司法書士の過去問
平成30年度
午後の部 問43

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問題

平成30年度 司法書士試験 午後の部 問43 (訂正依頼・報告はこちら)

司法書士又は司法書士法人(社員のうちに、簡裁訴訟代理等関係業務を行うことができる司法書士はいないものとする。)の業務に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア  司法書士法人の社員は、他の社員全員の承諾があれば、自己又は第三者のためにその司法書士法人の業務の範囲に属する業務を行うことができる。

イ  司法書士Aは、司法書士法人Bの社員である期間内に、BがCから依頼を受けた相手方をDとする売買代金支払請求事件の訴状を作成する業務に自らが関与していたときは、Bを脱退した後であっても、当該事件についてDから依頼を受けて答弁書を作成することはできない。

ウ  司法書士法人は、定款で定めるところにより、当該法人が行う業務についての執行権を有する者を当該法人の社員のうちの一部の者のみに限定することができる。

エ  司法書士法人Aの社員である司法書士Bが、Aが受任した登記手続の代理業務を遂行するに当たり司法書士法に違反する行為を行った場合には、当該行為を行ったBが懲戒処分を受けることはあるが、Aが重ねて懲戒処分を受けることはない。

オ  司法書士法人は、定款で定めるところにより、当事者その他関係人の依頼により、管財人、管理人その他これらに類する地位に就き、他人の財産の管理又は処分を行う業務をすることができる。
  • アウ
  • アオ
  • イエ
  • イオ
  • ウエ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:4

ア:誤
司法書士法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその司法書士法人の業務の範囲に属する業務を行うことはできず、又は他の司法書士法人の社員となることもできません(司書42Ⅰ)。たとえ他の社員全員の承諾があっても同様です。

イ:正
司法書士法人の社員又は使用人である司法書士としてその業務に従事していた期間内に、当該司法書士法人が相手方の依頼を受けて前号(司書22Ⅱ①)に規定する業務(裁判書類作成業務)を行った事件であって、自らこれに関与したものについては、司法書士法第3条第1項第4号及び第5号(第4号に関する部分に限る。)に規定する業務(裁判書類作成関係業務)を行ってはなりません(司書22Ⅱ②)。

ウ:誤
司法書士法人の社員は、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負います(司書36Ⅰ)。したがって、業務の執行権を有する者を司法書士法人の一部の社員のみに限定することはできません。

エ:誤
司法書士が司法書士法に違反する行為をしたときは、当該司法書士は懲戒処分を受けます(司書47)。当該司法書士が司法書士法人の社員であった場合、当該司法書士法人も重ねて懲戒処分を受けることもあります(司書48)。

オ:正
司法書士法人は、定款で定めるところにより、法令等に基づきすべての司法書士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部又は一部を行うことができます(司書29Ⅰ①)。法務省令で定める業務には、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、管財人、管理人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し、若しくは補助する業務があります(司書規則31①)。

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02

正しい肢はイとオで【正解は4】です。

ア × 司法書士法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその司法書士法人の業務の範囲に属する業務を行うことはできません(司法書士法42条1項前段)。他の全員の承諾があっても同じです。

イ ○ 司法書士は、司法書士法人の社員又は使用人である司法書士としてその業務に従事していた期間内に、当該司法書士法人が相手方の依頼を受けて業務を行った事件であって、自らこれに関与したものについては、裁判書類作成関係業務を行つてはなりません(司法書士法22条2項2号)。

ウ × 司法書士法人の社員は、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負います(司法書士法36条1項)。一部の社員に限定することはできません。

エ × 司法書士法人がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは、その主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は、当該司法書士法人に対し、処分をすることができます(司法書士法48条)。これは司法書士法47条の司法書士本人に対する懲戒処分とは別に規定されています。

オ ○ 司法書士法人は、定款で定めるところにより、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、管財人、管理人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し、若しくは補助する業務(司法書士法施行規則31条1項)を行うことができます(司法書士法29条1項1号)。

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03

正解:4

<解説>

ア:誤りです。

司法書士法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその司法書士法人の業務の範囲に属する業務を行い、又は他の司法書士法人の社員となってはなりません(司法書士法42条①)。

この規定は、他の社員全員の承諾があったとしても解除されません。

したがって、本肢は誤りです。

イ:正しいです。

司法書士は、司法書士法人の社員又は使用人である司法書士としてその業務に従事していた期間内に、当該司法書士法人が相手方の依頼を受けて、裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成する業務(司法書士法第3条第1項第4号)を行った事件であって、自らこれに関与したものについては、これらの業務及びこれらの業務について相談に応ずることをしてはなりません(行政書士法22条②⑵)。

この規定は、司法書士法人を脱退した後も適用されます。

したがって、本肢は正しいです。

ウ:誤りです。

司法書士法人の社員は、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負うとしているため (司法書士法人36条①)、これと異なることを定款で定めることはできません。

したがって、本肢は誤りです。

エ:誤りです。

司法書士及び司法書士法人に対して、違反行為をした場合の懲戒処分がそれぞれに規定されており、違反行為によりBが懲戒処分を受けた場合でも、Aが重ねて懲戒処分を受けることがあります(司法書士法47条、48条)。

したがって、本肢は誤りです。

オ:正しいです。

司法書士法人は、定款で定めるところにより、⑴法令等に基づきすべての司法書士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部又は一部、⑵簡裁訴訟代理等関係業務を業務として行うことができるとしています(司法書士法29条①)。

そして、この⑴の業務は、司法書士法施行規則31条に掲げられており、それらの一つに、「当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、管財人、管理人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し、若しくは補助する業務」が挙げられています(司法書士法施行規則31条⑴)。

したがって、本肢は正しいです。

以上により、正しいものは肢イ・オであり、正解は4となります。

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