司法書士の過去問
平成30年度
午後の部 問38
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問題
平成30年度 司法書士試験 午後の部 問38 (訂正依頼・報告はこちら)
文書の証拠調べに関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 書証として提出された公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。
イ 書証として提出された私文書は、その作成者とされた本人の署名がある場合であっても、その押印がないときは、真正に成立したものと推定されない。
ウ 訴訟の当事者は、他の訴訟において行われた証人尋問の口頭弁論調書について、書証の申出をすることができる。
エ 裁判所は、文書提出命令の申立てに係る文書の一部に提出の義務があると認めることができない部分がある場合には、その部分以外の部分につき当該申立てを理由があると認めるときであっても、当該申立ての全部を却下しなければならない。
オ 第三者に対してされた文書提出命令に対し、当該文書提出命令の申立人ではない本案事件の当事者は、即時抗告をすることができる。
ア 書証として提出された公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。
イ 書証として提出された私文書は、その作成者とされた本人の署名がある場合であっても、その押印がないときは、真正に成立したものと推定されない。
ウ 訴訟の当事者は、他の訴訟において行われた証人尋問の口頭弁論調書について、書証の申出をすることができる。
エ 裁判所は、文書提出命令の申立てに係る文書の一部に提出の義務があると認めることができない部分がある場合には、その部分以外の部分につき当該申立てを理由があると認めるときであっても、当該申立ての全部を却下しなければならない。
オ 第三者に対してされた文書提出命令に対し、当該文書提出命令の申立人ではない本案事件の当事者は、即時抗告をすることができる。
- アイ
- アウ
- イオ
- ウエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア ○ 公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができます(民事訴訟法228条3項)。
イ × 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定します(民事訴訟法228条4項)。
ウ ○ 判例(最判昭26.2.22)は、「書証の対象となる文書について、裁判所の作成した別事件の証人尋問調書も文書として提出することができる」としています。
エ × 裁判所は、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときは、決定で、文書の所持者に対し、その提出を命じます。この場合において、文書に取り調べる必要がないと認める部分又は提出の義務があると認めることができない部分があるときは、その部分を除いて、提出を命ずることができます(民事訴訟法223条1項)。
オ × 判例(最判平12.12.14)は、「即時抗告の申立てができる申立人について、文書提出命令の申立てについての決定に対しては文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は、抗告の利益を有せず、本案事件の当事者であっても即時抗告をすることができない」としています。
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02
ア:正
公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができます(民訴228Ⅲ)。
イ:誤
私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定されます(民訴228Ⅳ)。したがって、本人の署名があれば押印は必要ありません。
ウ:正
民事訴訟法上、証拠能力についての制限はなく、一部例外を除いて、いかなるものも証拠能力をもつとされています。したがって、他の訴訟において行われた証人尋間の口頭弁論調書について、書証の申出をすることができます。
エ:誤
裁判所は、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときは、決定で、文書の所持者に対し、その提出を命ずることができます。また、文書に取り調べる必要がないと認める部分又は提出の義務があると認めることができない部分があるときは、その部分を除いて、提出を命ずることができます(民訴223Ⅰ)。
オ:誤
判例は、「文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は、抗告の利益を有せず、本案事件の当事者であっても、即時抗告をすることができないと解するのが相当である(最決平12.12.14)」としています。
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03
正解は2です。
ア…正しいです。公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができます(民事訴訟法228条3項)。
イ…誤りです。私文書に、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定されます(民事訴訟法228条4項)。署名と押印のどちらか一方があればよいので、誤りです。
ウ…正しいです。別件の証人尋問の終了直後に引き続き開始された訴訟の口頭弁論において、当該証人尋問の調書を書証として提出することは、不可能とはいえないとされています(最判昭26・2・22)。
エ…誤りです。裁判所が、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときは、決定で、文書の所持者に対し、その提出を命ずることができます。この場合において、文書に取り調べの必要がないと認める部分又は提出の義務があると認めることができない部分があるときは、その部分を除いて提出を求めることができます(民事訴訟法223条1項)。
オ…誤りです。文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出をを命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は抗告の利益を有しない、とされています(最判平12・12・14)。文書提出命令に対し証拠調べの必要性がないことを理由として即時抗告をすることが認められていないためです。
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