司法書士の過去問
平成30年度
午後の部 問47
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問題
平成30年度 司法書士試験 午後の部 問47 (訂正依頼・報告はこちら)
次のアからオまでの登記のうち、登記をすることができないものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 内縁関係を解消した一方当事者が他方当事者に対して財産分与を原因とする土地の所有権の移転の登記手続を命ずる確定判決の正本を提供して申請する、財産分与を登記原因とする当該所有権の移転の登記
イ 所有権の登記名義人及び買戻権の登記名義人が共同して申請する、土地の買主である当該所有権の登記名義人が一括で支払った売買代金の総額を増額する旨の買戻権の変更の登記
ウ 工場財団の所有権の登記名義人及び当該工場財団の賃借人が共同して申請する、当該工場財団を目的とする賃借権の設定請求権保全の仮登記
エ 抵当権の設定契約と同時に締結した工事請負契約に基づく請負代金債権を被担保債権として当該工事請負契約の注文者及び請負人が共同して申請する、当該注文者が所有権の登記名義人である土地の所有権を目的とする抵当権の設定の登記
オ 土地の所有権の割合的な一部についての移転の登記請求権を保全する処分禁止の仮処分に基づき裁判所書記官が嘱託する、当該所有権の割合的な一部についての処分禁止の仮処分の登記
ア 内縁関係を解消した一方当事者が他方当事者に対して財産分与を原因とする土地の所有権の移転の登記手続を命ずる確定判決の正本を提供して申請する、財産分与を登記原因とする当該所有権の移転の登記
イ 所有権の登記名義人及び買戻権の登記名義人が共同して申請する、土地の買主である当該所有権の登記名義人が一括で支払った売買代金の総額を増額する旨の買戻権の変更の登記
ウ 工場財団の所有権の登記名義人及び当該工場財団の賃借人が共同して申請する、当該工場財団を目的とする賃借権の設定請求権保全の仮登記
エ 抵当権の設定契約と同時に締結した工事請負契約に基づく請負代金債権を被担保債権として当該工事請負契約の注文者及び請負人が共同して申請する、当該注文者が所有権の登記名義人である土地の所有権を目的とする抵当権の設定の登記
オ 土地の所有権の割合的な一部についての移転の登記請求権を保全する処分禁止の仮処分に基づき裁判所書記官が嘱託する、当該所有権の割合的な一部についての処分禁止の仮処分の登記
- アエ
- アオ
- イウ
- イオ
- ウエ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア:登記をすることができる
内縁関係を解消した一方当事者が「被告は、原告に対し、〇〇の不動産につき 年 月 日財産分与を原因とする所有権移転登記手続をせよ」との確定判決の正本を添付して所有権移転登記を申請する場合には、登記原因を「財産分与」とすることができます(昭47.10.20民三559号)。
イ:登記をすることができない
買戻特約の登記がなされた後に、登記された売買代金を増額する旨の変更登記を申請することはできません(昭43.2.9民三34号)。
ウ:登記をすることができない
工場財団は所有権及び抵当権以外の権利の目的とすることはできませんが、抵当権者の同意があれば、これを賃貸することができます(工抵14Ⅱ)。しかし、賃借権の設定は可能であっても、これを登記することはできません(昭28.3.31民甲535号)。したがって、当該工場財団を目的とする賃借権の設定請求権保全の仮登記もすることはできません。
エ:登記をすることができる
請負契約に基づく請負代金債権を担保するため、請負契約と同時に、注文者所有の不動産を目的とする抵当権の設定契約をして、その設定登記をすることができます(昭44.8.15民三675号)。
オ:登記をすることができる
共有でない不動産の所有権の割合的な一部について、処分禁止の仮処分の登記をすることができます(昭30.4.20民甲695号)。
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02
ア できる 内縁離婚をした件につき、財産分与を原因とする不動産の所有権移転登記手続をするようにとの判決正本を添付して所有権移転登記を申請する場合には、登記原因を財産分与とすることができます(昭47.10.20 民3.559)。
イ できない 買戻特約の登記の売買代金を変更契約により増額する変更の登記は、することができません(昭43.2.9 民3.34)。
ウ できない 工場財団の登記記録の権利の部は、所有権及び抵当権に関する事項しか記録されないため(工抵法20条3項)、賃貸権設定の登記をすることはできません(昭28.3.31民甲535)。
エ できる 請負契約締結と同時に、工事依頼者所有の不動産について抵当権を設定し、その登記もすることができます(昭44.8.15 民3.675)。
オ できる 共有でない不動産の所有権の一部について、処分禁止の仮処分の登記をすることができます(昭30.4.20 民甲695)。
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03
正解:3
<解説>
ア:登記をすることができます。
内縁離婚に基づいて「被告は、原告に対し、〇〇の不動産につき○年○月○日財産分与を原因とする所有権移転登記手続をせよ」との判決正本を添付して所有権移転登記を申請する場合には、登記原因を「財産分与」とすることができるとしています(昭47・10・20民三559号)。
したがって、本肢は登記をすることができます。
イ:登記をすることができません。
買戻特約のある土地売買において、分割払いであれば、総代金を上限として売買代金を増額する変更登記をすることができますが、一括して支払った場合には、売買代金を増額する変更登記をすることはできません(昭43・2・9)。
したがって、本肢は登記をすることができません。
ウ:登記をすることができません。
工場財団は所有権及び抵当権以外の権利の目的とすることができませんが、抵当権者の同意があれば、賃貸することもできます(工場抵当法14条②)。
しかし、工場財団登記簿には、工場財団の表示に関する事項と所有権及び抵当権に関する事項を記録することとされており(工場抵当法20条)、賃借権の設定登記をすることはできないとされています(昭28・3・31民甲535号)。
したがって、本肢は登記をすることができません。
エ:登記をすることができます。
工事請負契約に基づく請負代金債権を担保するために、工事請負契約の注文者が所有権の登記名義人である土地の所有権を目的とする抵当権の設定を登記することができます(昭44・8・15民三675号)。
したがって、本肢は登記をすることができます。
オ:登記をすることができます。
共有でない不動産の一部に対して嘱託でなされる処分禁止の仮処分は、登記することができます(昭30・4・20民甲695号)。
したがって、本肢は登記をすることができます。
以上により、登記をすることができないものは肢イ・ウであり、正解は3となります。
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