司法書士の過去問
平成30年度
午前の部 問25
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問題
平成30年度 司法書士試験 午前の部 問25 (訂正依頼・報告はこちら)
自首に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア Aは、窃盗により逮捕された際に、取調官Bが余罪の嫌疑を持ってAの取調べを行ったことが契機となって、反省悔悟し、その余罪についても供述した。この余罪については、Aには、自首は成立しない。
イ Aは、Bの財物を窃取したが、その後、警察に自首した。この場合、Aの窃盗罪の刑は任意的減軽又は免除の対象となる。
ウ Aは、Bを殺害した後に逃走した。警察は、捜査の結果Aがその犯人であることを把握したものの、Aの所在を全く把握することができなかった。Aは、犯行から10年経過後、反省悔悟し、警察に出頭して、自己の犯罪事実を自発的に申告した。この場合、Aには、自首は成立しない。
エ Aは、生活保護費を詐取していたが、その後、区役所の担当職員Bに対し、生活保護費を詐取していた事実を申告し、自らの処置を委ねた。この場合、Aには、自首が成立する。
オ Aは、路上でBを殺害したが、そこには多数の目撃者がいた。Aは、逃げられないと観念し、警察署に出頭し、自己の犯罪事実を自発的に申告したが、たまたまその時点で警察はAがその殺人事件の犯人であることを把握していなかった。この場合、Aには、自首は成立しない。
ア Aは、窃盗により逮捕された際に、取調官Bが余罪の嫌疑を持ってAの取調べを行ったことが契機となって、反省悔悟し、その余罪についても供述した。この余罪については、Aには、自首は成立しない。
イ Aは、Bの財物を窃取したが、その後、警察に自首した。この場合、Aの窃盗罪の刑は任意的減軽又は免除の対象となる。
ウ Aは、Bを殺害した後に逃走した。警察は、捜査の結果Aがその犯人であることを把握したものの、Aの所在を全く把握することができなかった。Aは、犯行から10年経過後、反省悔悟し、警察に出頭して、自己の犯罪事実を自発的に申告した。この場合、Aには、自首は成立しない。
エ Aは、生活保護費を詐取していたが、その後、区役所の担当職員Bに対し、生活保護費を詐取していた事実を申告し、自らの処置を委ねた。この場合、Aには、自首が成立する。
オ Aは、路上でBを殺害したが、そこには多数の目撃者がいた。Aは、逃げられないと観念し、警察署に出頭し、自己の犯罪事実を自発的に申告したが、たまたまその時点で警察はAがその殺人事件の犯人であることを把握していなかった。この場合、Aには、自首は成立しない。
- アウ
- アオ
- イウ
- イエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア ○ 判例(東京高判昭55.12.8)は、「取調中、余罪を追及されて、さらに他の犯罪事実を自ら供述したとしても、刑法42条1項のいわゆる自首に該当しない」としています。
イ × 刑法42条1項は、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を軽減することができる」としています。できるのは軽減だけで、免除まではすることはできません。
ウ ○ 判例(最判昭24.5.14)は、「刑法42条1項の捜査機関に発覚する前とは、犯罪事実及び犯人が誰かは判明しているが、犯人の所在だけが判明しない場合は当たらない」としています。
エ × 刑法42条の自首とは、「犯人が捜査機関に自発的に自己の犯罪事実を申告し、その訴追を含む処分を求めること」をいい、捜査機関とは、検察官又は司法警察員を言います。区役所の職員では捜査機関には該当しません。
オ × 刑法42条の自首とは、「犯人が捜査機関に自発的に自己の犯罪事実を申告し、その訴追を含む処分を求めること」をいいます。捜査機関に発覚していない以上、多数の目撃者がいたとしても、この申告は発覚する前の自首に当たります。
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02
ア:正
自首とは、捜査機関に対して自ら進んで自己の犯罪事実を申告し、処分を求めることです。本肢の場合、Aの余罪の供述が、余罪の嫌疑を持った取締官の取調べが契機となっているため、自首は成立しません。(東京高判昭55.12.8)
イ:誤
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができます(刑42Ⅰ)。したがって、自首の効果は任意的軽減事由とされていますが、免除の対象とはされていません。
ウ:正
自首となるためには捜査機関に発覚する前に、犯人自らが犯罪事実を申告しなげればならないが、捜査機関に発覚する前とは、犯罪事実が発覚していない場合はもちろん、犯罪事実は発覚しているが、犯人が発覚していない場合も含みます。しかし、犯罪事実、犯人の双方は発覚しているが、犯人の所在だけが判明していない場合は含みません(最判昭24.5.14)。
エ:誤
自首となるためには捜査機関に発覚する前に、犯人自らが犯罪事実を捜査機関に対して申告し、処分を求めなければなりません。したがって、捜査機関ではない区役所職員に対して犯罪事実を申告しても自首は成立しません。
オ:誤
犯罪の現場に多数の目撃者がいたとしても、未だ犯人を把握していない警察署に出頭した場合は、刑法第42条第1項の「捜査機関に発覚する前」に該当し、Aの自首は成立します。
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03
ア 正しい
判例(東高判昭和55年12月8日)は、本肢と同様の事案において、「取調中、余罪を追及されて、さらに他の犯罪事実を自ら供述したとしても、刑法42条1項のいわゆる自首に該当しない。」としています。
イ 誤り
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができます(刑法42条1項)。
したがって、任意的減軽の対象とはなりますが免除の対象にはなりません。
ウ 正しい
犯罪事実および犯人が誰であるかは判明しており、単に犯人の所在だけが不明であるにすぎない場合は、刑法42条1項にいう「発覚する前」に含まれないとするのが判例です(最判昭和24年5月14日等)。
エ 誤り
自首が成立するためには、犯人が捜査機関に自発的に自己の犯罪事実を申告し、その訴追を含む処分を求めることが必要です。
ここいう「捜査機関」とは、検察官または司法警察員のことをいい、区役所の職員は含まれません。
オ 誤り
多数の目撃者がいたとしても、捜査機関に発覚する前に自己の犯罪事実を自発的に申告すれば、自首が成立します(刑法42条1項)。
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