 午前の部 問24

問題

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文書偽造の罪に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア  密入国者Aが、法務大臣から再入国許可を受けるために、他人であるB名義でその承諾なく再入国許可申請書を作成した。この場合において、Aが長年自己の氏名としてBの氏名を公然使用し、Bの氏名が相当広範囲にAを指称する名称として定着していたときは、Aには、私文書偽造罪は成立しない。

イ  Aは、自己の氏名が弁護士Bと同姓同名であることを利用して、行使の目的で、弁護士の肩書を自己の氏名に付して弁護士業務の報酬として金銭を受領した旨の領収証を作成した。この場合、Aには、私文書偽造罪が成立する。

ウ  Aが、偽造に係る運転免許証をポケット内に携帯して自動車を運転したにすぎない場合であっても、Aには、偽造公文書行使罪が成立する。

エ  学校法人Bを代表する資格がないAは、行使の目的で、その代表資格を偽り、Bを代表する資格がある者として自己の氏名を表示して契約書を作成した。この場合、Aには、B名義の文書を偽造した私文書偽造罪が成立する。

オ  Aは、就職活動に使用するため、履歴書に虚偽の氏名、生年月日、経歴等を記載したが、これに自己の顔写真を貼付しており、その文書から生ずる責任を免れようとする意思は有していなかった。この場合、Aには、私文書偽造罪は成立しない。
   1 .
アウ
   2 .
アオ
   3 .
イウ
   4 .
イエ
   5 .
エオ
( 平成30年度 司法書士試験 午前の部 問24 )
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この過去問の解説 (3件)

6
正しい肢はイとエで【正解は4】です。

ア × 判例(最判昭59.2.17)は、「再入国許可申請書の性質に照らすと、本件文書に表示された氏名から認識される人格は、適法に在留することを許されている者であって、密入国をし、在留資格を有しない被告人とは別の人格である」としています。

イ ○ 判例(最決平5.10.5)は、「氏名が弁護士甲と同姓同名であることを利用して、『弁護士甲』の名義で弁護士の業務に関連した形式、内容の文書を作成したことは、たとえ名義人として表示された者の氏名が自己の氏名と同一であったとしても、私文書偽造罪に当たる」としています。

ウ × 判例(最大判昭44.6.18)は、「自動車を運転する際に偽造にかかる運転免許証を携帯しているだけの場合には、これを他人の閲覧に供しその内容を認識しうる状態においたものというには足りない」としています。

エ ○ 判例(最決昭45.9.4)は、「他人を代理する者として文書を作成する権限のない者が、他人を代理する資格、または、誤信させるような資格を表示して作成した文書の名義人は、代理された本人であると解するのが相当である」として、「私文書偽造罪が認められる」としています。

オ × 判例(最決平11.12.20)は、「虚偽の氏名等を記載した履歴書を作成行使した行為は、自己の顔写真がはり付けられていて、各文書から生ずる責任を免れようとする意思がなかったとしても、有印私文書偽造、同行使罪に当たる」としています。

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3
正解:4

ア:誤
判例は、「本邦に密入国し外国人の新規登録申請をしていないにもかかわらず、B名義で発行された外国人登録証明書を他から取得し、その名義で登録事項確認申請を繰り返すことにより、自らが外国人登録証明書のBその人であるかのように装って本邦に在留を続けていた被告人が、B名義を用いて再入国許可申請書を作成、行使した所為は、被告人においてBという名称を永年自己の氏名として公然使用した結果、それが相当広範囲に被告人を指称するものとして定着していた場合であっても、私文書偽造、同行使罪にあたる(最判59.2.17)」としています。したがって、Aには私文書偽造罪が成立します。

イ:正
判例は、「被告人が弁護士Bと同姓同名であることを利用して、弁護士B名義で文書を作成、行使した場合は、当該文書が弁護士としての業務に関連して弁護士資格を有する者が作成した形式、内容のものである以上、文書に表示された名義人は、実在する弁護士Bであって、弁護士資格を有しない被告人とは別人格であることは明らかであるから、当該文書の名義人と作成者との人格の同一性を偽ったことになり、Aには私文書偽造罪、同行使罪が成立する(最決平5.10.5)」としています。

ウ:誤
偽造公文書行使罪(刑158Ⅰ)にいう行使にあたるためには、偽造・変造等にかかる文書を携帯しているだけでは足りず、真正な文書として他人に交付、提示等し、その閲覧に供し、その内容を認識させ又はこれを認識しうる状態におくことを要します(最大判昭44.6.18)

エ:正
判例は、「他人の代表者又は代理人として文書を作成する権限のない者が、他人を代表または代理すべき資格を表示して作成した文書は、その文書によって表示された意識内容に基づく効果が、代表もしくは代理された本人に帰属する形式のものであるから、その名義人は、代表もしくは代理された本人であると解する(最決昭45.9.4)」としています。したがって、Aには、B名義の文書を偽造した私文書偽造罪が成立します。

オ:誤
判例は、 「虚偽の氏名等を記載した履歴書等を作成行使した行為は、たとえ自己の顔写真がはり付けられ、あるいは各文書から生ずる責任を免れようとする意思を有していなかったとしても、これらの文書に表示された名義人は、本人とは別人格の者であることが明らかであるから、名義人と作成者との人格の同一性に齟齬を生じさせたというべきであり、有印私文書偽造、同行使罪に当たる(最決平11.12.20)」としています。したがって、Aには私文書偽造罪が成立します。

1
正解 4

ア 誤り
判例(最判昭和59年2月17日)は、本肢と同様の事案において、「被告人が〇〇〇という名称を永年自己の氏名として公然使用した結果、それが相当広範囲に被告人を指称する名称として定着し、他人との混同を生ずるおそれのない高度の特定識別機能を有するに至ったとしても、右のように被告人が外国人登録の関係では〇〇〇になりすましていた事実を否定することはできない。」としたうえで、「被告人は、再入国の許可を取得しようとして、本件再入国許可申請書を〇〇〇名義で作成、行使したというのであるが、再入国許可申請書の性質にも照らすと、本件文書に表示された〇〇〇の氏名から認識される人格は、適法に本邦に在留することを許されている〇〇〇であつて、密入国をし、なんらの在留資格をも有しない被告人とは別の人格であることが明らかであるから、そこに本件文書の名義人と作成者との人格の同一性に齟齬を生じているというべきである。」として、被告人に私文書偽造罪が成立するとしています。

イ 正しい
判例(最決平成5年10月5日)は、本肢と同様の事案において、「たとえ名義人として表示された者の氏名が被告人の氏名と同一であったとしても、本件文書が弁護士としての業務に関連して弁護士資格を有する者が作成した形式、内容のものである以上、本件文書等に表示された名義人は、弁護士会に所属する弁護士であって、弁護士資格を有しない甲とは別人格の者であることが明らかであるから、本件文書等の名義人と作成者の人格の同一性にそごを生じさせたものといえ、私文書偽造罪、同行使罪が成立する。」としています。

ウ 誤り
判例(最大判昭和44年6月18日)は、本肢と同様の事案において、「偽造公文書行使罪にいう行使とは、文書を真正に成立したものとして他人に交付、提示等して、その閲覧に供し、その内容を認識させまたはこれを認識し得る状態に置くことをいう。」としています。
その理由として、「偽造公文書行使罪は公文書の真正に対する公共の信用を保護法益とする。」ということを挙げています。

エ 正しい
判例(最決昭和45年9月4日)は、本肢と同様の事案において、「代理・代表名義の冒用の場合、文書内容に基づく効果が本人に帰属する形式のものであることから、作成名義人は代理・代表された本人であると解して、「偽造」といえる。」としています。

オ 誤り
判例(最決平成11年12月20日)は、本肢と同様の事案において、「文書の性質、機能等に照らすと、たとえ被告人の顔写真がはり付けられ、あるいは被告人が右各文書から生ずる責任を免れようとする意思を有していなかったとしても、これらの文書に表示された名義人は、被告人とは別人格の者であることが明らかであり、名義人と作成者との人格の同一性にそごを生じさせた。」として、私文書偽造罪の成立を認めています。

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